Home > YRS Media-Info >

≡≡ Yui Racing School presents ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
 
           Go − Circuit No.216 (03/29/06発行)
 
---------------------------------------------------- Taste of USA ----
●クルマを走らせるのは楽しい。速く走らせるのはもっと楽しい。●しかしク
ルマを安全に速く走らせることが難しいのも事実。走らせ方を理解していない
と楽しくもないし危険でさえある。●クルマをもっともっと楽しむために「ク
ルマさんとの正しいお付き合いの仕方」を学びませんか。●ユイレーシングス
クールからの提案です。●公道では安全運転を。サーキットではそれなりに。
    》》》 Be Smarter、Safer、Faster 《《《
======================================================================
| 1)YRSドライビングワークショップFSW 
| 2) 参加申し込み受付中
| 3) 卒業生からの手紙
| 4) 速さが見えない人、流れに乗らない人 トム ヨシダ

≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
| 1)YRSドライビングワークショップFSW 
  3月16日。今年1回目のYRSドライビングワークショップFSWが開催
された。参加したのは10名。うちサーキットの走行経験のない方が3名。Y
RS初参加の方が5名。予報では持ちそうだった天候も午後から雨。ジムカー
ナ場が冠水するほどのウエット路面となり受講者は1日で異なる状況でのカー
コントロールを経験することができた。
  結果から見るとYRSが用意したカリキュラムの優位性がいかんなく発揮さ
れ、YRSが目指すどんな状況でも正確にクルマを操作する能力:ドライビン
グポテンシャル、を高めることを受講生は身をもって体験できたはずだ。

・受講者
氏名 車両 改 度 走
稲葉裕介 インプレッサ 有 3 10
渡邉智成 スカイライン 有 5 05
高田淳二 ロードスター 有 5 02
鈴木康夫 ポルシェ964C2 無 0 00
酒井 均 ポルシェ993ターボ 無 0 00
高山久美子 ポルシェ ボクスター 無 0 11
豊田 裕之 ポルシェ ボクスター 無 0 02
江尻一博 ポルシェ 930 有 4 99
高橋宏和 ロータス エクシージ 有 2 00
深澤紳一 ロードスターNRA 有 4 99

改:改造の有無
度:改造の度合 http://www.avoc.com/9misc/rule_posting.html
走:サーキット走行経験 http://www.avoc.com/9misc/rule_posting.html

  スレッシュホールドブレーキングの練習で操作とクルマの挙動変化の関係を
体験した後、イーブンスロットルで半径22m、直線60mのYRSオーバル
FSWをイーブンスロットルで周回する。最終的にはステアリング操作だけで
半径22mの決して大きくないコーナーを回るわけで、この時点でクルマの三
大機能のひとつである旋回を限界域で体験することになる。同時に速さを求め
る時の操作の原点が設定される。
  次にトレイルブレーキングを使ったより高速でターンインし積極的にクルマ
の向きを変える走りを繰り返し練習する。加減速が加わり、クルマの三大機能
の全てを折り合いをつけながら発揮させる方法を体験する。
  以下がこの日受講者が記録したベストラップと、ベストラップと平均ラップ
の差を示したものでベストラップ順にソートしている。

・ベストラップと平均ラップの差
【ドライ】
氏名 走 best ave b-a
江尻一博 99 14.861 15.466 -0.605 
高橋宏和 00 14.982 15.442 -0.460 
稲葉裕介 10 15.112 15.562 -0.450 
酒井 均 00 15.362 16.018 -0.656 
豊田 裕之 02 15.673 16.539 -0.866 
高田淳二 02 15.823 16.118 -0.295 
深澤紳一 99 15.832 16.240 -0.407 
渡邉智成 05 16.123 16.421 -0.298 
鈴木康夫 00 16.394 16.753 -0.359 
高山久美子 11 16.804 17.115 -0.311 

【ウエット】
氏名 走 best ave b-a
江尻一博 99 15.873 16.539 -0.666 
稲葉裕介 10 16.834 17.273 -0.439 
酒井 均 00 16.854 17.295 -0.441 
深澤紳一 99 17.085 17.629 -0.544 
豊田 裕之 02 17.134 18.182 -1.048 
高橋宏和 00 17.214 17.918 -0.704 
鈴木康夫 00 17.245 17.693 -0.447 
渡邉智成 05 17.355 17.914 -0.559 
高田淳二 02 17.375 17.952 -0.577 
高山久美子 11 18.457 19.315 -0.858 

