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≡≡ Yui Racing School presents ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
Go − Circuit No.173 (09/20/03発行)
---------------------------------------------------- Taste of USA ----
●クルマを走らせるのは楽しい。速く走らせるのはもっと楽しい。●しかし安
全に速く走らせることが難しいのも事実。走らせ方を理解していないと楽しく
もないし危険でさえある。●クルマをもっともっと楽しむために「クルマさん
との正しいお付き合いの仕方」を学びませんか。●ユイレーシングスクールか
らの提案です。
<<標語>> 公道では安全運転、サーキットではそれなりに。
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1)筑波スプリント&筑波エンデューロ参加申し込み受け付け中
2)YRSオーバルスクール浅間台参加申し込み受け付け中
3)2820人の記録
4)ハウツースタート 何から始めよう
5)読者からの質問と回答 補足 トム ヨシダ
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1)筑波スプリント&筑波エンデューロ参加申し込み受け付け中
10月11日(土)に開催される筑波スプリント&筑波エンデューロの参加
申し込みを受付中です。入校時でスプリントに20名、エンデューロに2チー
ムの申し込みがありました。参加を予定されている方はお早めにお申し込み下
さい。
※YRAメンバーはスプリントについては参加費を後払いで申し込みことがで
きます。エンデューロについては参加申し込み金を払い、残額は当日払いで申
し込みことができます。
・YRS第5戦エントリリスト
http://www.avoc.com/2school/2yrs/yrs_entry.htm
・筑波スプリント規則書
http://www.avoc.com/2school/2yrs/yts_guide.htm
・筑波エンデューロ規則書
http://www.avoc.com/2school/2yrs/yte_guide.htm
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2)YRSオーバルスクール浅間台参加申し込み受け付け中
10月21日(火)に開催するYRSオーバルスクール浅間台の参加申し込
みを受け付けています。まだYRSオーバルを走ったことのない方、クルマの
セッティングを確かめたい方、コーナリングにいまいち納得がいかない方はぜ
ひ参加して下さい。YRSオーバルの設定はカーコントロールの修得に絶妙で
すし、受信機からのリアルタイムアドバイスは「目から鱗」に間違いありませ
ん。
当日、希望される方はYRS所有のタイヤ温度計を使うことができます。タ
イヤ温度からご自身の走り方を検証してみたい方もぜひご参加下さい。
過去にオーバルスクールに参加された渡辺さんに提供していただいたデータ
もサイトに掲載してありますので、参考にして下さい。
・YRSオーバルスクール タイヤ温度の話
http://www.avoc.com/3media/3article/0717tire_temp.htm
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3)2820人の記録
掲載が遅くなりましたが、YRSで記録された筑波サーキットコース1000の
ラップタイム一覧を更新しました。
・個人別ベストラップ一覧
合計1077名の方のデータが収録されています。
http://www.avoc.com/4circuit/4circuit_record/t1k/01frame_best.htm
・参加者のラップタイム履歴
コース1000で開催されたYRSに参加された述べ2820名の記録の全てを名
前順に掲載してあります。個人のラップタイム変遷がひと目でわかります。
http://www.avoc.com/4circuit/4circuit_record/t1k/03frame_name.htm
