≡≡ Yui Racing School presents ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
Go − Circuit No.6 (10/29/99)
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●クルマを走らせるのは楽しい。速く走らせるのはもっと楽しい。●しかし安
全に速く走らせることが難しいのも事実。走らせ方を理解していないと楽しく
もないし危険でさえある。●クルマをもっともっと楽しむために「クルマさん
との正しいお付き合いの仕方」を学びませんか。●当サイトからの提案です。
<<標語>> 公道では安全運転、サーキットではそれなりに。
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【No.6 の目次】
◆ テクニック解説 − スローインファーストアウト
◇ Q & A − タイミングの取り方がわからない
■ お知らせ − カリキュラムの追加と来年の暫定日程
□ 連載 − フロム マイレーシングダイアリー Part 3
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◆ スローインコースアウトにならないために
「ブレーキは加速のために使え」とYui Racing Schoolのサ
イトには書いてあります。つまりサーキットで走る場合に限り、教習所で教え
てもらった「止まるためにブレーキをかける」という常識を忘れ、「ブレーキ
ングの目的は効率よく加速すること」へと意識を変えてください、という意味
です。
理由は簡単。スロットルから足を離した瞬間に「直面するコーナー」に対して
のコーナリングが始まるからです。そう、スロットルから足を離した瞬間から
コーナリングは始まるのです。そして、そのコーナーの出口でクルマが完全に
直進状態(左右のGがかかっていない状態)になるまでコーナリングは続きま
す。直進状態であれば、「何の遠慮もいらずに思う存分」加速ができます。従
って、サーキットを分割するとしたら、「コーナリング区間」と「加速区間」
しか存在しません。他のいかなる状況も、「速く走るため」には必要のないも
のです。
速く走るための方法がだいぶすっきりしてきました。しかも「加速区間」中は
、運転手がどんなに頑張っても「速く走るためのお手伝い」をすることができ
ません。要するに、速く走るために運転手ができる(唯一の)ことはコーナー
をできるだけ速く走ることだけです。前号までの説明でわかったと思いますが
、「コーナーの出口での速度をできるだけ高く維持するコーナリング」が当面
の目標です。
#と書くと、またもや「な〜んだ。速く走るためにはやっぱりコーナーを攻め
なきゃだめなんだ」とばかり、ガムシャラにコーナーに向かっていく人が出て
きそうです。でも、レーシングテクニックは奥が深いものです。まだまだ先が
あります。ここはひとつ、実技ではなく「思考方法を速くする」時間と考えて
下さい。
[ ある種のコーナー。例えば長〜いストレートの後に控えるコーナーなど
[ は「スローインファーストアウト」より「ファーストインスローアウト」
[ の方が速い場合がありますが、ここでは一般論として説明を続けます。
さて、なぜ「スローインファーストアウト」なのか。
クルマの性能を示すテストデータに興味がある方なら、すぐに分かります。
前述の説明にありように、コーナリングに続くものは加速です。厳密に言うと
、クルマが直進状態になった時から全開加速が始まります。
さて、テストデータの中に「中間加速」という文字を見かけた人は多いと思い
ます。サーキットにおける加速とは、まさにその「中間加速」なのです。デー
タには、3速:40−80Km/hとか書かれているあれです。
概ねクルマは回転域の高い部分の加速の方が速いのは経験的に知っていますよ
ネ。つまり、3速:20−60Km/hより3速:40−80Km/hの方が速
いのがふつうです。この図式がサーキットの加速にもあてはまるわけです。
仮に、あるコーナーの脱出地点(ステアリングを完全に戻せる地点)をAとし
ましょう。このコーナーに続く直線の最後、ブレーキングを開始する地点をB
とします。
S君は「それイケッ」とばかりに突っ込んでバランスを崩しクリッピングポイ
ント付近でカウンターステアをあてるはめになりました。ヨレヨレです。その
分、失速してスピードが落ちたのとスロットルを開けるのが遅れたために、A
地点での速度は68Km/hでした。
一方セオリー通りにアプローチしたN君は、クリッピングポイントですでに加
速に移れる状態にすることができました。ターンインからクリッピングポイン
トまでの速度はS君よりは確かに遅いのですが、N君クリッピングポイントを
過ぎてからもすぐには全開加速に移れないことに気付いていました。だから、
コーナーの前半部分では抑え、後半に余裕を持った法が得策ではないかと考え
たのです。クリッピングポイントを過ぎてから徐々に加速を開始し、Aに達す
るやフルスロットルをくれてやることができた彼の速度は72Km/hでした。
さて、S君とN君。どちらが先に、しかも高い速度でBに到達するでしょう?
