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Go − Circuit No.8 (10/31/99)

------------------------------------- from California, USA ------
●クルマを走らせるのは楽しい。速く走らせるのはもっと楽しい。●しかし安
全に速く走らせることが難しいのも事実。走らせ方を理解していないと楽しく
もないし危険でさえある。●クルマをもっともっと楽しむために「クルマさん
との正しいお付き合いの仕方」を学びませんか。●当サイトからの提案です。
<<標語>> 公道では安全運転、サーキットではそれなりに。
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□□□□□□□ 質問と □□□□□□□□□□□□□□□□□■□□□□□
□□□□□□□□□□□□□ その回答 □□□□□□□□□□□□□□□□
□□■□□□□□□□□□□□□□□□□□ 特集 □□□□□□□□□□□


≪ No.8の目次 ≫

●読者からの質問とその回答

○あとがき

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●読者からの質問と回答


▽ 質問 その壱

質問:昔からの疑問があります。ブレーキを踏む瞬間では,わずかながらそっ
と踏み,過重がゆっくり後ろから前に移行するようにする,というプロが多い
のですが,どうしてかよくわかりません。アクセル全開の時間が長いほど速く
走れるとすれば,ぎりぎりまで我慢してドカンとブレーキをした方が速そうに
思うのです。急にドカンと踏むとロックしやすいとかの理屈があるのでしょう
か?

できたら教えてくださればと思います。よろしくお願いします。 【武田昌樹】

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確かに過去のレーシングスクールでもブレーキをロックさせる人がいました。
特にブレーキングの初期にロックさせることが多かったと記憶しています。

なぜロックするかを考えてみましょう。

サーキット走行ではスロットルを「ベタ踏み」しているので、ブレーキングと
コーナリングをしている以外は「常に加速状態」にあります。仮に最高速度に
達していて走行抵抗と駆動力が釣り合い速度が伸びない状態であっても、クル
マは加速状態にあります。加速状態では後ろから押す力が働いているので、ク
ルマは静止状態より「前上がり」になっています。前上がりの姿勢では、クル
マのフロントスプリングは静止荷重時よりも伸びています。

そして、「クルマさん」は大きくて重いものですから、人間よりは速く動けな
い(反応しない)ものです。

ですが、速く走りたい一心の運転手は「クルマさんの都合」も考えずに、スロ
ットルペダルからブレーキペダルへと電光石火のごとくジャンプします。

運転手の頭の中では、「ギリギリまでスロットルを開けつづける」→「間髪を
入れずにブレーキをかける」→「よーし良くできたからタイムが縮まったはず
だ」という思考が働いていますが、クルマさんの事情は違います。

「まだスロットル開けてるの?」→「オッ、なんだ突然スロットルを閉じて!
」→「オイオイ、今後は急にブレーキかヨ!!」とは言いませんが、状況とし
ては「しょうがないネ。とりあえずっと、スロットルを閉じたんだから加速は
終わりネ」→「まず伸びていたフロントスプリングを縮めてっト」→「ウン、
上がっていたノーズが戻ったネ」→「で、今度はブレーキか?じゃ徐々にフロ
ントスプリングを縮めてト」てな具合になっているのです。

つまり、クルマさんにはこれだけのプロセスが必要なのに、身勝手な運転手は
「俺の言うこと聞いてりゃいいんだヨ」とばかりに振る舞います。

これは運転手の失態です。「フロントスプリングが伸びている間にブレーキを
かけるから、踏力とブレーキがロックする寸前の因果関係がわからない」→「
運転手の身勝手な操作にも関わらず、クルマさんがフロントスプリングを伸び
から縮みに変更してくれている間に必要以上(反応がないからこれでもかって
運転手が踏んだ結果)の踏力が加えられる」→「ロックする(タイヤが悲鳴を
上げる)」→「クルマさんが『ザマァミロドコヘトンデッタッテワシャシラン
ケンネ』とそっぽを向く」という由々しき事態が起きているからです。

クルマさんは言います。「速く走るためには全ての部分を限界で走り、それを
スムースに順序良くならべればベストラップが出る」と。

「タイムが縮まるからという運転手のひとりよがり」は、少なくともブレーキ
ング区間では「限界にはるか及ばない走り」という結果になるのでした。

ブレーキはタイヤがロックする寸前の状態で最も効果的に効きます。逆にロッ
クは、1)ステアリングが効かなくなる2)ロック中にステアリングが少しで
も切れているとロックから回復した瞬間にクルマがあらぬ方向を向く3)タイ
ヤが消耗する4)得することは何もない、という悪循環の入り口です。

クルマさんを怒らせないために、「シャバの決まり」を用意してあります。

http://www.avoc.com/textbook/p85_shaba.htm

またはメールマガジン「Go−Circuit No.1」でご覧になれます。

では質問です。ブレーキングに移る間へにスロットルペダルから足を離します
が、どんなプロセスで離せばクルマさんを怒らせずに住むでしょう?


