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Go − Circuit No.163 (05/18/03発行)

---------------------------------------------------- Taste of USA ----
●クルマを走らせるのは楽しい。速く走らせるのはもっと楽しい。●しかし安
全に速く走らせることが難しいのも事実。走らせ方を理解していないと楽しく
もないし危険でさえある。●クルマをもっともっと楽しむために「クルマさん
との正しいお付き合いの仕方」を学びませんか。●ユイレーシングスクールか
らの提案です。
<<標語>> 公道では安全運転、サーキットではそれなりに。
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1)5月20日YOSA参加者募集中
2)5月30日筑波サーキットコース2000ラッピングデー参加者募集中
3) 6月2日YDWA参加者募集中 受講料割り引き特典
4)YRS感謝デー参加者募集中
5)グラスルーツモータースポーツについて トム ヨシダ
6)YRS第3戦を終えて トム ヨシダ
7) ハウツースタート 何から始めよう

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1)5月20日YOSA参加者募集中

20日のYOSAの参加を受け付けています。ただし開催日が迫っていますの
で、申込み方法が変更になります。参加を希望される方は電話で予約し、その
後で必要事項を書いたメールを送って下さい。参加費12,000円(浅間台
スポーツランド入場料300円は別途)は当日お支払いいただいてかまいませ
ん。

ユイレーシングスクールが日本に持ち込んだ楕円形のコースを使った定常円走
行はカーコントロールの修得に非常に有効です。クルマには加速→減速→旋回
の3つの機能がありますが、これらを連続して繰り返し行うことにより、クル
マの限界域での特性を理解できます。クルマがひとつの挙動から次の挙動に移
る過程をトランジッションと言いますが、クルマに適したトランジッションを
行うことでクルマはその性能を存分に発揮し、安全に速く走行することができ
ます。

トランジッションの修得はサーキット走行におけるコーナリングの練習、また
市街地や郊外を走る時のスムースな運転に役立ちます。

参加を希望される方は、午前8時から午後8時の間に090−6539-49
39まで電話で予約して下さい。その後、以下の項目をコピーし記入の上でメ
ールを送って下さい。宛先は admini@avoc.com です。

・氏名
・年齢
・住所
・電話番号
・参加車両

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2)5月30日筑波サーキットコース2000ラッピングデー参加者募集中

☆ ユイレーシングスクールオリジナルの座学再開 ☆

5月30日に筑波サーキットコース2000のラッピングデーを開催しますが、走
行後に筑波サーキット教室においてYRS座学を開校します。スライド70枚
を使いクルマの姿勢変化がもたらす特性を説明する他、クルマを思いのままに
動かすためのコツを理論的に説明します。走行が終わった直後の座学なのでイ
メージをつかみやすいメリットがあります。またシニアインストラクターから
はモータースポーツの話、アメリカのレースの話など日本では聞くことのでき
ない貴重な体験をお話します。

ラッピングデーに参加される方は無料で座学を受けることができます。しかし
ながら筑波サーキットの教室の大きさの関係で40名しか収容できませんので、
先着順に座学を受けていただくことになります。ご了承下さい。日本で唯一、
理論的にビークルダイナミックスを解説するユイレーシングスクール座学をお
聞きになりたい方は、お早めにラッピングデーにお申込み下さい。

YRSの座学を聞くとクルマの運転についての認識が変わります。座学を受講
するだけでもラッピングデーに参加する価値はあります。これからサーキット
を走ろうという方に強くお勧めします。詳しくはラッピングデー開催案内の頁
をご覧下さい。

5月30日ラッピングデー開催案内:
http://www.avoc.com/2school/2yrs/yrs_2000.htm

◎走行マニュアル
・申し込まれた方には事前に筑波サーキットの走行マニュアルを無料でお送り
します。基本的な走り方と走行上の注意を説明したものです。
・YRSでは筑波サーキットを安全により速く走るためのマニュアルも用意し
ています。こちらは有料で一部1,000円です。希望される方は参加費を送
金する際に1,000円を余分にお送り下さい。その上で申し込みフォームの
コメント欄にマニュアル希望と記入して下さい。
・どちらも申し込まれた方に、開催日1週間前にメールでお送りします。

