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Go − Circuit No.179 (01/19/04発行)

---------------------------------------------------- Taste of USA ----
●クルマを走らせるのは楽しい。速く走らせるのはもっと楽しい。●しかしク
ルマ安全に速く走らせることが難しいのも事実。走らせ方を理解していないと
楽しくもないし危険でさえある。●クルマをもっともっと楽しむために「クル
マさんとの正しいお付き合いの仕方」を学びませんか。●ユイレーシングスク
ールからの提案です。●公道では安全運転を。サーキットではそれなりに。
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1)フロム シニアインストラクター
2)しのいサーキット公式ドライビングスクール参加申込み受付け中
3)2004YRS第1戦スプリント&エンデューロ@筑波
4)ATのスポーツドライビング 渡辺政彦
5)メールマガジン配信停止のお知らせ

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1) フロム シニアインストラクター

来月には栃木県宇都宮近郊にあるしのいサーキットでドライビングスクール
を開催する。しかしながら入稿時でも参加申し込みは2名のみ。首都圏から若
干遠いからなのか、それとも怖いサーキットというイメージが定着しているか
らだろうか。理由は定かではないが、ドライビングスクールを運営する側とし
ていささか心配なのは事実。
実際、昨年構想を話した時から身内にも「しのいって怖いんでしょ。」とか
「コースアウトするとクルマが壊れちゃうんですよね。」なんて聞かれたこと
もある。しかし、結論から言えば『しのいサーキットは決して危険なコースで
はない。』だ。確かに下りからホームストレートに出る部分にあるシケインで
はスポンジバリヤの影に隠れたコンクリートウォールに向かってはらまなけれ
ばならない。コントロールラインを越えるとしばらくは右手のコンクリートウ
ォールぎりぎりに走らなければならない。などという心理的な圧迫感はあるが、
それが即怖さにつながるものだとは思えない。一度でも走った人が怖いとは言
わないことが多いのだから、むしろしのいサーキットの怖さは先入観と言うか、
あくまでもイメージなのだろう。
コンクリートウォールぎりぎりに走るのが怖いと思う人は、そこかしこにタ
イヤマークのついたしのいサーキットよりもっと強固なコンクリートブロック
で囲まれたオーバルコースは走れないだろう。永遠に続くのではないかと思わ
れるほどのエスケープゾーンのあるウィロースプリングスレースウエイの5速
全開の最終コーナーも、コースアウトすれば転倒する可能性が非常に高いから
走ることができないかも知れない。
「そんな危ないところは走らないから。」とは言わないでほしい。サーキット
を走るということは、そもそもが危険なことだ。サーキットで安全を求めるの
ならそれは走らないことだ、と言うつもりはないが、サーキットを走るのであ
れば怖さの原因を究明しなくてはならない。怖さをそのままに走ったり、少し
ばかりの勇気で怖さを克服して走ろうとするほうがはるかに危険だ。

走ったことのある主だった日本のサーキットは筑波サーキット、間瀬サーキ
ット、バンクがなくなる前とABのコーナーができてからのFISCO、オー
トポリス、最終コーナーにシケインができる前、そして1〜3コーナーが今よ
り高速コーナーだった鈴鹿サーキット、そして矢田部の高速試験場ぐらいだが、
しのいサーキットを走ってみて改めて感じたことがある。それは日本のサーキ
ットには少ない面白いコーナーがあることだ。
理由はその高低差にある。全長1Km強のコースで標高差が25mある。か
なりの差だ。おそらく最も高い地点は最終コーナー(シケイン)の手前にある
ヘアピンだと思うが、ホームストレートを抜けて左へ回り込んでいくコーナー
もかなり上っている。現地ではヒーローコーナーと呼ぶようだが、このコーナ
ーが面白い。あれだけ上りながら曲率が変化していくコーナーは日本では見た
ことがないし、地形をそのままに作られたアメリカのロードコースに通じるも
のがある。
とにかく挑戦しがいがあると言うか、あのコーナーを気持ちよく走れたなら
ラップタイムなんてどうでもいいと思えるほど楽しく、かつ難しいコーナーだ。
もちろんストレートエンドにあるからそこの通過速度がラップタイムに与える
影響は大きい。あのコーナーを気持ちよく速く走れれば、それだけで間違いな
く達成感は得られる。ヒーローコーナーという呼び名もよくつけたものだ。
クルマは高速になればなるほどとてつもないモメンタム(勢い)を内包する。
サーキットを速く走るにはそれをできるだけ殺がずにその向きだけを変えるこ
とが必要だ。クルマの向きを変えるのは(きっかけは)ステアリングだ。ステ
アリングのレスポンスを得るためにはフロントタイヤのグリップが欠かせない。
ところが、一方では高速になればなるほど路面の勾配がクルマの過重移動に影
響を与える。上り勾配であれば過重はリアに移動する。加速中ならば、なおさ
ら過重はリアに移る。そんな状況の中でフロントタイヤのグリップに頼ってク
ルマの向きを変えなければならない。これは大変なことだ。
逆に、怖さの元凶と思われる(笑)コンクリートウォールに囲まれた部分は、
実際には速く走るためにはそれほどの重要性はない。いずれの場合もウォール
に平行に脱出していくことが速さを得るために必要だから、むしろ怖さを感じ
る場合は走り方自体の方向性が間違っているかも知れない。とにかく、しのい
サーキットを走る時は俗称ヒーローコーナーに注目してほしい。クルマを自由
に操ることにおいて、新たな展開を経験できるはずだ。