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▽ 質問 その弐

質問:こんにちは。いつもメールマガジン、興味深く拝見しております。今日
は質問のためメールを差し上げました。まだホームページの方は拝見していな
いので、もしかするとそちらとダブっているかも知れないのですが……。

サーキットの走行会に参加したいと思っているのですが、サーキットを走るた
めに最低限しなくてはならない、もしくはしたほうが良い車の準備・チューン
などありましたら教えてください。

私はシルビアS13に乗っているのですが、ダウンサスで車高を少し落として
いるだけなので、サーキットを走るには耐えられないかな……と心配です。よ
ろしくお願いします。【 ぱる 】
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具体的な話に入る前に、Yui Racing Schoolの考え方を聞い
て下さい。

「サーキットでクルマを楽しむ」のには2種類の方法があると思います。ひと
つは競技に参加して「他人と同じ車両規則の元で、他人とクルマを速く走らせ
るテクニックを競う」こと。もうひとつは「自分なりのクルマで自分の限界を
見極め、自分に勝負を挑む」ことです。

Yui Racing Schoolでは、後者をボトムラインと考えていま
す。競技に参加して他人より優秀な成績を修めるのは確かに楽しいことですが
、アメリカと違い日本では参加コストが非常に高く、「走りを楽しむ」前に「
コストの捻出に苦しむ」例を多く見てきたからです。ボクもその一人でした。


もちろん競技に参加することを否定するわけではありませんが、Yui Ra
cing Schoolが常々主張するように「人間が主役」のモータースポ
ーツを実践するには「自分なりの楽しみ方」を確立することが大切だと考える
からです。そんなことをYui Racing Schoolが考えていると
いうことを、覚えておいてもらえると今後の回答に一貫性が見えてくると思い
ます。

サーキットを走るとなると「それなりにクルマを改造する必要があるのでは?
」という疑問が出てくると思います。アメリカでも数え切れないほど同じ質問
をされました。そんな時、答えは決まって「ストック(アメリカではノーマル
のことをこう言います)のままが一番だヨ」です。

「速く走るためにはクルマを速くしなければ」と思っている人がいますが、は
っきり言ってそれは間違いです。レースに参加するようになると、「速くなる
ためには速い(きちんとした)マシンに乗るのが一番」とよく言われますが、
クルマの操ることを楽しむ限りにおいては、「運転手が速くなる」→「クルマ
を速くする」の繰り返しが最適なアプローチです。

このような仰々しい話が【ぱる】さんの質問の意図とは違うことは承知してま
すが、敢えてYui Racing Schoolのスタンスとして説明させ
てもらいました。

さて、【ぱる】さんへの答えです。ダウンサスと言うのは全長が短く硬いスプ
リングを言うのだと思いますが、それが現在装着されているならそのままで構
わないのではないですか。ばねレートが上がっているとそれに合わせたショッ
クが必要になるかも知れませんが、今の時点では足回りはそのままにしておき
ませんか。どんなタイヤを履いているのか書かれてないのでわかりませんが、
「オジさん」としては「グリップは気にせずに耐久性のあるタイヤ」を選ぶこ
とを勧めます。

それとサーキットではブレーキを使う頻度が高くなりますから、パッドとブレ
ーキフルードに気を付けた方がいいと思います。パッドは高価なレース用をお
ごる必要性はありません。逆にこのようなパッドはディスクに対する攻撃性が
高いので、あとあと出費がかさむ可能性もあります。日本の事情はわからない
のですが、「効きは二の次で耐久性のあるパッド」が売っていませんかネ。ど
なたかご存知でしたら、このメルマガ経由で【ぱる】さんに教えてあげてくれ
ると嬉しいのですが。ここで言う「気を付ける」はエンジンオイルの確認を初
めとする通常のメインテナンスを十分に行うという意味です。

とりあえず、パッドもブレーキフルードもストックのままで最初の走行会に参
加してみることを勧めます。走りに来ている人と意見も交換できるでしょうし
、走ってみて「ここをこうしたらいいかも知れない」という点が見つかるかも
知れません。

ただ、Yui Racing Schoolとしては「自分の走りが客観的に
見れる」ようになるまで、「クルマをいじらない(改造しない)」ことをお勧
めします。

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人間はクルマさんより速くは走れません。クルマさんは確かに力持ちですが、
その能力が生かせる状況にならないと持てる性能の全てを発揮することはでき
ません。もし、人間が「クルマさんが走りやすいように仕向けてあげる」こと
ができれば、その時にこそ安全に速く走ることができるはずです。

そして、それこそがYui Racing Schoolが目指す「人とクル
マの楽しい共存」です。

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○あとがき

Yui Racing Schoolはこれからも「安全に速く走る」ための
情報を提供していきます。その情報をどう使うかはみなさん次第です。ただ、
もし使い方が分からなかったり、使っても効果がなかった場合は、ぜひ日本で
開催するドライビングワークショップなりドライビングクリティークを受講し
て下さい。

諸般の事情から、今後も不定期刊行を続けることになります。ですが、内容や
体裁についてはドシドシ改善を加えていきたいと思いますので、ご意見やご感
想をお寄せ下さい。

おそらくNo.9を出したあとに日本に出発します。その後11月下旬までメ
ールマガジンの発行ができなくなる可能性もあります。もししばらく配本され
なかったとしても、休刊するわけではありませんのでご了承ください。遅くと
も11月末までには第一回ドライビングワークショップの事前情報をお送りす
る予定です。

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発行人からのお願い

過去オリジナルサイトのフォームで質問を寄せられた方には個別に回答してき
ましたが、メールマガジン上で回答し多くの人と情報を共有できる質問を募集
しています。初歩的質問も大歓迎です。どしどしお送り下さい。

宛先は、mailto:question@avoc.com です。<新しいアドレスです

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