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3) 6月2日YDWA参加者募集中 受講料割り引き特典

★ ★ 参加してみて成果がなかったら受講料返却 ★ ★

| YRSではサーキットを走ったことのない方、当面はサーキットを走るつも
| りのない方の参加をお待ちしています。

6月2日。浅間台スポーツランドでYRSドライビングワークショップを開催
します。オーバルの定常円走行練習では操作と挙動の関係を体験します。この
練習でクルマの限界を理解することができます。次にパイロンで作ったジムカー
ナコースをセクターに分けて何度も走り走行ラインのイメージトレーニングを
行います。リードフォローでコース全体を走行し、あらゆる区間でクルマの性
能を引き出す練習を行います。全てのセッションで受信機をつけてリアルタイ
ムのアドバイスを受けながら走行しますので、自分の操作と挙動の関係が正確
に把握できます。

2日のYDWAに限り、通常の受講料14,000円のところを12,000円
で参加することが出来ます。条件は、過去にユイレーシングスクールのスクー
ル、イベントに参加されたことのある方が、参加したことのない方と一緒に受
講する場合に限ります。YRSに参加されたことのある方は申し込みフォーム
のコメント欄に一緒に来られる方のお名前を、「○○さんを紹介します」と記
入して下さい。初めて参加される方は「△△さんに紹介してもらいました」と
記入して下さい。受講料は通常の料金を送金して下さい。当日の受付けで差額
とYRSのステッカーをお渡しします。YRSを経験されている方はぜひこの
機会にお仲間を誘って参加して下さい。

・YRSドライビングワークショップ浅間台開催案内
http://www.avoc.com/2school/2ydw/ydwa_guide.htm

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4)YRS感謝デー参加者募集中

今年も春のYRS感謝デーを開催する予定でしたが、当日掘り起こしていただ
くために植えたジャガイモの生育が悪く開催時期をうかがっていました。最終
的に以下のように決定しましたのでお知らせします。粉吹き芋、ベイクトポテ
ト、バーベキュー、YRS特製焼きそばを食べながらベンチレーシングを行い、
土いじりにいそしみます。みなさまの参加をお待ちしています。

日時:6月8日(日)−雨天の場合は6月22日(日)
場所:久我農園(千葉県長生郡一宮町)
参加費:大人4000円(飲み放題)、子供2000円。ともにおみやげ付き。
申し込み方法:件名に感謝デーと書き、以下の項目を記入したメールを送って
下さい。

参加者名:
電話番号:
同伴者(大人): 名
同伴者(小人): 名

あて先:admini@avoc.com

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5)グラスルーツモータースポーツについて トム ヨシダ

4月に行ったアメリカモータースポーツ三昧ツアーに参加した方は生まれて初
めて「フュギァ8」というレースを見ました。8の字形のコースを何台ものク
ルマが走るレースです。当然、交差点?ではクラッシュがあります。レースに
勝つために速く走らなければならないけど、クラッシュしては元も子もない。
そんなジレンマの中で走ります。見ている方はクラッシュを目の当たりにして
盛り上がっていますが、走っている本人達は真剣です。

フュギァ8が組まれているレースをツアー参加者に見てもらいたかったのは、
フュギァ8が典型的なグラスルーツモータースポーツだからです。

ぶつかる可能性が高いわけですから、『そんなのレースじゃないよ』という声
が聞こえてきそうです。実際、その昔日本のレース界では有名なレースエンジ
ニアとオーバルレースの話をしていた時でさえ『グルグル回るだけでどこが面
白いのサ?』と言われてしまったぐらいですから、日本でフュギァ8が認知さ
れないのは難しいとは分かっていますが、それでもツアー参加者には自分の目
で実際に見てもらいたかったのです。

