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キチンとした過程だけが結果を生む。何事でも同じ事!

サーキットへ行くといろいろなクルマが走っている。

レースでは車両規定があるから同じようなクルマが一緒に走るが、サーキットのスポーツ走行には実に様々なクルマがやってくる。レースではなくても、「若い人が思いっきり走っている」のを見るのは楽しいことだ。時間がある時はヘアピンのスタンドに座って見ることにしている。

ところが、日本に来て驚いた。とにかく、なんと言うか、走り方がすごいのだ。どうすごいかって言うと、これがみんな「ダーッ」とばかりに特攻隊(ボクも実際にそれを見たわけではないが)のようにコーナーに突っ込んでいく。

「速く走ってんだから当たり前だろう!」と反論する人が出てきそうだが、はっきり言ってあれでは速く走れない。なぜならば行き当たりばったり、つまり「走り方が非論理的」だからだ。

端的に言えば速く走るための方法がわかっていないし、はたから見ていると「ただ速く走ったつもりを楽しんでいる」ようにしか見えない。「この人は何を目指しているのだろうか?」と思うことが日本では実に多い。

この問題の根は深い。それは安全につながるからだ。スポーツドライビングを含めたモータースポーツはリスクを負ってまでやるものじゃない。あくまでも「楽しみ」はずだ。

ところが、中には「今スロットルを閉じるとアウトに飛んでいってしまうヨ」という人がずいぶんいる。自爆するのは当人の問題だからとやかくは言わないが、そんな人も「モータースポーツ」に参加している人、というくくりで語られるのだから見過ごすわけにはいかない。

原因は何か? 繰り返しになるが、それは「クルマを操ろう」とする意識が幼稚だからだ。そして、その意識を生んだのは「ハードに頼って速く走ろうとする日本の悪しき風潮」だ。

トランジッション その2
なぜ「そんなに慌てて操作をする」のか?

クルマを速く走らせるということは、実に奥が深い。市販されているビデオのドライバーの操作を見ていると誰にでもできそうだが、そう簡単にはいかない。

レーシングドライバーと呼ばれる人の中には理論から走り方を学んだ人もいるが、ほとんどは走り込んで体感的に得た経験を元に理屈を学んでいる。しかし残念ながら、君たちは彼らほど走り込む余裕が物理的にない。だから走りの理論を学ぶことが必要なのだ。

レーシングドライバーでなくてもいい。速く走れる人と走れない人の違いは操作がもたらすクルマの挙動の違いに表れる。最たる例がトランジッションだ。

確かに速い人も遅い人も全開で加速し、フルブレーキングをかけ、おなじようなラインでコーナリングしている。しかし違いは歴然。速い人はクルマの挙動に破綻がない。ということはトランジッションがキチンとできているからだ。

直線で床までスロットルを踏むのは当たり前。しかしコーナー手前でブレーキをかける前にクルマの状況を無視してスロットルペダルから急に右足を離したらどうなる?ブレーキペダルを蹴飛ばすように踏んだらどうなる?

ブレーキが安定しない人はなぜ安定しないのか考える必要がある。制動距離が縮まらない人はなぜ縮まらないか考える必要がある。その答えを見つけるヒントがトランジッションだ。

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