・改造度別ラップタイム一覧
参加車両をノーマルカー、サスペンションスプリングを変えていない車両、変
えている車両の3つに大別し、それぞれラップタイムの速い順に掲載してあり
ます。
http://www.avoc.com/4circuit/4circuit_record/t1k/04frame_car.htm
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4)ハウツースタート 何から始めよう
前回YRSオーバルでの測定データを提供していただいた渡辺さんからコー
ス1000のデータの提供を受けました。20分のセッションを3回、40分のイ
ンターバルを置いて走った後の気温、路面温度、タイヤ温度、ブレーキローター
温度、空気圧の各数値です。
走行中のクルマに起きていることをデータとして記録し解析することはクル
マの性能を余すところなく使うことにつながります。F1やインディカーなど
ではテレメトリーで走行中のクルマのデータをピットに送り、リアルタイムで
より速く走るため情報として活用しています。
また、国内のアマチュア向けのワンメイクレースでもデータロガーを搭載し、
走行後にドライバーの操作やクルマの状態をを数値的に確認している例もあり
ます。この場合は、車載のコンピュータに蓄積したデータを走行後にダウンロ
ードしてから解析します。
いずれの場合も、速さに対するクルマの状況と人間の操作のずれを数値から
読み取り、負の部分を是正するためのインターフェイスです。
その昔。まだクルマが成熟していない時代にはクルマの速さはかなりの部分
をドライバーの技量に頼っていました。それは身体能力の高さであり判断力の
するどさであり勇気だったわけです。速さに対するクルマと人間の比率が大き
く人間側に傾いていたことになります。時としてセオリー通りに操縦していな
くても、人間の能力自体が速さにつながった時代です。
時代が変わりクルマが単独の機械としても速さを発揮するようになると、速
さを達成するために操縦者である人間は次第にクルマの速さを満足するために
必要な操作、言い換えればクルマの速さをスポイルしない操作を求められるこ
とになります。時期的にはF1にグランドエフェクトカーが誕生し、生産車に
4WSなどが搭乗した頃です。
ここまでは運転中に人間が感じたことと歴然たる事実である速さを走行後に
つき合わせて検証し、人間は走り方を変え、クルマはよりポテンシャルの高い
仕様に変更されて速さが求められてきました。人間とクルマが乖離していた時
代からクルマの性能を優先して速さを求める時代への移行です。F1の速さに
占めるドライバーのテクニックは3割もない、と言われたのがこの頃です。
時代は進み人間の操作を数値的に記録するインターフェイスが発達すると、
クルマの速さは偶然のものではなく確固たるものとして手に入れられるように
なります。それが現代です。クルマはまずます機械としての速さを備え、それ
を実現するために『人間の曖昧さ』を排除することが絶対的に必要な時代に入
ったのです。
昔と今と、クルマを速く走らせる時に『人間に求められるもの』の質が変化
を遂げてきたわけです。人間とクルマの関係が変化してきた、と言ってもいい
でしょう。その昔のクルマと人間の補完関係から、現代の人間とクルマの融合
関係へとです。その結果、速さが理論的なものになりより多くの人が享受でき
るようになった反面、クルマを操る楽しさの質も変化したということになりま
す。
ですが、スポーツドライビングを純粋に楽しむためのものであるのなら難し
く考える必要はありません。スポーツドライビングの本質はクルマと人間の協
調を達成するところにあるのですから、その方向さえ間違っていなければ方法
は問わないということです。
たとえデータロガーを搭載していても、『ちゃんとスロットルを全開にして
いるか』、とか『どんなブレ−キングをしているか』という程度の情報を得る
のには役立ちますが、サスペンションセッティングを含めたクルマという機械
の速さを求めようとすると、それはもはやドライバーではなくエンジニアの領
域になります。個人単位で楽しめる最もプリミティブなスポーツドライビング
からはかけ離れる可能性があります。
大掛かりな仕掛けがなくても運転を楽しみことはできます。サイトに掲載さ
せていただいた渡辺さんが採ったデータで十分すぎるほどです。走りを極める