数字は全て仮定のものですが、間違ってもS君のBでの速度がN君のそれより
速いということはあり得ません。
もうお分かりですネ。A→Bを加速する時、Aの地点の速度、つまり中間加速
で言うところの「初速」が高い方が「ストレートを速く駆け抜けることができ
る=ラップタイムが短縮できる」ことになるのです。
特にスポーツランド山梨のストレートなど、コーナーの後に上りの直線が続く
場合。上り坂は抵抗になりますから、最終コーナーのヘヤピンの抜け方が悪い
と、実際にはその何倍もの損失がラップタイムに跳ね返ってきていると思って
下さい。
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◇ Q & A − タイミングの取り方を教えて
●読者から次のようなメールをいただきました。コーナリングに関する質問で
す。Yui Racing Schoolでは、この質問で触れられている「
トランジッション」をもう少し先に掲載しようと考えていました。しかし理論
だけでは速く走れないのも事実ですから、皆さんが多少混乱するかもしれない
ことを承知で「トランジッション」のサワリの部分を説明します。
●実は、この「トランジッション」の習得こそレーシングスクールの存在意義
なのです。文章で説明するにはあいまいな部分が多く、実技と理論を同時に習
得することが必要な「コツ」だからです。もしお読みになって、ますます混沌
としてきた方は、ぜひドライビングワークショップにおいで下さい。
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いつもためになる記事ありがとうございます。楽しみに読んでおります。さて
、アウトインアウト、スローインファーストアウトに関し、下記の件どこかで
解説頂けたらと思いメールしました。
特に限界ではないのですがスムーズかつ速く曲がるために、ブレーキ、ステア
、アクセルのプロセスがそれぞれ並行して行われるべきような気がします。例
えば、ブレーキを踏み、少し残した状態でステアを切り、ブレーキを離し、ア
クセルを踏む、このプロセスですが、タイミングが分からず困っております。
良いタイミングでは、非常にスムーズに曲がってくれるような気がします。
さて、どこかで上記タイミングについてお教え頂けますでしょうか。特に、上
記のブレーキを残し同時にステアを切る事が良いのかどうか、解説頂けたら幸
いです。【MI】
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投稿ありがとうございました。
MIさんのご指摘は、まさに「スムースに走るため」ために欠かせないテクニ
ックです。というより、コツですかネ。ある瞬間に前後の操作が重なることは
間違いありませんし、必要なことです。
実は当サイトでは意図的にこの点を避けていました。というのも基本的な理屈
を理解してもらってから、いわゆる「移行の部分/重なる部分」(英語ではト
ランジッションと言いますが)を解説しようと思ってました。
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> MIさんのご指摘は、まさに「スムースに走るため」ために欠かせないテク
ニックで> す。というより、コツですかネ。ある瞬間に前後の操作が重なるこ
とは間違いありま> せんし、必要なことです。
やはりそうなんですか。でもこれオンロードのサーキットでも使うのでしょう
か?