  幸いにもウエット路面を走行する機会があった。既にトレイルブレーキング
を使わなければガードレールに直行という速度からのターンインだ。視点を変
え平均ラップ順にソートし、それに平均ラップとワーストラップの差を付け加
えた。

・最速平均ラップとワーストラップの差
【ドライ】
氏名 走 ave worst a-w
高橋宏和 00 15.442 16.374 -0.932 
江尻一博 99 15.466 16.554 -1.088 
稲葉裕介 10 15.562 16.023 -0.461 
酒井 均 00 16.018 17.134 -1.116 
高田淳二 02 16.118 16.443 -0.325 
深澤紳一 99 16.240 17.955 -1.716 
渡邉智成 05 16.421 16.684 -0.263 
豊田 裕之 02 16.539 18.537 -1.998 
鈴木康夫 00 16.753 17.105 -0.352 
高山久美子 11 17.115 17.926 -0.811 

【ウエット】
氏名 走 ave worst a-w
江尻一博 99 16.539 17.886 -1.347 
稲葉裕介 10 17.273 17.735 -0.462 
酒井 均 00 17.295 18.186 -0.891 
深澤紳一 99 17.629 17.956 -0.327 
鈴木康夫 00 17.693 18.186 -0.494 
渡邉智成 05 17.914 18.437 -0.523 
高橋宏和 00 17.918 19.739 -1.821 
高田淳二 02 17.952 18.817 -0.865 
豊田 裕之 02 18.182 20.840 -2.658 
高山久美子 11 19.315 19.798 -0.483 

  同じような動力性能のクルマに乗っていても速さに差が出る。速さは個人固
有のものだから速くないことを恥じる必要はまったくないが、操作の結果とし
て数値化されるラップタイムを見るといろいろなことがわかってくる。その人
の純粋なドライビングポテンシャルはもちろん、その人の適応性や得手不得手
まで。ユイレーシングスクールではデータを元にどんな情報を提供すれば受講
生のドライビングポテンシャルが向上するかを常に念頭におきながら運営して
いる。
  いったんクルマを動かすコツを覚えるとそれはクルマを買い換えても、ある
いはコンディションが変わっても、更には初めてのサーキットを走る際にだっ
て応用できるものだ。YRSのどのドライビングスクールでも、受講した方全
員が間違いなくドライビングポテンシャルを高めることができる。それがユイ
レーシングスクールの誇りでもある。

・YRSオーバルFSW歴代ラップタイム
http://www.avoc.com/cgi/laptime.cgi?yof,b,01

・3月16日YRSドライビングワークショップFSW受講者の声から
  久しぶりに受講者へのアンケートを実施した。以下はその回答の一部だ。

<YRSドライビングワークショップを受講した動機>
・運転技術向上のため
・車をうまく運転したい。
・基礎を学ぶため。
・スポーツドライビングの基本を学びたかった。
・車をきちんとは知らせたかった。
・自己流でついたおかしな癖を直し車を正しく操作する技術を身につけたかっ
た。
・サーキット走行を前提とした運転技術向上。
・車の基本操作を学びたかった。

<座学で参考になったこと>
・車の動く仕組み
・トレイルブレーキングについて
・ドライビングの理論に基づいていること
・車の動きについて参考になる
・理論(物理学的な面を含め)。考えて車を操作するのに非常に参考になった。
・理論的(力学的)な説明でまず頭で理解できるところからスタートしたのが
良かった。
・ふだん本や雑誌で断片的にしか知りえないことやドライビングの知識をまと
めて知ることができた点。

<ブレーキング練習で参考になったこと>
・ブレーキングを残すということがいかにコーナーに安定させてはいっていけ
るかがわかった。
・ブレーキの踏力のかけ始め次第で挙動の変化、つまりは車体の安定性やグリ
ップ力が変わることを初めて知った。
・ABSに頼らなくても制動距離を縮めることができることを知った。
・無理なく停車、減速する方法がわかった。トランジッションについても理解
できた。
・自分の考えていたブレーキングがいかに間違っていたか理解できた。
・「ジワッ」とか踏み加減の調整の仕方。
・早く強くブレーキングする自分の癖を知ることができ、それを治す練習を繰
り返しできたこと。