と言うと大げさですが、クルマとの協調を求めるのであれば、勝手な思い込み
で操作していた人間が走行中のクルマの状態に目を向けることから全ては始ま
ります。
走行後の空気圧だけであっても、何回か走ってデータが蓄積できれば操作と
速さ(クルマの状態)の関係をうかがうことができるはずです。
渡辺さんは「タイヤ温度から何がわかるか」という話をしていて興味をもた
れ、非接触式の温度計を購入されてデータを集めるようになられました。前回
のYRSオーバルで測定してから車高調整式のサスペンションを組まれたので、
今回はその効果も検証したいということでした。
1回の走行のデータを見ただけでは得るものは多くありません。運転した本
人以外にはどんな操作をしたかが判らないからです。しかし自分が乗っていな
くても、同じクルマのデータが複数あれば見えてくるものがあります。特にタ
イヤ温度は走り方によってかなり上昇のしかたが違いますから、4本のタイヤ
それぞれのの温度分布を見ればある程度操作を推測することは可能です。
スポーツドライビングを志すならば最低でも空気圧を測るエアゲージは備え
たいものです。しかし、あるにこしたことはありませんが、タイヤ温度計まで
はなくてもかまわないのです。走り終えて空気圧を確認する時に、タイヤのト
レッドを手で触って見て下さい。かなり熱くなっていますし、ホイールは金属
ですからもっと高温です。気をつけて触って下さい。
前輪のタイヤ温度が後輪のそれより極端に高い時は要注意です。フロントヘ
ビーの生産車とは言え、かなりの確率でリアのグリップを十分に使わずに走っ
ている可能性があります。タイヤは働けば働くほど温度が上がります。アンダ
ーステアを発生し滑りすぎて上がった場合ももちろんありますが、クルマが4
輪でコーナリングフォースを発生して走っていれば前後輪の温度差はそれほど
にはならないものなのです。
同時にタイヤショルダー部の状態を確認して下さい。最近の扁平率の小さい
タイヤはほとんどがスクエアショルダーのデザインになっています。アウト側
ショルダーのブロックが削れていませんか?サイドウォールまで接地したあと
はありませんか?どちらの場合もアウト側ショルダーに負担がかかりすぎたの
が原因です。ということは、温度分布が均一ではないと推測できます。
サスペンションのデザインにしろ、レーシングカーのサスペンションセッテ
ィングにしろ、走行中のタイヤのトレッド面全体ができるだけ均一に路面に接
するようにするのが目的です。もし、操作の仕方でタイヤ温度の分布に極端な
むらが生まれていたら。それは操作が速さにつながっていないことになります。
クルマと人間の協調。手始めに走行終了後にクルマを1周してみませんか?
空気圧を測り、タイヤの磨耗を確認し、タイヤを発熱を感じながらです。
・コース1000走行データ(渡辺さん提供)
http://www.avoc.com/3media/3article/0918tire_temp.htm
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5)読者からの質問と回答 補足 トム ヨシダ
「ストレートを走ってきた速度でコーナーを回ることができたら。クルマが発
明されてからクルマの設計者もドライバーも、誰もが立ち向かった永遠の課題
です。(注1)しかしドラッグレースが行われるドラッグストリップ以外は、
それがロードコースであろうとオーバルコースであろうと必ず『ストレートよ
り走行速度が低い』コーナーが現れます。」
* * * * * * * *
サーキットを速く走ろうとすると課題はふたつ。直線での最高速度の向上と
コーナー区間での速度の向上だ。同じよう映る速さではあるが、基本的には大
きく異なる。
直線での最高速度はエンジンの出力とクルマが受ける各種の抵抗がバランス
したところで決まってしまうが、コーナリング速度はロードホールディング
(路面を掴む力)次第で決まるから、そこにはシャーシ側の速さとドライバー
の速さの両方が求められる。
シャーシ側の速さとは、コーナーでクルマが受ける遠心力に打ち勝つための
技術であり、ドライバー側の速さとはコーナー区間でクルマの旋回性能の存分
に発揮させるためのドライビングテクニックのことだ。
ここではサーキットを走る人たちが悩みつづけるドライビングテクニックは