> 実は当サイトでは意図的にこの点を避けていました。というのも基本的な理
屈を理解してもらってから、いわゆる「移行の部分/重なる部分」(英語では
トランジッションと言いますが)を解説しようと思ってました。
なるほど。やっと長年の謎が解けそうです。よろしく御願いします。へたな人
にも分かるように具体的にどうすれば良いのかと言う事に踏み込んで頂けると
非常に嬉しいです。【MI】
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さて、本題です。
サーキットを一周してくると、確かにブレーキ、ステアリング、スロットルの
操作が重なった方がスムースに走れる部分があります。各操作から次の操作に
移る部分です。これをトランジッション(移行/変遷)と呼びます。これは、
特に姿勢制御が重要なオンロード走行で必要なテクニックです。
最初に、速く走るために求められるものは「オン・オフスイッチのような操作
」ではなく、スイッチに例えるならレオスタットのような「漸進的に切り替わ
る操作」だということを覚えておいて下さい。
コーナーが近づきます。スロットルからブレーキペダルに足を移します。ブレ
ーキを踏み込みます。ターンインポイントが近づきます。
理想的なコーナリングは、特にクリッピングポイントまでの前半部分は「タイ
ヤのグリップ」を最大限横方向に使った時に実現します。つまり、前後にグリ
ップが振り分けられないように「加速も原則もしない状態−これをアメリカで
はイーブンスロットルと呼びます」でクリッピングポイントを目指すコーナリ
ングです。
ではどうしたらこのイーブンスロットルのコーナリングができるでしょうか?
ターンインポイントで一気にブレーキを解除する?それまでの前荷重が急激に
後ろに移動することでクルマのバランスが崩れます。
ターンインポイントでスロットルに足を乗せる?それができるなら車速を落と
しすぎと言うものです。
一般論で言えば、ターンインポイントまでに「必要なブレーキング」が終わっ
ていることを前提として、ターンインポイントを若干過ぎるまでブレーキペダ
ルに足を乗せておく(厳密には制動の最終段階としての前荷重)ことがスムー
スに走る秘訣です。すなわち、ここにブレーキングとステアリングが重複する
部分が生まれます。
目的は、そう、あくまでもクルマをスムースに移動させることです。「シャバ
の決まり」を読まれたでしょうか?クルマは人間よりずっと重いものです。人
間が勝手に思い込んで操作しても、「クルマさん」は理解できる範囲でしか応
えてくれません。つま、スムースに走ると言うことは「クルマさんの事情を察
しながら運転する」ことです。ここに重たいクルマさんの機嫌を損ねないため
の「スムースなトランジッション」という「コツ」の必要性が生まれます。
コーナーの進入でブレーキングとステアリングを重ねるとどんなメリットがあ
るでしょう?これは結論から言います。
・ブレーキを一瞬で解除しないためにクルマの荷重移動が穏やか
・ステアリングの切り初めが前過重なのでフロントが逃げない(アンダーステ
アに陥らない)
・ターンインポイントを過ぎてから前方に突発自体があった時に対処しやすい
・ターンインポイントまでに車速を落とすためのブレーキングは終わっている
が必要ならば最後の微調整ができる
肝心なのは、クルマ同様タイヤさんも性能の限界を越えては人間の運転に応え
てくれない、ということです。確かにコーナーにブレーキングを残して入ると
クルマは安定します。しかし同時にステアリングも切っているわけですから、
「必要以上のこと」はタイヤさんに無理を強いる結果になります。
漸進的と言ったのは、「ターンインポイントでブレーキングを残している分、
ステアリングを加減して切り始めなければならない」からです。ブレーキング
ステアリングにしろ、ステアリングとスロットルにしろ、トランジッション中
(操作が重なっている時)、「両方の操作の和」が常に一定であるとタイヤさ
んは全性能を発揮してくれます。
クルマがクリッピングポイントに近づきます。ブレーキングの最終段階を漸進
的に終えた右足はスロットルの上にあるはずです。しかしタイヤは能力を横荷
重に全て使っていますから、加速に移ることは「クルマさんを怒らせること」
です。では、どうしたらクリッピングポイントを過ぎた早い時機から加速に移
れるでしょう?どういうトランジッションを行えばいいのでしょう?
ここで重要になってくるのがラインです。ですから最初にラインの話をしまし
た。アウトインアウトのラインの必要性が分かっていれば、クリッピングポイ
ント以降のトランジッションがどうあるべきか、想像はつきますよネ。
さぁ、コーナー前半ではブレーキングとステアリング、コーナー後半ではステ
アリングとスロットル。たったひとつのコーナーを抜けるのにも、ふたつのト
ランジッションをこなさなければなりません。ですが、これこそサーキットを
安全に速く走るのに必要なコツです。
クルマを運転する方は誰でも、サーキットで「何をすべきか」は分かっていま
す。しかし、速く走れないのは「どうやるか」が分かってないからです。
最後にMIさんの質問の答です。
ブレーキを残してステアリングを切っていいものか?