みなさんもNASCARというストックカーの統括団体を知っていると思いま
す。全米を転戦するウィンストンカップがNASCARの頂点ですが、その人
気はすさまじく80年代終わりには視聴率がメジャーリーグベースボールを抜
いてしまったほどです。歴史をひもとけば分かります。500マイル、つまり
800Kmを全開で競争して、そのあげくゴールラインでの1位と2位との差
が100分の何秒なんてレースは世界中にないのですから、スポーツ好きのア
メリカ人が夢中になるわけです。ウィンストンカップをテレビで見た方も多い
でしょし、オーバルレースのとりこになった方もいるでしょうし、NASCA
Rのことをもっと知りたいと思っている方もいるでしょう。

しかしNASCARがフュギァ8を公認していることを知っている人は少ない
と思います。アーウインデールで行われたフュギァ8はそうではありませんで
したが、ストックカーレースが盛んなディープサウスやミドルイーストではN
ASCAR公認のフュギァ8が行われているのです。地区選手権さえ開催され
ています。そう。フュギァ8こそがウィンストンカップを頂点とした巨大なN
ASCARストックカーのピラミッドの底辺なのです。

では、なぜアメリカのレース界の動向を左右するまでの実力を備えるにいたっ
たNASCARが「ぶつけ合いっこ」のレースを公認しているのでしょう。そ
れはNASCARが統括団体としてプロだからです。ストックカーレースとい
う『社会』に対して責任を持っているからです。参加する人にもストックカー
レースを見る人にも、自由に選択できるメニューを用意するためです。現代の
高度に専門化したレースでは見かけることができませんが、昔は実際にフュギ
ァ8のドライバーがメジャーストックカーレースにまで上り詰めて勝ったこと
もあるようです。9ドルの入場料を払ってフュギァ8を見た人がストックカー
レースの虜になって、次には90ドルを払ってウィンストンカップを見に行っ
た。実際にあることです。

アメリカではモータースポーツは特殊なものではありません。レースに参加し
ている人も特別な人ではありません。レース界というピラミッドが巨大なので
すから当たり前のことなのです。

YRSが主催する筑波スプリントと筑波エンデューロ。3年目の中間点を過ぎ
ました。ユイレーシングスクールは筑波スプリントと筑波エンデューロを日本
のグラスルーツモータースポーツとして開催しています。過日、YRSのドラ
イビングスクールを受講し筑波スプリントに参加したことのある方2名がロー
ドスターパーティレースで優勝しました。ワンメイクレースとはいえJAFの
公認レースですから車両規則もあります。安全規定にそったレーシングスーツ
も用意しなければなりません。『普段着のレース』がテーマの筑波スプリント
とは違います。でもどちらも「自動車という道具を使い速さを唯一勝敗の要因
とする競技」であることには変わりありません。ユイレーシングスクールとし
てはお二人が勝ったことを心から喜ぶと同時に、筑波スプリントがYRSの目
指すグラスルーツレースに一歩近づいたことにも喜びを感じています。以前な
らありえなかったことだからです。

昔。それほど前のことではありません。日本ではJAFの公認レース以外はレー
スと認められない時代がありました。JAFのライセンスを持っている人が筑
波スプリントのような『非公認レース』に参加するとライセンス剥奪なんてい
うペナルティが課せられていたのです。その時から比べれば、少しはピラミッ
ドが大きくなったような気がします。

19世紀の終わり。「おまえと俺とどちらが速いか競争しよう」なんて会話が
交わされてレースは始まったはずです。最初に『レースはこうでなければなら
ない。こうあるべきだ。』という決まりがあったわけではないと思います。や
ってみたいと思った、その動機が始まりだったはずです。

個人的な目標。というより願望に近いのかもしれませんが、日本にある1Km
前後のサーキットで開催される『普段着のレース』の優勝者が一同に集まって
チャンピオンを決める。そんなレースが開催することができないものかと考え
ています。そんな思いがあって、本場のグラスルーツレースの証人になってほ
しくて、アメリカモータースポーツ三昧ツアーの日程にフュギァ8の観戦を組
んだのです。

