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Go − Circuit No.2 (09/23/99)

------------------------------------- from California, USA ------
●クルマを走らせるのは楽しい。速く走らせるのはもっと楽しい。●しかし安
全に速く走らせることが難しいのも事実。走らせ方を理解していないと楽しく
もないし危険でさえある。●クルマをもっともっと楽しむために「クルマさん
との正しいお付き合いの仕方」を学びませんか。●当サイトからの提案です。
<<標語>> 公道では安全運転、サーキットではそれなりに。
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◆ まず最初に質問です
1)スローインファーストアウト
2)アウトインアウト
というふたつの言葉を聞いたことあるいは読んだことがあると思います。どち
らもサーキットを速く走るための最も基本的なテクニックです。1)は、文字
通り「コーナリングの際にゆっくり進入しすばやく脱出する」という意味。2
)は、「コーナーのアウトから入ってインにつきアウトに向かって脱出する」
ライン取りを意味します。さて、サーキットを走る場合『なぜスローインファ
ーストアウトとアウトインアウトが速く走るために必要なのでしょうか?』
創刊号の「秘伝」、または http://www.avoc.com/textbook/p8_shaba.htm
の中にヒントがあります。
答は次号、Go−Circuit No.3に掲載します。安全に速くサーキッ
トを走るための基本テクニックです。じっくりと考えて下さい。

◇ 次にある実話の紹介です
ある日のジムラッセルレーシングスクール。舞台はカリフォルニア州のモント
レーにある、コークスクリューという超下りのS字コーナーで有名なラグナセ
カレースウエイ。日本から6名の受講生がやってきました。
受講生と言っても一般に募集したわけで、「走りの経験」は人様々。今回は6
人の中の、峠で腕を磨いたと自認するS君と受講料を捻出するために持ってい
たAT車を売ってまで参加したN君の話。
3日間のコースも2日目になると1周3.58Kmのコースを走りっぱなし。
毎週全受講生のラップタイムを計測し、理論が理解できているか判断します。
もちろん各コーナーに行って一人ひとりの走りも確認します。
1回12周のセッションが終わると、その都度一人ひとりにそのセッションで
気付いたことを伝えます(これをクリティークと言います)。S君の番になり
ラップタイムを示すと、急に険しい顔になりました。こちらにはその理由がわ
かっていました。S君は、前のセッションより200回転高いリミットで走る
ように指示されたにも関わらず、ラップタイムは前のセッションとほとんど変
わらないのです。おそらく、大いに自尊心を傷つけられた故のことだったので
しょう。
憮然とした表情からは、「あれだけ攻めたんだから、何秒は縮めた!」という
期待が裏切られたことがうかがえます。
一方のN君は、フォーミュラカーに乗ることも初めてなら、マニュアルシフト
を操るのも初体験。到着するなり「うまくシフトできますかネ」と聞いてきた
ほどですから、大いに緊張して周回を重ねたことでしょう。もちろん、最初は
ラップタイムは6人中最低。しかし、クリティークのたびに質問を用意してい
るほど「走りの解析」に貪欲で、ラップタイムはペースは遅いものの上昇しっ
ぱなし。ラップタイムに1周で3秒もの乱れがあるS君とは大違い。

結局、3日目の最終セッションでN君はそれまでのベストラップを記録しまし
た。まだ速い部類には入りませんが、「速くなれる方法」だけは見つけたよう
です。S君にとっては最悪の3日間だったかもしれませんが、もともとクルマ
のコントロールは優れていたのでしょう、絶対的な速さと安定感は不足してい
るものの、なんとか6人中で最も速いタイムを出しました。ずいぶんと回り道
でしたが...。

S君が犯した間違い。それは「クルマが自分の思い通りに動く」と誤解してい
たことです。S君のコーナーへの進入は、まさにクルマとの格闘。暴れるマシ
ンをねじ伏せるかのように抜けていきますが、自分が思っているほど速く走れ
てはいないのです。米人のインストラクターが「危ないから走るのを止めさせ
ろ」と言ったほど、S君の運転は『理にかなっていない運転』でした。無事に
卒業したのも、偶然に何もなかっただけのことです。その日のS君は理解でき
なかったかも知れませんが、「何とかなる」という予見だけで速く走ることは
ペケです。本人のためにもなりません。

