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Go−CircuitNo.267(03/9/09発行)
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●クルマを走らせるのは楽しい。思い通りに走らせるのはもっと楽しい●しか
しクルマがなかなか思うように動かない時がある●クルマの運転は簡単そうで
難しい●が、難しいことに感謝しなければならいない●難しいからこそうまく
できた時の喜びは大きい●うまくなろうとする過程がまた楽しい●うまくなろ
うとするから工夫する●今の時代、クルマを使い倒さなければもったいない。
|| Proud of Our Tenth Anniversary ||
》》》Be Smarter, Drive Sater, and Drive Faster! You can do it!!《《《
【 Yui Racing School Offers Serious Entertainment 】
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|1) 10周年企画 第一弾 『YRS運転虎の巻』進呈
|2) 10周年企画 第2弾 『YRSオーバルスクールワイド』開催
|3) 雨の日の勧め
|4) 参加申し込み受付中
|5) クルマを走らせる その10 トム ヨシダ
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|1) 10周年企画 第一弾 『YRS運転虎の巻』進呈
9年間で延べ10,063名の卒業生を送り出したユイレーシングスクール
では、10周年を記念して運転がうまくなる『YRS運転虎の巻』を2009
年に受講される方にさしあげます。
対象となるイベントは
・YRSドライビングワークショップ(FSW、筑波)
・YRSドライビングスクール(FSW、筑波)
・YRSオーバルスクール
・YRSツーデースクール
・吉田塾
・YRSエンジョイドライビング(4月以降開催予定) です。
毎月異なるテーマを設け、読み進めると運転に対する理解が深まるように作
られています。理論の解説と併せて日常でできる練習方法についても説明して
います。
2月のテーマは、「ドライビングポジションの重要性と適正がドライビング
ポジションの見つけ方」です。『YRS運転虎の巻』はスクールの総括の時に
お渡しします。
今年こそクルマを思い通りに操りたいと思う方はユイレーシングスクールを
ぜひ受講して下さい。
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|2) 10周年企画 第2弾 『YRSオーバルスクールワイド』開催
ユイレーシングスクールは2002年に筑波サーキットジムカーナ場で独自
のカリキュラムであるYRSオーバルスクールを始めました。以後、開催地を
追加し、変更しながら現在は富士スピードウエイのジムカーナ場で開催してい
ます。
ユイレーシングスクールの主張する理にかなった運転を体験していただくた
めにオーバルスクールでは楕円形のコースをインベタで走ってもらっています。
こうすることによりブレーキングポイントとターンインポイントがつかみやす
く、操作に専念できるからです。しかし10周年を迎えたのを機に、オーバル
スクールとサーキットの距離を縮めるために、アウトインアウトのラインを走
るオーバルスクールワイドを開催することにしました。
現在のYRSオーバルFSWのラジアルタイヤを履いた車両のコースレコー
ドは13秒860です。これはオーバルレースの予選で記録されたものでアウ
トインアウトのラインを使っています。一方、オーバルスクール開催時のイン
ベタで走った時のベストラップは13秒990です。コーナー半径が大きくな
れば通過速度は速くなりますが、必ずしも絶対的に有利とは限りません。むし
ろ、どんなラインを通ってもコンスタントなタイムを刻めるようになることが
オーバルスクールワイド開催の目的です。
アウトインアウトでもインベタでも、クルマを前に進めることが重要です。
タイヤのグリップは、常にコーナリングフォースとトラクションに振り分けら