怖さには必ず理由がある。子供の頃にやったお墓での肝試し。当時はいやで
いやで仕方がなかったが、世の中にお化けはいないと知ってからはなんともな
くなった、怖さは未知のものに対する不安から生じる。行動に対する根拠が欠
如している証拠だ。クルマを高速で走らせるということは、それがサーキット
でなくても未知との遭遇の連続だ。安全にクルマを運転するためには理論的に
解き明かした根拠を身につけなければならない。その根拠を蓄積してもらうの
がドライビングスクールの目的だ。ぜひ筑波サーキットドライビングスクール
同様、大勢の方にしのいサーキット公式ドライビングスクールを受講してほし
いと思う。

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2)しのいサーキット公式ドライビングスクール参加申込み受付け中

ヒーローコーナーを巧く抜けられるといつもより数段上達したと実感できる
しのいサーキット。いよいよ公式ドライビングスクールが始まります。4月1
0日にはYRSエンデューロとスプリントも開催されます。この機会にしのい
サーキットの攻略法を身に付けてみませんか。
詳しくは開催案内のページをご覧下さい。

・しのいサーキット公式ドライビングスクール開催案内
http://www.avoc.com/2school/2yds/yrs_shinoi.htm
・しのいサーキットホームページ
http://www.he-ro.co.jp/

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3)2004YRS第1戦スプリント&エンデューロ@筑波

昨年の最終戦から3ヶ月。2月28日(土)には2004年YRSレースシリー
ズが始まります。第1戦は筑波サーキットコース1000での開催ですが、既に申
し込み受付を開始しています。参加を予定している方はお早めにお申し込み下
さい。
尚、エンデューロ第1戦に参加されるチームには昨年の最終戦のオンボード
映像(前方と後方を撮影)を編集したビデオテープを進呈します。

・YRSエンデューロ規則書
http://www.avoc.com/2school/2yrs/yte_guide.htm
・YRSスプリント規則書
http://www.avoc.com/2school/2yrs/yts_guide.htm

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4)ATのスポーツドライビング 渡辺政彦

○そもそも何故ATを選んだのか?
私は31歳に自動車免許を取りました。今の愛車であるMR2に乗りたいため
に取ったのです。MR2に乗ると決めたときはMTと決めていました。長年二
輪車に乗っていたのでシフト操作も慣れてしまえば自然にこなせると思ってい
たのです。しかし免許所得目前の有る日、実車に触れる機会があり運転席に座
ってみたことでMTの操作に不安を覚える事になったのです。教習車とのドラ
イビングポジションの違いとスポーツカー特有の狭さが最も大きな不安の原因
でした。それをきっかけにATについて徹底調査が始まりました。
・スポーツカーなら当然MTだ、は本当か?
・ATは楽しくない、は本当か?
・ATでドライビングを楽しめるか?
この疑問を解消するため、ATの構造を調べ、本を読み漁り、実際にATでサー
キット走行している人を探したりできるかぎりの情報を集めました。その結果、
ATでもドライビングを楽しんでいる人はいると言う事がわかりました。そし
て私は、ATでMTより速く走れたらすごいぞ、と考えるようになり、大好き
なMR2をとことん楽しむためにあえてATを選びました。