<定常円練習で参考になったこと>
・過重移動。
・コーナーでのうまい走りにつながると思った。車が自分の思った通りに動く
のが単純に楽しかった。
・アンダーが出た時の対処が非常に丁寧になる。挙動の変化に合わせた各操作
ができるようになる。
・コーナーの進入、コーナリング中、脱出で車の動きの変化をたいけんできた。
・コーナリング前後の重要性。無駄のないスムースな操作の必要性と有効性を
痛感した。
・コーナリングの基本が少しながらつかめた。
・過重移動を考えてブレーキ操作をするようになった。
・ブレーキングのポイント、残し方、ハンドルの切り方、全てが変わりました。
特に同乗走行が有意義だった。

<受講者の感想>
・走れる本数が多いのが良かった
・前回よりも自分なりに少し上達した走りができたことが非常に嬉しかった。
YRSは最高です。また参加するのでよろしくお願いします。
・ドライビングは慣れも大切だけど、まずは理論を知りそれを忠実に行うこと
が大事だと実感しました。スポーツドライビングの見方が変わったように思い
ます。
・車は意外にも簡単にスピンしないものだと感じた。次は筑波1000の練習
がしたい。
・車、タイヤの限界を垣間見ることができたことは運転の幅を広げることにつ
ながると思った。しかしいろいろなことを言葉で理解できても実行するにはも
っと反復練習が必要なこともわかった。また教わりに来ます。
・大変多くの収穫があった。今回は初めての参加だったが今後も引き続き参加
したいと思った。
・さらにステップアップしていきたい。
・いつもながらわかりやすく大変勉強になった。今後も反復してオーバル走行
を練習したいのでまた参加したい。

        * * * * * * * * * * * * * * * * * *

  楽しく運転するにはクルマのことをよく知らなければなりません。これはビ
ギナーでもベテランでも同じです。知識を得て理論的なドライビングをイメー
ジし、それに近づくように努力する。その過程は大変楽しいものです。何故な
ら頼れるのは自分ひとり。自分の成長を目の当たりにすることができるからで
す。
  ドライビングポテンシャルを高めたい人にうってっつけなのがユイレーシン
グスクールのドライビングスクール。クルマと正面から向き合うつもりのある
方はぜひ体験してみて下さい。

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-
| 2)参加申し込み受付中

    〓〓〓〓  以下のプログラムへの参加申し込みを受付中です 〓〓〓〓
----------------------------------------------------------------------
|                   ★ どなたでも参加できます ★

■  4月5日(水) YRS筑波サーキットドライビングスクール
  ドライビングスクールのベンチマーク。理論に基づいたどなたにでも理解で
きるカリキュラムは雑誌エンジンのドライビングレッスンでも採用されていま
す。午前中にジムカーナ場で定常円の練習を行い基本操作が身体に馴染んだと
ころでコース1000に移動しラッピングを行います。これからサーキットを
走ろうと思っている方にうってつけのカリキュラムです。座学を聞いてクルマ
を動かすときの「DO」と「DO  NOT」を学びます。定常円練習でそれを
実践してみます。コース1000で走り始めた時にクルマの動きが理解できる
という寸法です。
  すでに2000名を超える受講者を誇るユイレーシングスクール主宰の筑波
サーキットドライビングスクール。あなたも受講してみませんか?

・筑波サーキットドライビングスクール開催案内
http://www.avoc.com/1school/driving/tds.shtml
----------------------------------------------------------------------
|        ★ YRSオーバルスクール卒業生の参加をお待ちしています ★

■  4月8日(土) YRSオーバルレースシリーズ第2戦
  スタートからフィニッシュまでドアツードア、テールツーノーズの接戦が続
くオーバルレース。ロードレースとは一味違った楽しみと興奮があります。ク
ラス分けはオープンクラスが1〜2クラス。それにロードスタークラスが加わ
ります。
  ユイレーシングスクールではオーバルレースでの走り方を含め安全に楽しく
レースをする方法をお教えします。オーバルスクールを卒業していればどなた
にでも最高に熱いレースが経験できます。

・YRSオーバルレースシリーズ規則書
http://www.avoc.com/2race/oval/yor.shtml
・2006YRSオーバルレースポイントスタンディングス
http://www.avoc.com/3result/result_race/2006/06-yor-point.shtml

|※  同日に開催されるYRSオーバルスクールFSWは申込みが定員に達し
|    ましたので受付を終了いたします。
----------------------------------------------------------------------
|                   ★ どなたでも参加できます ★
|                   ☆ YOSA IS BACK ☆