れています。直進状態ではコーナリングフォースがゼロなので、クルマは自由
な加速と減速ができます。
なので、突如としてコーナーが終わるインベタのラインではトラクションを
瞬間的に書けることができる利点があります。
アウトインアウトが必ずしも絶対的に速くないのは、コーナーの立ち上がり
でコーナリングをしながら加速をしなければならないことと、ステアリングを
切りながらブレーキングをしなければならない点です。どちらの場合もコーナ
リングフォースに使うグリップとトラクションに使うグリップの和を限りなく
グリップ限界付近で連続的に維持することが難しいからです。
グリップをうまく振り分けられれば、例え走行距離が長くなっても曲率の大
きく取れるアウトインアウトのほうが有利なのですが。
この振り分け方を体験していただくために、YRSオーバルスクールワイド
を開催します。当日は会うとインアウトで常に走っているオーバルレース常連
の方に引っ張りをやってもらう予定です。
| 開催日は3月28日(土)。受講料は17,000円。募集台数は24台です。
当日は次のカリキュラムを予定しています。
・半径22mの真円を使った定常円走行
・44x104mオーバルを使ったリードフォロー
・44x104mオーバルを使ったタイムトライアル
インベタとアウトインアウト両方を計測しどちらが有効か検証します
開催案内および申し込みフォームは以下の頁をご覧下さい。
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=os&p=oswf#1
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|3) 雨の日の勧め
過去9年間。不思議と言ってよいほど、ユイレーシングスクールの開催日は
晴天が多かった。予報では崩れそうなのに実際にはそうならなかったことも多
い。
しかし、今年は雨の日が続いてしまった。2月20日のYDWF、2月28
日のYDWT、そして3月6日のツーデースクール1日目。3回連続で雨の中
で座学を行うことになった。
座学ではいつもと同じビークルダイナミックスについて話をするのだが、雨
の日はそれに加えて摩擦係数の低い路面での走り方を話すことにしている。と
言っても、特別な話をするわけではなく、主に意識の持ち方についての話だ。
雨で滑るから危ないのではなく、雨でも滑らない操作を覚えないことのほう
が危ない、というようなことだ。
雨が降っていると座学を始めるころの受講生の顔は暗い。「雨だから憂鬱で
すか?」と聞けば全員がそうだと答える。だから、雨の日は「違いますよ、雨
の日に受講できてラッキーなんですよ」と言うことにしている。実際、雨の日
は低い速度でクルマの特性を感じることができて有効なのだが、やはり雨イコ
ール滑るというすりこみがあるから、ラッキーですよと言っても受講生の顔は
曇ったままだ。
しかし、カリキュラムの半分を消化するころになると、受講生の顔が輝いて
くる。雨の日の走行が楽しくなったからだ。
今年から始めた真円の定常円走行は、雨の日の練習にもうってつけだった。
最初は用心して速度も上げずにいるのだが、同乗走行でクルマの限界と操作の
仕方を見てもらうと、それが特別なことではないのがわかってもらえる。なに
よりも濡れた路面で自分のクルマがいきいきと走るのを感じるのだから、自分
にもできるのではないかと考えることができる。「自分のペースでかまいませ
んから、少しずつトライしてみて下さい。」と前置きした上で、うまくいかな
かった点を聞き、それに対する解決策をアドバイスすると徐々に受講生のクル
マが安定して走るようになる。
スクールが終わった後の雑談で「雨の日でよかったね。」と、まず全員が口
をそろえる。ドライの時と基本的には同じ操作をしているのだが、操作とクル
マの挙動の関係が明確にわかるだけ確かな手ごたえを感じることができたから
だ。
つまるところ、滑りやすい雨の日でもドライビングテクニック自体は普遍だ。
滑る路面に正面から向き合えば、これほど効果的なドライビングテクニック習
得の機会はない。あなたも雨の日を狙ってYRSドライビングワークショップ
かYRSオーバルスクールを受講してみてはいかがですか?