筑波スプリント、筑波エンデューロにはどなたでも参加できます。安全さえ確
保できれば「こうでなければならない」という決まりはありません。「レース
なんかやってみたいなぁ」と思う方は、ぜひ一度のぞいてみて下さい。

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6)YRS第3戦を終えて トム ヨシダ

YRS第3戦が終わりました。筑波エンデューロには過去最多の14台が参加
しました。筑波スプリントは参加台数が少なかったので3クラスに集約しての
開催でしたが、信号機によるスタートという新機軸を取り入れました。残った
時間で先導車つきの体験走行を行うこともできました。筑波スプリントに参加
しているお父さんがロードスターの助手席にチャイルドシートを取り付け息子
さんを乗せ、サーキットでの時間を共有されていたのは本当にほほえましく感
じました。

さて、レースの方はと言うと、いつもの通り自己ベスト更新の嵐(?)でした。
エンデューロで初めて乗ったクルマでの記録を含めると32人がベストラップ
を記録したことになります。もちろん、こんなはずではなかった、と悔やんで
いる方もいるとは思います。しかし参加した全員がそれなりの成果は残せたの
ではないかと思います。

ますエンデューロ。レースの進行をむりやりYRSスタッフに押し付けてボク
も走りました。スタッフには感謝しています。

今回は1台のSタイヤを履いた軽量FF以外は動力性能が拮抗してましたし台
数も多かったので非常に面白い展開となりました。とにかく「先を急ぐ」ため
にはどうしたらいいのか、大いに考えさせられるレースだったのです。ボクも
抜かれましたし、抜きました。しかし、全てを覚えているわけではありません
が、自分の走り方を振り返ると「あそこはこうすれば良かった」、「あの時は
ああすれば良かったな」と反省しきりです。
何を反省したかと言うと、『その時の判断が適切だった』かどうかにつきます。
とにかく反省するネタが多くていやになるほどです。
・あの時はあそこまで速度を落とす必要があったのか
・あの時は絶対に前のクルマに近づきすぎだったな
・あの時はブレーキを残しすぎたな
・あの時はもう少しスロットルを開けてよかったんじゃないか
・あそこまでタイヤをいたわる必要はなかったんじゃないか
きりがありません。

ボクはサーキットを走るときもレースに出る時も、時に追い越しと追い越され
る時には安全マージンを非常に多くとります。レースを始めた時からです。自
分で決めたルールのようなものです。自分の経験からして確証が持てないこと
はしないことにしているのです。ですから、結果は別として、終わると常に反
省の嵐(?)です。でも、それがすごく楽しいのも事実です。「次はうまくや
ろう」と努力しますから、少しずつではありますが、『理想』と『自分』との
ギャップが縮まっていくのが分かるからです。決して無理をして『結果』だけ
を追いかけようとはしません。そうすると間違いなく失敗する自分をよく知っ
ているからです。

ボクが目指す走りを一言に要約すると『粋』ということになると思います。平
たく言えばカッコヨク走りたいと思っているわけです。同じタイムを出すなら、
クルマへの負担を最低限に抑えて出してみたい。前を走るクルマを追い抜くの
なら、そのクルマがいつ抜かれたんだろうと思うようにスパッと抜いてみたい。
速いクルマに抜かれるのなら、譲ってなおかつ自分のタイムロスを最小限に抑
えるような抜かれ方をしてみたい。

それで反省の嵐(?)です。でも、「ずっと前に同じようなことがあったけど、
あん時よりはうまくいったよな」と思えるのは目指すものがあるからだと思い
ます。だから走るのが楽しくてしょうがありません。なにしろ、自分でシナリ
オを書いて、自分で演出して、自分で演技するのですから。

次にスプリントです。今回は1コーナーの上に信号機(本物です)の1灯を設
置しました。もちろん色は緑です。(笑)その操作のためにスプリントの全ヒ
ートを1コーナーの進入で見ました。