脇においておいて、いかにシャーシ側で速く走るための工夫がされているかを
見る。
余談になるが、コース上に直線しか存在しないドラッグレースでは加速性能
こそが全てであり制動力は二の次に考えられる。結果、3000馬力プラスの
エンジンを搭載したトップフューエルはスタートすると4Gあまりの加速度を
発生しながら、減速区間ではパラシュートを使いながらも2G弱のマイナス加
速度しか生むことはできない。それ故、ドラッグレースを世界的に統括するN
HRAでは加速区間の倍の減速区間を持つことを公認コースの条件にしている。
90年代中ごろまでアメリカにIMSAというレースが存在し、トヨタ、日
産、マツダがワークス体制で参戦していた。IMSAの中の最高峰がGTPク
ラスで、そよそ技術の粋を全てつぎ込んだようなマシンが作られていた。
トヨタGTPに乗った時のこと。2.4リッターターボエンジンの出力は6
50馬力。対する車重は900Kg。実に暴力的な加速を実現していた。しか
し、ここまではクルマの発達の歴史の中に常に存在した比出力(パワーウエイ
トレシオ)を向上させることで加速力と最高速度の向上を狙ったものにすぎな
い。近代にあって『コーナーの直線化計画』はクルマを路面に張り付かせる工
夫に見られる。
言うまでもなくコーナリング速度は遠心力とタイヤが生むコーナリングフォ
ースがバランスして決まる。コーナーでの速度を上げれば遠心力は飛躍的に増
大する。もし増加する遠心力に見合うだけのコーナリングフォースを発生させ
ることができれば、コーナリング速度を上げることも不可能ではない。
コーナリングフォースとはもちろんタイヤが発生する回転中心に向かうグリ
ップのこと。サイズに規制のあるタイヤから耐久性を考慮しながらより大きな
グリップを引き出す。そのために生まれたのがいわゆるグランドエフェクトカ
ー。トヨタGTPもボディ下面に巨大なウイング形状のセクション(正確に言
えばフロントオーバーハングの翼断面清流セクション、フラットなセンターセ
クション、リアウイングとともにかボディ下面の流速を早めるためのリアアッ
プスィープセクションの3つ)を備えていた。タイヤのグリップは摩擦力だか
ら摩擦係数(トレッドゴムの柔らかさ)と垂直過重の積で求められる。垂直過
重が増えればコーナリングフォースが向上する。物理的に垂直過重が増え続け
ることが可能ならば、コーナリング速度も直線でのそれに近づくという思想だ。
日本人のヒロ藤森氏が空力をデザインしたトヨタGTPは当時としては最高
レベルの2.2トンのダウンフォースを時速240Kmの時に発生させること
に成功していた。トヨタGTPの車重は900Kg。そう。トヨタGTPを天
井に逆さにして走らせることができれば、落ちることなく走り続けることがで
きたはずだ。
アメリカではオーバルレースが盛んだ。レースをやっていると言っても、そ
れがロードコースを使ったレースとわかると「フーンッ。」となることが多い
ほど。オーバルレースの中でも絶大な人気を誇るのがNASCARストックカ
ーレース。オンボードジャッキは駄目、ホイールはスチールでなくては駄目。
テレメトリーなんてもっての他。という前時代的なストックカーレースでは
あるが、そこかしこにはコーナーを速く走るための工夫がなされていた。
シャーロットモータースピードウエイで初めてNASCARの最高峰である
ウインストンカップカーに乗った時のこと。前輪のキャンバーが異常なことに
気が付いた。アメリカのオーバルレースは左回り。右前輪にはターンインでの
接地性を高めるためにネガティブキャンバーが当然のことのようについていた。
その時のマシンは−3度20分。
ふつうネガティブキャンバーのついたクルマを正面から見ると前輪がハの字
になっている。しかしそのクルマはそうではなかった。前から見ると、左前輪
はネガティブキャンバーのついた右前輪に限りなく平行に見えた。聞けばター
ンイン時にロールが始まる。その時に対地キャンバーがゼロになってタイヤか
ら最大のグリップを引き出すためにポジティブキャンバーにするという。その
値。2度40分。
1560Kgもある車体。ターンイン直前で時速300Km以上に達する速
度。洗練と言う言葉からは遠いように思えるNASCARストックカーも『コ
ーナーの直線化計画』の第一歩である「できるだけ速い速度でコーナーに進入
する」工夫がされていた。