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|4) 参加申し込み受付中
現在、以下のカリキュラムの参加申し込みを受け付けています。
| ◆ ◇ ◆ クルマの運転の楽しさを味わってみませんか? ◆ ◇ ◆
| ※申し込み期日を過ぎても定員に達しない場合は引き続き受け付けを行いま
| す。枠がある場合は当日受け付けも行いますが電話でご連絡下さい。開催日
| 前3日を過ぎてからの申し込みは受講料を当日の受け付けでお支払い下さい。
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|■ 3月27日(金) 2009年第1回エンジンドライビングレッスン
今年初めてのエンジンドライビングレッスンです。今年は毎回テーマを決め
て、それに沿った練習を行います。1回目のテーマはピッチコントロール。いかにクルマを安定させてH走らせるかに挑戦します。
尚、問い合わせ、申し込みは直接エンジン編集部にお願いします。
・エンジンドライビングレッスン開催案内
http://www.avoc.com/1school/driving/edl.shtml
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|■ 3月28日(土) YRSオーバルスクールワイド
YRS初のアウトインアウトで走るオーバルスクールです。初めてオーバル
スクールに参加される方も、リードフォローでラインをアドバイスしますから
安心して参加できます。オーバルコースの醍醐味を味わいたい方はぜひご参加
下さい。
・YRSオーバルスクールワイド開催案内
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=os&p=oswf
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|□ 3月28日(土)YRSオーバルレース Rd.1
YRSオーバルレース第1戦はYRS初のオーバルスクールワイドと併催し
ます。
・3月28日YRSオーバルレース規則書
http://www.avoc.com/2race/guide.php?c=sr&p=yor#12
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|■ 3月31日(火) YRS筑波サーキットドライビングスクール
・YRS筑波サーキットドライビングスクール開催案内
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|■ 4月2日(木) YRSオーバルスクールFSW
・YRSオーバルスクールFSW開催案内
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|■ 4月10日(金) YRSオーバルスクールFSW
・YRSオーバルスクールFSW開催案内
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|■ 4月11日(土) YRSエンデューロ 第2戦 FSW
・YRSエンデューロ規則書
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|■ 4月11日(土) YRSスプリント 第2戦 FSW
・YRSスプリント規則書
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|5)クルマを走らせる その9 トム ヨシダ
みなさんは交通事故の瞬間を目撃したことがあるだろうか?
自動車レースに携わる仕事をしてきたからサーキットでの事故は枚挙にいと
まがないほど目の当たりにしてきた。悲惨な事故の目撃者になったこともある。
が、公道での事故は一度しかない。事故が起きてしまってからは何度も目にし
たことがあるが、事故の瞬間はこれだけだ。クルマ対クルマの事故だった。幸
いにも双方の運転手に怪我はなかったのだが、いやなものを見てしまったとい
う暗い気持ちになったことを覚えている。同時に交通事故はいとも簡単に起き
てしまうものだと再認識した記憶がある。
その事故は平日の午後。つくば学園都市から筑波サーキットに向かう片側1
斜線の道で起きた。
かなり長い直線区間を走っている。平日というのにそれほど交通量は多くな
い。前方には同じ方向に進む国産の大型セダンが1台。急ぐ必要もないからか