いろいろありました。1コーナーのターンインでアンダーステアを出し、それ
を消すことができずにコースアウトしたドライバーには対処の方法をアドバイ
スをしました。ラインを変更して後続車の進路をふさいだドライバーにはレー
スのルールを説明しました。初めて長い間1コーナーで競り合いを見ましたが、
あそこはいい。次回のスプリントを見学する機会があれば、ぜひ1コーナーで
見て下さい。

で、冒頭の話です。YRSのレースには全くのノーマルのクルマがたくさん参
加するので、1〜2コーナーは『一大ロール大会』です。同じような仕様のク
ルマに乗っているのにドライバーによってロールが深まる位置が異なったり、
同じドライバーでも周回毎にロールの深さが変わったり、1〜2コーナーの間
でロール量が変化しつづける例があったり。見ていて飽きません。そして、何
よりも驚くのは、かなりの人が本当にクルマの限界のわずか手前とホンノ少し
超えたところを微妙に行ったり来たりしながら走っていることです。

注意深く見ていると、1〜2コーナーの通過速度が速いか遅いかがわかります。
今回のスプリントでもベストを更新した方がいますが、「おそらくあの周だっ
たな」と想像もできます。パワーウエイトレシオの決して良くないセリカで4
5秒台に入った青山さん。ノーマルに近いロードスターでコンスタントに44
秒台で走る石山さん。昨年無理やりスプリントに出場させられながらついに4
5秒前半までこぎつけた塩原さん。まだまだあります。ラップタイムに現れな
い操作から見ればもっといろいろなドラマがありました。そして、総じて参加
されたみなさん全員に言えることは『うまい』ということです。そして、もっ
とクルマを自由に操れるようになる可能性はあると断言してもいいと思います。

普段着のレースとは言えレースです。危険が潜んでいることに変わりはありま
せん。気軽に参加できるからと安全意識も気軽ではなりませんが、レ−スに参
加してみなければ見えないもの、感じられないもの、見えてこないものは間違
いなくあります。

次回7月のレースには、まだレースというものを体験したことのない方が大勢
参加してくれることを願っています。

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7) ハウツースタート 何から始めよう

なぜか最近はメールでドライビングテクニックについての質問を受けることが
少なくなりました。疑問に思うことは誰もが思い当たる節があるはずなのでY
RSとしては大歓迎ですし、回答を公開することで情報を共有したいと考えて
いるのですが。

という訳で、1999年12月25日発行のメールマガジンの記事から引用し
ます。ドライビングテクニックについての質問がありましたら、遠慮なくお寄
せ下さい。

宛先:mail@avoc.com

================ 以下引用 ============================================

●読者からの質問と回答
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
1)こんにちは今日はじめて読みました。大変興味深い内容です。これからも
楽しんで読めそうです。

ところで、質問なんですが「コーナリングはイーブンスロットルで・・・」と
ありましたが、直線でのブレーキングからコーナリングに移る際のブレーキ操
作と言うのはどういうのが理想なのでしょう。クラッチを切ったままというこ
とでしょうか?コーナー脱出時の速度を速くしようとすればするほどコーナー
進入時の操作が難しくって・・・

どうか良い回答お願いします。ペンネーム:フィール(北海道在住)
* * * * * * * * * *
フィールさん。約束通りメールマガジンで質問に回答させていただきます。
まずイーブンスロットルの定義ですが、「前後輪に均等の過重がかかっている
状態に保つスロットルワーク」と言いたいところですが、もっと分かりやすく
します。イーブンスロットルとは、『走行中のクルマが加速も減速もしない状
態を作るスロットルコントロール』です。

なぜ「コーナリング中はイーブンスロットルで・・・」かと言うと、イーブン
スロットルの時にタイヤが最大のサイドフォース(横Gに耐える力です)を発
揮するからです。言い返れば、加速時あるいは減速時には進行方向の加速度の
分だけサイドフォースが減りますから、けっして「おいしいコーナリング」が
できないからです。