■  4月18日(火) YRSオーバルスクール浅間台
  YRSオーバルスクールのルーツ浅間台を今年も開催します。成田空港に近
い浅間台スポーツランドに設けた32mx100mのYRSオーバル浅間台を
使ってカーコントロールの最重要ポイントであるトランジッションを繰り返し
練習します。
  加速の仕方、減速の仕方など運転の基本中の基本からお教えしますからどな
たでも安心してスポーツドライビングを体験しながらドライビングポテンシャ
ルを高めることができます。特に免許取立ての方にうってつけのドライビング
スクールです。

・YRSオーバルスクール浅間台開催案内
http://www.avoc.com/1school/oval/yosa.shtml
・YRSオリジナルビデオ−あなたはどんな運転をしていますか?
http://www.avoc.com/5media/video/movie.shtml
・YRSオーバル浅間台歴代ラップタイム
http://www.avoc.com/cgi/laptime.cgi?yoa,s,b1
----------------------------------------------------------------------
|                   ★ どなたでも参加できます ★

■  4月26日(水)27日(木)YRSツーデースクールFSW
  今年もやりますツーデースクール。カリキュラムは1日目が、
・運転に求められるものをビークルダイナミックスの見地からわかり易く説明
する座学。
・機械に頼らずペダルの踏み方ひとつで制動距離を縮めることのできるスレッ
シュホールドブレーキング練習。
・イーブンスロットルとトレイルブレーキングでターンインしてコーナリング
のメカニズムを解析する定常円練習。
・宿についてからは1日目の総括と質疑応答。
  2日目が、
・コースを歩きながら安全に走るため、速く走るために注意すべきコースの解
析の仕方の説明。
・のぼり坂、下り坂。それぞれ過重のかかり方の異なる路面でのブレーキング
練習。
・サーキットが初めての方も走りのリズムがつかみ易いリードフォロー。
・自身の操作と理論的操作を比較できる同乗走行。
。参加者自身によるラッピングとタイム計測。
  2日間あればクルマの運転に必要なことのほぼ100%を学ぶことができま
す。あとは理論に基づいた運転を心がけるだけ。サーキット走行を目指す方も、
サーキットを走るつもりのない方も、この機会に2日間ドップリとクルマの運
転に浸かってみませんか。
  尚、早期申込みには特典があります。また宿泊施設の申込みの都合で遅くな
ると同じところに泊まれなくなる可能性もあります。開催案内をご覧の上で参
加を希望される方はお早めにお申込み下さい。

・YRSツーデースクールFSW開催案内
http://www.avoc.com/1school/driving/y2ds.shtml
・YRS歴代ラップタイムFSE
http://www.avoc.com/cgi/laptime.cgi?fsws,b,01

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-
| 3) 卒業生からの手紙                             
  過日、現行のYRSオーバルレースより速度域の高いレースを開催するため
にクォーターマイル(400m)オーバルでシュミレーションレースを開催し
た。参加してもらったのはYRSオーバルレースに参加している常連の方。1
0台のオープンクラスと9台のロードスタークラス。シュミレーションと言っ
てもレースはレース。当日はどこを見ていればいいのかわからないほど、スタ
ートからフィニッシュまで熱い接戦が繰り広げられた。
  後日、オープンクラスに参加したMさんからメールをいただいた。本人には
無断だが読者の方にも読んでいただきたいのでここに紹介する。

         * * * * * * * * * * * * * * * * * *
  
当日は睡魔に勝てず早々に帰宅してしまい、あまりお話できませんでしたが、
改めまして、もてぎオーバルお疲れさまでした。そしてありがとうございまし
た。それから参加者全員にありがとうございますという気持ちでいっぱいです。
あんなに楽しい事はそうそう体験出来るものではありませんし、それは参加者
全員の意識が同じものであるからこそ成し得るものだと思っています。

この日のレースは、トムさんの助言を意識しつつ色々試していました。タイム
がないので裏付けはとれませんが、明らかにヒートを重ねる度に車の特性を生
かした走りが出来たのではとっています。立ち上がりのポイントやアクセルの
踏み方ステアリングの戻し方、等々。特にファイナルヒートの後半以降では、
ターンインでブレーキの残し方とステアリングの操作によっては、リアがスー
と出て向きがどんどん変わっていくのを体感出来ました。とても四駆の動きと
は思えないFR的な動きです。勘違いかも知れませんがタイヤのスキール音も
とても澄んだものに聞こえました。トムさんがレース後に言われた澄んだ心で
の運転。レース最後の方は本当にそんな境地になっていました。ここでブレー
キを踏んで、抜きながらステアリングを切って、ではなく、意識としてはあそ
こに行きたい、あそこで向きを変えたいと思うと車がその通りに動いているよ
うに感じました。
ほんとーに気持ちいい時間でした。もう順位などはどーでもいいやという感じ
です。この運転をもう一度やれと言われても100%YESとは答えられませ
んが、どう感じ、どう操作したかは忘れません。というか忘れたくありません。

