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懐かしきKP61。全米選手権6位の思いでと・・・  (2/05/01)

全米選手権で6位に入賞したKP61
エンジンは今では懐かしいウェーバーキャブを装着。あの8800回転回した時の吸気音の心地よさは一生忘れられない。
ドライサンプ、CDIイグニッション、その他「良き時代」のフルメニューを盛り込み、1300ccの排気量から168馬力を発生(TRD USA測定)。

サスペンションは4輪ともコイルオーバーユニットに換装。アームは全てパイプ+ピロボール。リアのラジアスロッドは室内まで延長し、高速域での安定性を確保。SCCAの車両規則では最低地上高を「2輪がパンクしても車両のいかなる部分も設置しないこと」と定義しているため、車高は低く重心も下げることができた。

基本的な仕様は同じものの、アメリカの「一筋縄じゃいかない」コースレイアウトを速く走るため試行錯誤の結果高回転域でのレスポンスを狙いエキゾーストマニフォールドからテールパイプまでの長さを短くした。
アメリカのSCCAでは70年代から音量規制を行っていた。フォーミュラカーであろうと105dbの規制値を守らなければならない。我がチームは排気ロスの少ないスーパートラップを使った。そして、計測器が置かれる反対側に排出口を向けた!

アメリカは広い。カリフォルニアだって広い。レース場への移動は全て後ろに見える45フィートのトレーラー。「トレーラーのロールスロイス」といわれたシャパラル製。発電機からワークベンチ、ウインチまであらゆるものを揃えた。
トレーラーを引くピックアップはリアがダブルタイヤでキャビンもダブル。6人乗りのクルーキャブ。荷台にスリーパーを備え仮寝しながらサーキットを移動した。

5速全開のダブルS字コーナーがあるリバーサイドインターナショナルレースウエイを走るのは、いつも楽しかった。トリッキーなコーナーばかりで、走るたびに何か発見があった。
ヘアピンのひとつであるターン6へのアプローチ。と言っても3速でも入れる高速コーナー。2速では7000回転近く回ってしまう。
直前に左に回り込むため、横Gを受けながらのフルブレーキングの感触は今でも役に立つ。

ターン6とターン7の間にも直線があって5速まで入る。ターン7は「上下のブラインドコーナー」。直線を走っていてもターン7の形さえは見えない。しかもブレーキングゾーンが上りだから、安易に入っていくと車速が落ちすぎる。その上、上りきって荷重が抜けたところがターンインポイント。

クルマの動きを感知することが出来なければ速くは走れない。

ターン7には2つのコーナーがある。下りながらの7Aが終わるとフラットな7Bに続く。どちらも180度コーナーだからラインを読みきれないとこじってしまう結果になる。
考えればわかりそうなのだが、「ラインがわからない」という申し出が多かった。

下の写真はチームメートを引っ張ってラインを教えているところ。ミラーで見ると、操作が荒い!Take it easy!

チームメートだけではないが、他人と走っていると不思議に思うことがある。
確かにコーナーのインにはついているしちゃんとアウトにもはらんでいるのだが、どういうラインでどういうクルマの姿勢でインにつきたいのか、あるいは加速しながらはらんでいきたいのか見えない。ほとんどの場合、イメージが出来ていないのと、ただ「速く走っているつもり」になっているだけ。
走るのもお金がかかることなのだから、もっと考えて走らないともったいない!

多い時には年間11レースに出場した。
最初は怪訝そうな顔で遠巻きにしていたアメリカ人も、速さを見せると声をかけてくれるようになった。当時のニックネームは「バンザイトム」。いつもスタートがうまかったからだが、本人は決して特攻精神で走っていたわけではない。SCCAのレースで勝つともらえるのがチェッカーフラッグとトロフィー。
「賞金・は・ナ・イ!」 アマチュアのレースだからだ。
それでいい。走るのが楽しいから出ているのだから。

アメリカで乗ったクルマ。日本車は最初のクルマだけだった。

今の愛車はシェビーサバーバン。8人乗りのSUV。日本にいる間は16歳で免許を取った双子の足になっている。

二人とも、「レースをやるつもりは・ナ・イ!」