最大のサイドフォースが得られるということは、「そのコーナーの通過速度を
最も高くできる」ことに他ならないわけで、それで「コーナリングはイーブン
スロットルで・・・」ということになります。

イーブンスロットルを使うことによって、もし貴方のコーナリングが「最速の
通過速度に及ばない」状態であっても、タイヤさんとクルマさんにはまだ余力
がありますから、貴方自身にもセーフティマージンが残るという良質の副産物
が生まれます。

さて、コーナリング中のどの部分をイーブンスロットルにすべきでしょう。正
解から先に言いましょう。「ステアリングを切り始めたらできるだけ早い時点
で開始し、ステアリングを戻す状態になったらできるだけ早く終る」です。

なぜポイントで説明しないかと言うと、貴方が取る走行ラインによって車の状
態は異なります。ですから、一概に「ターンインからクリップまで」とか「ク
リップの先3分の1まで」とかの指摘は意味をなしません。上の説明でおわか
りいただけると思いますが、イーブンスロットルの目的は「最大のコーナリン
グフォースを得ること」です。自ずと必用な区間が想像できるでしょう。試し
てみて下さい。

もうひとつ。フィールサンの質問の中に「クラッチを切ったまま・・・」とい
うくだりがありますが、サーキット走行はもちろん通常の走行でも「クラッチ
を切ったままの運転」は間違ったテクニックです。クルマを不安定にするだけ
で、何の意味もメリットもありません。

レーシングテクニックの中には「ある状態を作り出すために敢えてクラッチを
切る場合」があります(と言ってもドリフトとは関係ありません)。

しかし基本的にはタイヤに「クルマから加速度を与えておく(加速するか減速
するかコーナリングするかどれでもかまいません)」のが、安全に速く走るた
めの「シャバの決まり」です。例外はありません。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
2)空気圧

先月から、拝見させて頂いております。とても勉強になります。

早速ですが、『空気圧』について質問があります。私は、年に数回サーキット
に行きますが、その時の空気圧の調整をどうしたら良いのか、いつも疑問に思
っていますので質問させて頂きます。

私は、スポーツランド山梨で10分間を3回くらい走る走行会にをメインに参
加しております。通常、最初の10分終了後に空気圧を測り、上昇した分を抜
いて、次の走行に備えています。これで良いのでしょうか?また、純正のタイ
ヤからインチアップした場合、純正タイヤの指定空気圧よりも高めに入れるよ
う聞いたことがありますが、どれくらい高く入れれば良いのでしょうか?

お忙しいところ、大変恐縮ですが、よろしくお願い致します。《匿名さん》
* * * * * * * * * *
空気圧については同様の質問をいくつか受け取っています(来日のドタバタで
個別に返事ができなかった方、申しわけありません)。多少長くなりますがお
つきあい下さい。

ふだん皆さんは、どの程度の頻度でタイヤの空気圧をチェックしますか?え〜
っ、明かに少ないとわかるまで計らない?「今のタイヤは走行状態に対する許
容度が高いから」とは言いますが、定期的にチェックした方が省エネの面から
もお勧めだと思います。

タイヤの空気圧はどうやって計っていますか?温間ですか、冷間ですか?コン
プレッサーホースに付属のゲージを使いますか、単独のエアゲージを使います
か?市街地では神経質になる必要はありませんが、サーキット走行を前提とし
た空気圧チェックはある程度一定の段取りで行うことが望ましいと思います。
確かにサーキットにゲージとエアコンプレッサーを持っていくのが理想ではあ
りますが、そこまでするより人的努力で補いたいものです。

さて、サーキット走行時の空気圧ですが、基本的には若干高めでしょう。クル
マに高速道路走行用の空気圧の指定があると思いますが、それと同じところか
ら始めるといいでしょう。もちろん市街地走行よりは高い空気圧のはずです。

貴方の走り方に多分に影響されますが、走行後サイドウォールの部分に接地跡
がある場合は「空気圧が低い」可能性があります。が、あくまで可能性です。
貴方がクルマの動きより速く操作していた場合、前輪が腰砕けになった「傷跡」
がつくことがありますので、それと混同しないで下さい。