ただ漠然と車の運転が上手くなりたい。という気持ちでスポーツドライビング
を始めた口ですが、その楽しさを知り、後込みする自分を鼓舞して何とかレ
ースに出て、その中でしか体験出来ない想像もしていなかった感動に出会えた。
多分、初めの頃よりは運転も上手くなっている。それを実感出来ます。もちろ
んダメな日もあって凹む時もありますが、レースだからこそ成長出来た部分は
非常に多いと思っています。まさにスクールレースですね。

運転が上手くなりたいと思っている人はどんどんスクールレースに出た方が良
いと今なら言えますが、やはりレースに出た事のない人にとってはとてもハー
ドルが高いものであるのも事実。特にTVで放映されるものはF1のような別
世界であったり、格闘技と比喩される国内のレースなどを見てしまうとそれも
致し方がないかなと。それはメディアというよりも国民性、文化的なものから
そうなってしまうのかなとも思います。サーキットに行っていると言うと大抵
は走りやさんですか。と思われるのも少なくないと感じます。

         * * * * * * * * * * * * * * * * * *
  
  クルマが簡単に運転できるようになった今こそ運転手の力量が問われていま
す。本当に運転が上手いのか。それとも下手なのか。そして、こうも問われて
いるはずです。あなたは心から運転を楽しんでいますか?と。モータースポー
ツはその意思のある人だけが参加すべきです。しかしスポーツドライビングは
ステアリングホイールを握る全ての人が体験すべきだと思います。
  Mさん。お疲れ様でした。見ていて気持ちのいい走り。見ているほうの心も
躍りました。ありがとうございます。これからも粋な走りを見せて下さい。楽
しみにしています。                               トム ヨシダ

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-
| 4) 速さが見えない人、流れに乗らない人 トム ヨシダ
  「話を聞かない男、地図の読めない女」という本があったが、ここに書くの
はそれとは関係ない。
  日本の道を走っていると少なからずストレスを感じる。それは道が狭いから
でもなく、林立した猥雑な看板が目障りだからでもない。一緒に空間を移動し
ている人たちがあまりにも幼稚だからだ。アメリカにもおっちょこちょいの人
はいるがその率は日本と比べ物にならないぐらい少ない。
  
  前を走るクルマが左折のためにブレーキをかける。進路をふさがれたと思う
のだろうか、後続の運転手が対抗車線に出て左折中のクルマを追い抜く。
  わき道から出ようとしているクルマがなんのためらいもなく割り込んでくる。
見通しのいい道。後ろにクルマはいない。そして次の瞬間そのクルマは右折す
る。
  黄信号で停車したクルマを右折車線から迂回して赤信号で交差点を通過する。
  速い流れの中。制限速度をぴったり守り、さも私だけが安全運転をしていま
すと自慢げに追い越すクルマに一瞥をくれる人。
  交差点の信号が青になったのになかなか発進しない人。逆に発進しているク
ルマの前を強引に横切って右折するクルマ。
  渋滞の真っ只中。そんな遅い速度でも流れに乗れず渋滞をさらにひどくして
いる人。
  
  その時々。その場面では何事もなく次の空間に移動する。しかし日本の道で
は明らかに距離を走れば走るほど何かが起きる危険性は高まり、幼稚な人が交
通という大きな流れを阻害しつづける。
  運転というものは全く個人的な作業だ。だから本来は自己完結型の行動でな
ければならないはずなのだが、なぜか他人に依存しなければ自分をまっとうで
きない人がいる。他人に犠牲を強いなければ自分の行動を正当化できない人が
いる。自分の目的達成のためには他人が目標に向って続けている、あるいは続
けてきた努力をだいなしにしてもいいと考える幼稚な人がいる。
  それは、例えばこういうことだ。
  かってインディ500でルーキーのるパート・キーガンとベテランのマリオ・
アンドレッティがフロントローに並んだ。スタート。ルパートは自分が優位な
ポジションを取るために針路変更を行った。時速200キロ近い高速ローリン
グラップ中にだ。加速中のマリオは避ける暇もなくルパートと絡む。足をもが
れたマシンは800キロ先のゴールとはほど遠い数百メートルでレースを終え
る。
  全米に放映されたレースの中で優勝候補だったマリオは、「子供が大人の仕
事の邪魔をするものでねぇ。」と珍しく汚い言葉を吐く。