場合によりますが、基本的にはもんだいありません。
平行して操作を行う場合のタイミングは?
目印になるような目標や具体的なタイミングの例はありません。なぜかと言い
ますと、タイミングはその都度変わるからです。ですからタイミングは、「運
転手がクルマの状況を判断して決める」以外にありません。状況把握の大切さ
はここにあります。
トランジッションとは、重なる操作の和が一定の時、最も有効に働きます。
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■ お知らせ
◎来年からカリキュラムを追加します
現在、来年の日程を調整中ですが、今年12月9日にも行うドライビングワー
クショップという最もベーシックなカリキュラムに加え、その受講生を対象と
したドライビングクリティークを実施します。
改めて、Yui Racing Schoolのカリキュラムを説明すると:
DW−ドライビングワークショップ
ブレーキング、コーナリングの基礎と過重移動のコントロールに重点を置いた
カリキュラム。ドライビングワークショップを受講することで、走りの理論を
実際の走行に応用できるようになります。
DC−ドライビングクリティーク
原則としてドライビングワークショップを受講された方のためのカリキュラム
です。サーキットの連続走行の中で運転が理にかなっているかどうかを判定し
、より速く走るためのテクニックとコツを復習しながら、改善の余地のある場
合は受講生に個別にアドバイス(クリティーク)します。
の2種類です。
◎来年のDW、DCの暫定的な日程です。
1月8日(土) 桶川スポーツランド DW/DW
1月9日(日) 桶川スポーツランド DW/DC
2月11日(金) 桶川スポーツランド DW/DW
2月12日(日) 桶川スポーツランド DW/DC
3月18日(土) スポーツランド山梨 DC/DW
3月20日(月・祝日) スポーツランド山梨 DC/DC
4月29日(土・祝日) スポーツランド山梨 DC/DW
5月1日(月曜日) スポーツランド山梨 DW/DW
日程はあくまでも予定です。変更される可能性があります。
各クラスとも定員は20名を予定しています。参加申込が10名に満たない場
合は中止になる場合があります。
受講料金、申し込み開始日、同締め切り日については後日発表します。
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□ 連載 − フロム マイレーシングダイアリー Part 3
(AVOCが発行していた印刷メディア、アメリカンモータースポーツシーン
99年2月号より抜粋)
SCCAが認めた車両には、FIAやJAFが言うところの公認期間がない。
SCCAが特定のモデルを認める理由は、そのモデルで参加しようとする個人
がいるからであって、メーカーが高い上納金(公認料)をJAFに収めて申請
しなければ公認されないのとは根本的に違う。別項で触れるが、その公認のし
かたもまさにアメリカ的。
そして、これもSCCAならではの思想なのだが、量産車移行の車両のクラス
が排気量で分けられていないのが特筆に価する。
いわゆる規則でがんじがらめになった(その実、規則の抜け道を利用して不公
平な競争が行われている)FIAやJAFのルールになじんだ向きには理解し
にくいことかも知れない。しかし、柔軟な規則の運用、つまり人間と人間の徹
底した話し合いこそが「四角四面な遵法精神や規則至上主義」に優先するとい
う考え方だが、それがあったからSCCAは50年間アメリカの底辺のロードレ
ースを育ててこれたし、その綿々と続いた人間同士の議論と工夫がSCCAの
歴史を作り上げたと言える。
ともあれ、生産車移行のカテゴリーに関してSCCAは、個々のモデルの“ポ
テンシャルパフォーマンス”を基準にクラス分けを行う。要するに潜在性能だ
。各カテゴリーごとに決められた改造を施した時、各モデルが発揮する性能を
比較してそれぞれのクラスにあてはめることになる。
例えばあるメーカーが同じモデルに異なるエンジンを搭載して販売していたと
する。片方が1.6リッターのDOHCでもう一方が1.5リッターのOHCだとし
よう。DOHCモデルは2リッターOHCエンジンを搭載した他のメーカーが
走るクラスに組み込まれ、OHCモデルはこれまた他のメーカーが販売する1.