で、走行するたびに上昇した空気圧を抜くということですが、厳密にいうとタ
イヤ温度計でトレッドの温度分布を測らなければ適性の空気圧は得られないと
思ってください。上昇分を抜くのはあくまでも便宜的な方法です(高速コーナ
ーのないSLYならタイヤトラブルが引き起こす事故も大きくはないでしょう)。

走行するとトレッドが発熱します。熱が伝わってタイヤの中に入っている空気
も熱せられ膨張します。空気圧が上昇します。コンタクトパッチが矩形から楕
円に変形します。グリップが落ちる可能性が出てきます。と言う訳で空気を抜
くのでしょうが、入っていた空気の量によっても温度の上昇、つまり空気圧の
上がりかたは異なります。

空気の量が少ないとそれだけタイヤの変形量も多くなり、それに従い発熱量も
多くなります。タイヤが剛性を保てる量の空気が入っていればタイヤの変形は
少なく発熱量も少ない、従って、それほど空気圧が上昇しないという事態もあ
りえます。(もちろん、走り方が最大の要因ですが・・・)

また熱せられた空気を抜いた後、次の走行までに時間があった場合です。冷め
た空気は必用以上に空気圧を下げているはずです。次の走行を開始したからと
いって、すぐに理想(と考えられる)の空気圧にまで戻る保証はないですよネ。

極めて曖昧な方法ですが、単に「上昇した分だけ空気を抜く」のを目的とする
のではなく、「上昇によって起きたタイヤの変形量を元に戻す」感覚で調整す
るのはどうでしょう。結果的には上昇分を抜くことになるかも知れませんが、
少なくともタイヤの状態を把握することもできるはずです。

さもなければ、高速走行用の空気圧にしたまま走り通し、空気は抜かずに圧の
上昇分だけを走行後毎回記録してはどうでしょう。ついでに走行直前にも計れ
ば、何回か行くうちに傾向がわかると思います。

タイヤはサーキット走行で極めて重要な役割を果たす割にはデータがありませ
ん。それは走り方によって情況が変わりますから、一般論として結論を出せな
いのです。インチアップにしてもそうです。そのタイヤに標準の「上げ幅」が
あれば、そこから始めてみてはいかがでしょう。
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
3)ヒールアンドトー

メルマガを第6回から取らせて頂いてます。昨日もHPの方を拝見させて頂い
てとても参考になりました。

早速、質問させて頂きたいのですが、ヒールアンドトゥについてです。やはり
エンブレとフットブレーキの併用はかなり車速を落とす事が出来ると思うので
実戦でも使われると思うのですが、実際に自分も使っております。しかしそこ
が素人なのか回転数をきっちり合わせられない場合があります。(基本的には
回転数がたらないって事が多い)その時にエンジンを傷めると聞いた事があり
ます。そのあたりを教えて頂ければと思います。

ヒールアンドトゥで車に対する影響はどうなのかって事です。全般的に教えて
頂ければもっと嬉しいです。よろしくお願いします。
* * * * * * * * * *
ある時期、フットブレーキとエンジンブレーキの併用が効果的だったことがあ
ります。ある時期とは、まだFR車が存在していてタイヤの性能も今ほど高く
なかった時代です。しかし今はFF全盛。ブレーキングの場合は、(主な)制
動輪にエンジンブレーキが働きます。こと車速を落とすことを目的にした場合、
どれほどエンジンブレーキが制動効率を上げているかは正直言って疑問です。

確かに昔はレーシングテクニックの記述にヒールアンドトーが必ず出てきて、
「ウン、あれができたら一人前か」なんて考えたこともありましたが、今にな
ってみると優先順位がどうも違っていたような気がします。