1周1.5マイル(2.4Km)以上のオーバルコースを俗にスーパースピ
ードウェイと呼ぶ。ほとんどの場合かなり大きなバンクがついている。最大の
ものはタラデガの31度。シャーロットは24度だった。バンクがついていれ
ばコーナリング速度を上げることはできる。コーナリング速度を上げるための
最大の障害である遠心力が相殺されるからだ。
しかし、それはあくまでもクルマがコーナリングを始めているという前提に
立った話。ストレートを加速中にとてつもないエネルギーを蓄えた1.6トン
の物体が、直進運動から回転運動に無事に移行する保証はどこにもない。その
巨大なエネルギーはバンクがついていようと、進入速度をほんの少し間違うだ
けでマシンをバンクに逆らってアウト側のウォールに向かわせるだけの力を秘
めている。とにかくクルマの向きを変えることだ。エネルギーの方向を変換す
ることだ。そうして生まれたのがイン側+、アウト側−の変則キャンバーだと
聞いた。
オーバルレースはモメンタムレースとも言われる。慣性力のレースという意
味だ。速く走るためには蓄えたモメンタムをできるだけ吐き出さないほうがい
い。失ったモメンタムを回復するには時間を要する。ならばできるだけ高い速
度でコーナーに進入し、その勢いをコーナリングにも生かそうというのだ。
もちろんコーナーの曲率やバンク角によってキャンバーの値は変わるが、オ
ーバルコースでは誰もが変則キャンバーを使う。それはターンインの区間を可
能な限り直線の延長に見せかけようとしているからだ。
日本では馴染みがないが、アメリカではダートトラックが盛んだ。いわゆる
路面が土か粘土でできたコースだ。その特長はタイヤがグリップしなので低い
速度でクルマの性能限界を引き出すことができるというもの。逆に言えば、ク
ルマの限界が低いから速さをドライバーに負うところが大きい。だから勝ち負
けが人間で決まるから面白い、ということになる。
ダートトラックを走るクルマは、ストックカーからスプリントカー、モトク
ロッサーやカートまで様々だが、ある日320馬力のミヂェットに乗った時の
こと。
ストレートを走っていてブレーキを踏む。タイヤの追従性を高めるために柔
らかいサスペンションスプリングを組んだマシンはノーズダイブを始めるやい
なや、左前輪を軸に向きを変える。ブレーキが左前輪と左右の後輪にしか装着
されていないためだ。止まるためにブレーキをかけるのであれば、横向きにな
った瞬間に速度が劇的に落ちるからこんな安全なことはない。
しかし3輪ブレーキの目的は、あくまでも滑りやすい路面でエネルギーの方
向を変えることにある。もしろん左に向けてだ。ステアリングを切ってもノー
スが回らない場合であっても、3輪ブレーキならば間違いなくマシンが向きを
変え始める。
180度の長いコーナーを回りながらスロットルを開ける。何の予兆もない
ままにリアがアウト側にスライドをはじめ、フロントは相変わらず同じ軌跡の
上にある。右後輪の直径が左後輪のそれに比べて極端に大きいからだ。コース
にもよるがその差が20数センチになつこともある。そのままスロットルを開
けていれば間違いなくマシンはフロントを軸にその場で1回転する。そうなら
ないためにカウンターステアを切りフロントのグリップを逃がす。それでもス
ロットルを踏んでいる間リアは外へ外へと出ようとする。しかしフロントとリ
アの滑り量のバランスさえとれれば、ストレートに出るはるか手前からスロッ
トルを全開にしてコーナーを立ち上がることができる。まさに『コーナーの直
線化計画』そのもの。
ミヂェットこそ全ての機能を速さに結びつけた典型的なクルマだ。速さに逆
行するブレ−キングでさえコーナリングの一部に同化してしまった。過度のテ
ールスライドを起こさせることで遠心力そのものさえ打ち消してしまった。
現代の量産車を駆ってサーキットを走る。スポーツドライビングはそれほど
特別なテクニックがなくても可能になった。しかし、周回路には必ず速い直線
部分と遅いコーナー部分がある。安全に速く走るためには、やみくもに奥まで
突っ込んでブレ−キングをかけるより、遠心力に逆らってスロットルを開ける
より、どうすればコーナー区間での損失を減らすことができるかを考えてみる
価値はあるはずだ。
=== この項終わり ===
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