なりの車間距離をおいて制限速度プラス10キロで走る。と、対抗車線を向こ
うから大型トラックが走ってくるのが目に入る。いわゆるキャブオーバー型の
トラックでかなり大きい。対抗車線の交通量も少なくのどかな時間が過ぎる。
「大きいな。何トン積みかな。何軸なんだろ」などとあいまいに頭を働かせな
がら進む。その次の瞬間。大型セダンと大型トラックがすれ違おうとしたその
時。大型セダンが対抗車線に進入。ガガッという結構な音とともにぶつかって
しまった。ほこりのようなものが舞い上がるのが見えた。、
「エッ!嘘だろ」と考えるよりも先にバックミラーを見て後続車がいないこ
とを確認して路肩ぎりぎりにクルマを停める。ぶつかった大型セダンは元の車
線に戻り進行方向左側を向いて停まっている。大型トラックも接触したのに気
づいたのだろう、路肩にそって停まる。大型トラックはまだずっと先に見える
から、大型セダンとの車間距離はかなりのものだったはずだ。この時ばかりは
大型セダンの直後につけて走っていなかったことに安堵せざるをえなかった。
原因がどこにあるのかわからない。しかし大型セダンの運転手に何かがあっ
て対抗車線に飛び出したことは事実だ。ボーッとしていたのか。何かを操作し
ようとしていたのか。それとも床に落ちた何かを拾おうとしてステアリングホ
イールを持つ手に力が入ってしまったのか。
しかしこの事故が悲惨な結果にならなかったのはまさに偶然でしかない。起
きてはならない交通事故ではあるし、事故など見たくもないが、この時ばかり
は「これで終わって本当に良かった」と心底思ったものだ。
偶然その1。大型セダンの運転手が対抗車線にはみ出した瞬間に進路が変わ
っているのを自覚して左にステアリングを切ったことだ。接触の瞬間。右に進
んでいた大型セダンが左に進路を変えたように見えた。実際、大型セダンと大
型トラックはほぼ平行に接触したように見えた。仮に角度がついたまま接触し
ていたら質量の大きな大型トラックに跳ね返されていたはずだ。あるいはそれ
までの勢いを大型トラックが吸収することになったら、クルマへのダメージは
もちろん、人間にも被害が及んでいたかも知れない。
偶然その2.大型セダンが対抗車線に逸脱したのがまさにお互いがすれ違わ
んとした時だったことだ。もし走ってくる大型トラックの直前に飛び出したら。
双方とも50キロで走っていたならば大型セダンは時速100キロで壁にぶつ
かったことになる。いかに大型セダンが左に転舵したとしても大型トラックの
前面にぶつかったならば事故ははるかに悲惨なものになっていたはずだ。
クルマを停めてしばらく、といってもほんの数10秒のことなのだろうが、
見ていると双方の運転手が降りてきた。これは自分の出る幕ではないなと大型
トラックと大型セダンの間を散らばった部品を踏まないようにゆっくりと抜け
て筑波サーキットに向かう。見ると大型トラックにはほとんど傷らしいものが
見当たらないが、大型セダンのほうは右側面のフロントからリアまで擦過傷の
ような傷が走っている。しかしへこみが浅い。相対速度が高くてもほぼ平行に
ぶつかったから大型セダンははじき返されず、あるいは大型トラックの下に潜
ってしまうようなこともなかった。まさに偶然。
大型セダンが対抗車線に逸脱した瞬間。そこには何が起きても不思議ではな
い状況が生まれていた。大型トラックは対向車が自分の走る車線に飛び出して
来ようなど少しも思わずに目的地へと向かっていたはずだ。大型セダンの運転
手はまさか自分のクルマが対抗車線に飛び出してしまうなどと考えたこともな
かったはざうだ。しかし、理由はどうであれ場合によっては最悪の結果となる
ような状況を大型セダンの運転手は自ら作ってしまったということだ。
事故は避けたい。事故は起こさないほうがいいに決まっている。しかし事故
は起きる。少なくとも交通を担う全ての運転手は運転という行動に対してもっ
と責任を負わなければならない。その第1歩が一生懸命運転することだ。そし
て一生懸命に運転するためのたたき台を作ることだ。
さて、事故を起こさないため、そして事故が起きる可能性を限りなくゼロに
するためにあなたはどんなルールを作っていますかという話に戻る。前回の続
きだ。
8、一旦停止は必ず守る。
最近では使われないようだが、カリフォルニアにはカリフォルニアストップ
という言葉がある。一旦停止の標識があっても完全に停止せずにノロノロと進
んでごまかしてしまう運転のことだ。時に南カリフォルニアの市街地ではフォ