さて、エンジンブレーキです。第一にエンジンブレーキを制動に利用するのは
間違いです。少なくとも、制動のある部分をエンジンブレーキに頼ることは避
ける方が懸命です。エンジンブレーキは低いエンジンの回転が高いドライブシ
ャフトの回転に「結果的に負荷を与え」、クルマにあたかもブレーキがかかっ
たようになる現象で、ブレーキングとは異なります。

車速を落とすのには、フットブレーキのみを使います。フットブレーキで止ま
れなかったら、それがそのクルマの制動限界です。その時、仮にエンジンブレー
キを併用したら止まれた、と言うのであれば、それはブレーキのかけ方がまだ
中途半端なのだと思ってかまいません。

次にヒールアンドトーですが、安全に速く走るためにどうしても必用なテクニ
ックだとは思っていません。

ヒールアンドトーは元々、シンクロ(シンクロナイザー)が付いてないトラン
スミッションでダウンシフトするためのテクニックとして生まれました。既に
死語になった感のある、「ダブルクラッチ」です。

今のクルマのように効率のシンクロがついていませんから、下段のギアに落と
す時にエンジンの回転を上げてやらないとギアが鳴くばあかりかつながっても
くれなかったのです。(今のレーシングカーのトランスミッションにもシンク
ロはついていませんが、逆にドッグリングという部品を使うことによってアッ
プシフト、ダウンシフトともクラッチを切らなくても行えるほど進化していま
す。)

ですから、次のようにヒールアンドトーを使ってダウンシフトしたものです。

1)スロットルを閉めるが早いかブレーキを踏む
2)間髪をいれずにクラッチを切る
3)すかさずギアを抜きニュートラルの位置へ
4)クラッチを戻す
5)ブレーキを踏んだままスロットルをあおる
6)回転が落ちる前にクラッチを切り
7)ギアを一段下にシフトし
8)右足をスロットルに移しながら
9)クラッチをつなぎ
10)右足に力をこめて加速する

ですから、今のように時速60キロからでも1速にシフトできる強力なシンク
ロがついていれば、ダブルクラッチは必用ありませんし、そのためのヒールア
ンドトーも本来の目的では必要ありません。

ただ、ダウンシフトした後の回転が車速と合わないと急激なエンジンブレーキ
がかかったり、逆にブレーキを踏んでいるのに加速してしまったりしますから、
エンジンの回転と車速を合わせる目的ではヒールアンドトーは有効です。

でも、絶対に必用な操作ではありません。ヒールアンドトーができなければサー
キットを走れないなんて話もありません。

要は、何らかの方法で最後にクラッチをつなぐ直前にエンジンの回転を車速に
合わせる(この場合エンジン回転を上昇させる)ことができればいいのです。
極端な言い方をすれば、クラッチをつなぐ一瞬前にスロットルを開けても事足
りるのです。

ということですが、参考のためにヒールアンドトーを練習中の方が犯しやすい
ミスを上げておきます。
a)ブレーキを踏んですぐスロットルをあおるので車速がまだ高い:それだけ
エンジンの回転を上げなければならない→無駄
b)スロットルをあおってからクラッチがつながり切るまでに時間がかかる:
その間にエンジンの回転が下がるのでクラッチがつながった時にエンジンブレー
キがかかる→危ない
c)スロットルをあおることに集中してしまいブレーキの踏力がおそそかにな
るか不安定になる:本来速度を落とすべきブレーキングが役に立ってない→危
ない

エンジンの回転と車速をうまく合わせるのは練習以外に近道はありませんが、
練習するにしても「何でもかんでも先送りしてしまう」のは禁物です。ブレー
キングしながらダウンシフトするとギクシャクするのでしたら、ブレーキング
ポイントをもっと手前に取り少ない踏力でコンスタントに踏みながら余裕をも
ってダウンシフトする練習をするのがいいでしょう。

そして、最も集中すべきは「スロットルをあおるタイミング」と「あおってか
らクラッチをつなぐまでのリズム」です。練習は、止めたクルマの中でもでき
るはずです。エンジンがかかっていなくても、イメージさえ豊かならピタリと
回転を合わせられるはずです。

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