N君が得たもの。それは「因果関係さえわかっていれば、速度が高くなっても
やることは同じ」だという理論的な解析方法を理解したことです。

この二人には、またの機会に登場してもらうことにします。

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◇ ブレーキングの話
「ブレーキングの目的は止まることだ」と決め付けている人はいませんか?
確かに教習所では「止まるためにブレーキをかける」と教わりますが、止まる
ことはブレーキの機能のうちのひとつでしかありません。日本語で書くと良く
わかりますが、制動とは文字通り動きを制すること。速さをコントロールする
ことです。
特にサーキット走行の場合、止まる必要があるのはピットインする時だけ。残
りは全て速さをコントロールすることが目的です。

サーキットでブレーキをかけるのはどこですか?
本当はブレーキなどかけないでサーキットを走れれば、すごいラップタイムが
出せるはずです。ところがタイヤのグリップには限界があります。ですからい
くらクルマの性能が良くても、速すぎては抜けられないコーナーが必ず出てく
るのです。従って、サーキットでブレーキをかけるのはコーナーの手前。目的
はコーナーを通過できる速度まで減速することです。

ブレーキをかける時、何を考えてますか?
サーキットを速く走るためには、各コーナーをそれぞれの限界速度で回ること
です。ここに落とし穴があります。もし「ブレーキングは単純に速度を落とす
ことが目的」と考えていると、コーナリング自体の脈絡が、減速が終わり加速
に移る地点でプッツリと切れてしまいます。これはペケ。コーナーでは速度を
落とす必要があるのですから、サーキットを速く走るためには逆に加速してい
る時間をできるだけ長くするべきです。そのためには、ブレーキングをコーナ
ー手前の作業と考えずに、「ブレーキング開始時からコーナリングは始まる
(実際はターンインの時からですが)」と考えます。

ということは?
そうです。サーキットにおけるブレーキングは、クルマを止めるためのもので
もなければ、単に速度を落とすためのものでもありません。サーキットにおけ
るブレーキングとは、実は「加速のために行う操作」なのです。この考え方が
身につくかどうかで、ラップタイムは大きく異なります。

わかりましたか?
従って、慣れるほどにコーナーの奥まで突っ込み、加速に移る地点まで奥に行
ってしまうのは、ラップタイムを縮めているようなものなのです。
そこで笑っている君。心当たりがありますネ。

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◎◎ 日本にアメリカ流レーシングスクールを持ち込みます ◎◎

*** Yui Racing School 日本校開校 ***

・12月9日に埼玉県の桶川スポーツランドで開催します
・名称は、「トム ヨシダの ドライビングワークショップ」
・Yui Racing School のプログラムの一部です
・ 受講車両は受講者が持ち込む、軽/小型/普通の乗用車と最大積載量500K
g以下の商用車とします
・ 受講車両は公道を走ることができる車両に限ります。極端な改造車は受講を
お断りする場合があります
・ 定員は20名
・ 原則的に免許証所持者が対象ですが親権者の承諾があれば未成年者の受講も
受け付けます
・ 同伴者の入場は無料なので、御自身のラップタイムを取ってくれる方とおい
でになることをお勧めします
・ 3時間半のスクールの内容は以下の通りです
集合 スクール内容の説明
慣熟走行後、ラップタイムを計測して走行 (希望者のみ)
ブレーキングの練習とクリティーク
コーナリングの練習とクリティーク
フルコース走行(希望者のみラップタイムを計測)
走行全般のクリティーク
卒業証書授与
・ 各受講者の合計走行時間は約80分です
・ 受講者は来年 Yui Racing Schoolが開催するタイムトラ
イアルに参加できます
・ 受講費用は、一人一台18,500円(税込み)です
・ 参加申し込みは10月15日から受け付けます
・申し込み方法は
http://www.avoc.com/events/application.htm で説明しています。

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9月8日から20日まで日本に行ってきました。訪日中、ツインリンクもてぎ
をはじめ、日光サーキット、山梨スポーツランドなど10ヶ所ほど見てまわり
ました。平日にも関わらず走っていた走り屋さんに負けないメールマガジンに
したい思っています。それでは、今日も安全運転を。

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過去オリジナルサイトのフォームで質問を寄せられた方には個別に回答してき
ましたが、メールマガジン上で回答し多くの人と共有できる質問を募集してい
ます。初歩的質問大歓迎。mailto:publisher@avoc.com まで送って下さい。

*************************************************** 奥付け ******
Mail Magazine " Go − Circuit "
発行元:AVOC、 Fountain Valley, CA 92708 USA
発行人:トム ヨシダ
メール宛先:publisher@avoc.com
オリジナルサイト:http://www.avoc.com
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ユイレーシングスクール http://www.avoc.com/ の増
刊号として、このメールマガジンは発行されています。
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