  それが公道であろうとレースであろうと、時速30キロの流れであろうと時
速300キロの流れであろうと、そこには歴然とした、たゆまない流れがある。
そこにいる人全てを飲み込む大きな、時間的空間的な流れだ。それは決して個
人に帰するものではない。その流れに身をゆだねられないのは幼稚だ。なぜな
らば流れに乗らなければ個人の目的も達成することができないからだ。心ある
人はそれを知っているから局面でものを捕らえるのではなく、流れの中でもの
を感じ考える。
  制限速度を超えて走るのは合法的ではない。しかし自然に形成された流れが
制限速度を超えていたとしたら心ある人でも流れに乗るだろう。その方がより
安全だからだ。更に、個人の目的を達成しやすいと判断できるからだ。
  先を急いでいるとしても、心ある人なら迫ってくるクルマをやり過ごし空い
ている空間に乗るはずだ。割り込んで手に入る時間は流れの中では微々たるも
のに過ぎないことを知っているからだ。流れと個人の相対的な関係が理解でき
るからだ。
  前を走るクルマのブレーキランプと左のウィンカーが点く。それを無視して
前車に追いついてしまい自分が急ブレーキをかけなければならないから対抗車
線にはみ出てまで前車を避ける。なんのことはない。早めに速度をコントロー
ルしておけば前車が左折し終わった時に自分は加速を始められる状況が作れる。
全体の大きな流れを阻害することなく自分のテンポを守る術もある。
  渋滞中に前が空いたから加速する。前が詰まったから減速する。だから渋滞
が終わるどころか更に拍車がかかる。流れに乗っている人全員が車間を時間と
空間で捕らえることができれば、あらゆる速度で均等な車間を保てる。ほんの
少しばかり気をつければ自分が委ねざるを得ない流れそのものを密度の高いも
のにすることができる。

  同様なことは我々の身近にあるグラスルーツレースでも見られる。
  ヘアピンの進入で前車に近づく。立ち上がりで更に近づこうとスロットルを
早めに開ける。ストレートで離される。アイツはエンジンをいじっていると毒
づく。近づいたのは流れが遅くなったから相対距離が縮まっただけであって、
追いかける人のテクニックでも手柄でもない。自分の誤解が自分自身を不利に
する。
  前を走るクルマのインが空いてそうだから飛び込んで抜こうとする。だが抜
けるわけがない。同じような性能のクルマが同じ目的で流れを作っているのだ
から、相手が失速しない限りは抜くことはできない。インが空いているのと失
速しているのとは違う。レースという大きな流れでみれば理解できる。競り合
っているクルマ同士が流れから遅れ始め、前を行くグループに離される。
  レースでライバルを追い越せると思うのは思い上がりだ。相手がミスをして
失速し自分がミスをしない場合にだけ速さに差が生まれるから追い抜くことが
できる。だから自分がミスをしないというのがレースのボトムラインだ。だか
ら相手がミスをしなければ順位が変わらないレースがあるのが当然なのだ。
  モータースポーツの流れは公道のそれと違って大きく異なる点がある。それ
は流れの中にいる人全てが勝利という共通の目標を抱いていることだ。だから
モータースポーツには厳しさがある換わりに人間を成長させてくれる母体のよ
うなおおらかさもある。要するにやっていいこととやってはいけないことがこ
れほど明確な『交通』はないということだ。そして、人と競り合ううちに、や
ってはいけないことを規制されていると受け取るのではなくやっていいことに
転化するコツを覚えることができる。それがロードレースであれオーバルレー
スであれ、これほど運転を楽しめる環境はない。スポーツドライビングの先に
モータースポーツを勧める理由だ。

********************************************************** 奥付け ****
  □ メールマガジン " Go − Circuits " 
  □ 有限会社ユイレーシングスクール発行
  □ 編集/ 文責:トム ヨシダ
  □ オリジナルサイト:http://www.avoc.com/
  □ Copyright Yui Racing School Co.,Ltd.
  □ Copyright 1986-2006 AVOC CORPORATION
        本メールマガジン、オリジナルサイトの全部、または一部を複製
        もしくは引用されたい方は、事前に発行人までご連絡ください。
  
 宛先:発行人  mm@avoc.com
≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡ Presented by Yui Racing School≡