○それでATは楽しいか?
これまでYRSスプリントに4戦、YRSエンデューロに3戦、スクールと走
行会に数回、何れもトラブル無くサーキット走行を十分に楽しんでいます。A
Tでは目の覚めるような加速は望めないし、急激すぎる減速は失速の原因にな
ります。無駄なステアリング操作での失速を取り戻す加速力も弱いです。これ
はATの性質上しょうがないことです。しかしスムーズな加速と減速、ステア
リング操作が決まり、流れるようなドライビングが出来たときは自分で自分に
惚れるほど最高に気持ちが良いです。そして圧巻は、筑波1000ではヘアピ
ン進入での追い抜きです。MT車がシフトダウンしている音を横に聞きながら
こちらはまだアクセル踏んだまま鼻先を突っ込むときは、これがATだ!と言
いたくなる最高の瞬間!です。
MTと同じドライビングをしていてはとても敵わない。そこをAT特有のテク
ニックを常に考え工夫する事がATでのスポーツドライビングの楽しさだと思
います。タイムラグのあるアクセルを踏むタイミング、ハンドルのソーイング
は即失速に繋がるので極力ステア操作しないラインを探す等々、チャレンジし
がいの有る事が沢山あります。

○チューニングはどうするか。
ATでスポーツドライビングをする上で有効なテクニックに左足ブレーキング
があります。ブレーキを常に左足で踏むようにすることです。しかし問題はペ
ダルの構造は右足を踏みかえる事を前提に作られているので、ドライビングポ
ジションが無理な姿勢になってかえって危険になる場合が有ります。それなら
ペダルを動かせば良い、バイクなら体型に合わせてペダルやハンドルを改造す
るのは一般的なものだからクルマでそれをやらない理由は無い、と元ライダー
の私は考えました。そしてレースカーの製作をしているガレージに相談し、法
規を調べ、何も問題ない事を確認してから実行しました。具体的な改造は以下
です。
・ブレーキペダルの面積を広げ左足が楽に届くようにする。
・フットレストの代わりになるニーレストを付けて身体を支えるようにする。
この改造のお陰で私のMR2のドライビングポジションはレーシングカートの
それと殆んど同じです。車検も通りますし、これまでの800km近いサーキ
ット走行でも強度に問題は無しです。エンジンへのチューニングは全くやって
いません。ATはそれ自体をチューニングする事ができないのでエンジンパワ
ーを上げてミッションに負担を掛けることは致命的なトラブルに繋がるのでや
りません。足回りは安全優先のチューニングだけです。速さを求めるとミッシ
ョンに負担がかかるし、そもそもストレートスピードは望めないATですから、
コーナーでタイヤを有効に使えること、コーナリング中に制御不能に陥らない
こと、を目的にしています。ブレーキの強化はAT/MTに限らず必要ですね。
しかしATだからと言ってブレーキへの負担が大きいと言う事は今まで感じた
事はありません。

好きなクルマで好きな事をするためにATという選択もあるのです。クルマの
楽しみ方はもっと沢山有って良いと思います。もちろんMT車は楽しい、そし
て、AT車も楽しい!!私は胸を張ってAT車に乗っています。

* * * * * * * * * * * * * * *

上の原稿は渡辺政彦さんから頂戴したものです。
渡辺さんは従来サーキットには似合わないといわれてきたAT車でレースに参
加されています。もちろん本格的なレースになればAT車のクラスなどはあり
ませんが、誰でも自分の乗っているクルマで手軽に参加できるYRSレースに
は難しい車両規則などありません。サーキット走行に耐えうる整備がされてい
れば、どんなクルマで参加してもかまわないのです。
渡辺さんとはスクールやレースを通じてAT車の得手不得について話し合い
ました。今までの経験もお話しました。しかしアドバイスがいらないほど、渡
辺さんはAT車というテーマを掘り下げられたようです。個人的にクルマに対
する渡辺さんの姿勢を大いに評価していますし、これからも何かを探しつづけ
てほしいと思っています。
ただ、付け加えておきたいのは左足ブレーキングのことです。渡辺さんも書
かれているようにブレーキペダルは本来右足で踏むように作られています。さ
らにオンオフだけの操作でことたりるクラッチに慣れた左足が微妙なタッチに
向かないのも事実です。渡辺さんは左足ブレーキングを使うための努力をした
からこそ、AT車を思うように動かせるようになったのです。読者の方で左足
ブレーキングに挑戦してみようと思う方がいるかもわかりませんが、あくまで
も慎重に、慣れるまでは安全なところで練習して下さい。
トム ヨシダ

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