3リッターのDOHCエンジンを搭載したクラスで走る。
日本のレース関係者からは、「なんでそんな面倒くさいことをする必要がある
の?」と言われそうだが、逆の見方をしてもらえば納得できるのではないか。
日本は何がなんでも高性能でなくてはならないと最も性能の高いモデルをレー
スカーのベースに選ぶことが当たり前だが、そうすることでレースに参加しよ
うとする人は性能も高いが値段も高いモデルを買わなければならなくなる。
ところがレースに出たい人もいろいろな考え方を持つ人や様々な環境の人がい
るわけで、極端に言えば、DOHCしかレースに出れませんとなると、OHC
しか買う予算のない人やたまたまOHCモデルを持っていた人はレースに参加
できないことになる。
ところがSCCAでは、いやアメリカでは選択を参加者(消費者)に委ねるの
が当たり前。いや、別にSCCAやアメリカの懐が広いと言っているのではな
い。スポーツとしてもビジネスとしても、消費者の選択肢を広げることが社会
的に認知される第一歩なのだ。仮に1.5リッターOHCモデルを選んだ人が1.3
リッターDOHCモデルに勝てなくても、SCCAは関知しない。参加者(消費
者)は多くの選択肢を与えられているからこそ自分で下した選択には責任を負う
、という図式。
単純に計算できる話ではないが、選択肢を増やせばそれだけ選ぶ可能性がある
人が増える、というのは近代マーケティングの鉄則のはずだ。
プロダクションとGTクラスでは、性能差を少なくするためにクラス分けとは
別にSCCAがモデルごとの仕様を決めている。そう、それが前述のスペック
ブックで、公認されているモデル1台ずつにSCCAが定める仕様が明記され
ている。
スペックには、モデル固有の車重、前後のトレッド、ホイールベース、ホイー
ルの径と幅、変更できるキャブレターの種類と個数と最大ボア径などの規定値
が書かれる。クラス分けの次のステップとして、モデル間の性能差をなくすた
めだ。
例えばの話。60年製のスプライトと78年製のフィアットがプロダクションGク
ラスで走っている。常識的に考えれば新しいモデルの方が速い。ましてフィア
ットはミッドシップだ。ところが両方ともHクラスにしては速すぎるし、Fク
ラスに入れるには遅すぎる。そこでスペックによる性能の均一化が行われる。
そして、このスペックはレースの安全面にも大きな役割を果たしている。
スプライトは昔の車だからホイール幅が狭い。4インチリムが標準だった。太
いスリックをはくためにはホイールの幅を広げる必要があるのだが、もともと
細いタイヤ用に作られているスピンドルの強度はそれほど高くない。従って車
重を押さえれば負担が減るわけで、ホイールの最大幅を5インチに規制する代
わりに車重をフィアットより180ポンド軽くして32φのサイドドラフトキャ
ブレター2基の装着を許可する。一方のフィアットはエンジン自体がDOHC
だからキャブレターは38φのダウンドラフト1基とし、車重が重い分ホイール
幅は6インチまでとする。
結局、パワーは少ないが軽量のスプライトが細いタイヤをスライドさせてヘヤ
ピンを立ち上がる一方で、より大きなトルクと太目のタイヤでしっかりとグリ
ップしたフィアットが同じような速さで加速する。
4速全開のコーナーではスプライトが完全な4輪ドリフト状態になり、ドライ
バーはスロットルだけで自在にドリフトアングルを変化させベストラインをト
レースする。1サイズ太いスリックをはいてもウエイトを積んだ車重のせいで
外にはらもうとするフィアットを、ドライバーが丁寧なステアリングワークで
ラインに乗せる。
こうして古い車と新しい車が、お互い現役同士として白熱した争いを繰り広げ
る。
ちなみにモデルの公認は年2回、スペックの見直しは年4回SCCAの技術委
員会で行われるから、遅いモデルがいつまでも遅く、速いモデルが勝ちっぱな
しという状況は決して生まれない。
<続く>
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発行人からのお願い
過去オリジナルサイトのフォームで質問を寄せられた方には個別に回答してき
ましたが、メールマガジン上で回答し多くの人と情報を共有できる質問を募集
しています。初歩的質問も大歓迎です。どしどしお送り下さい。
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