ーウエイストップ(4差路の全てが一旦停止になっている)が多いから、昔は
よく見かけた。しかし現在では停止線の手前で停まるか先で停まるかは別にし
てほとんどの人が一旦停止を守っている。
市街地とは言え72キロ制限の道もあるから出会い頭の事故が大きなものに
なるという理由で取締りが強化されたことも理由の一つだが、基本的には自分
の安全は自分で守るという意識がそうさせているようだ。
ボクが一旦停止を守る理由も同じだが、日本では特に気をつけている。もと
もと一旦停止が求められている交差点と言うものは幹線道路と枝道が交差する
ところだ(アメリカのフォーウエイストップは双方が幹線道路だからだ)。つ
まり幹線道路に交通の優先権があって枝道から幹線道路に進入するクルマは幹
線道路の交通を阻害してはならないから一旦停止が求められている。幹線道路
の方が交通量が多いし流れが速いのがふつうだから当然のことだ。
しかし日本ではその差が明確でないことが多い。優先側の道がそれほど広い
道でなくてもとんでもないスピードで走っているクルマがある。優先側の道を
走っているクルマが前方不注意の可能性もある。とにかく合流する側の速度が
ゼロなのに対して優先側の道を走るクルマは当然ながらそれなりの速度で走っ
ている。しかも合流側と優先側の進路は直角に交わっていることが多い。状況
を考えれば合流側のクルマは優先側の道に十分なスペースのあるところで進入、
あるいは横断しなければならない。そのスペースを確認するためにも一旦停止
は必要だ。
9、細い道は時速35キロを上限に走る。
YRSの本社のある八千代市には農道じゃないかと思えるような細い道がた
くさんある。本社前の道もそうだ。しかし朝の通勤時間帯にはそんな道をかな
りのスピードで走り抜けるクルマが後を絶たない。ブラインドコーナーのある
道でもおかまいなし。道が細いから(もちろん中央線などない)たいていの場
合は道の中央を走っている。コーナーを曲がる時に対向車に出会うと急減速し
ながら道の端に避けお互いをやり過ごしている。この時だ。決して運転が下手
なのではないな、と思うのは。とにかく出会い頭に対向車と向き合っても何事
もなく走っている。それはそれでいいのかも知れないが、制限速度の標識もな
いような細い道を50キロで飛ばすのは明らかに間違っている。
確かに今のクルマの制動性能は高いから何も起こらずにすれ違ったりやり過
ごしたりできるのかも知れないが、もし歩いている人間が物陰から突然飛び出
してきたり、犬や猫が走り出てきたらどうするのだろう。そんなことはないと
思うが道端に建つ家の屋根から何かが落ちてくるかも知れない。細い道であれ
ば、その道に面しているのが家であろうと生垣であろうとそれらから距離をお
いては知るわけにはいかない。横から何かが飛び出してきてもそれを避ける左
右へのスペースは限られている。あるいはブラインドコーナーの先に障害物が
あった場合、平面的に回避することは不可能になる。それでも50キロを超え
る速度で走るのは、自分の運転中は何も起きるわけがないと思い上がって運転
しているとしか思えない。
少なくとも細い道ではすぐに停まることのできる速度で走るべきだ。すぐに
停まれる速度というのは、自動車の場合30キロぐらいだ。その速度なら直前
に何かを発見しても10mも行かずに停まれるはずだ。もちろん前方を注視し
て運転していることが前提だが。10mというとクルマの全長の2倍強。近く
を見て運転している人がいても10m先までしか見ていないことはないだろう。
通い慣れた道を走っている時に自分がどこを見ているか意識する。次に通る時
にクルマを停めて見ていたと思われるところまで歩いてみるといい。細い道で
も30m先は見ているはずだ。
もちろん路面が濡れていたり、クルマが通過する瞬間に飛び出してきたもの
に対してはこの通りにはいかない。が、少なくともゆっくり走ったほうがいい
ということはわかるはずだ。
自動車の制動距離は走行速度に比例しない。速度が倍になると制動距離も倍
になるのではなく、速度が高くなると飛躍的に制動距離は伸びるものだ。細い
道に限らないことだが、クルマを運転している時には走っている速度からフル
ブレーキングをした場合にどこで停まれるかということを想像してみる必要が
ある。
10、高速道路では制限速度プラス30キロを上限として走る。
高速道路をすごいスピードで走っているクルマを見かける。160キロは出
ていそうな勢いだ。交通量の少ない深夜に追い越し車線を飛ばしているクルマ
もあれば、結構な交通があるのにその間を縫って飛ばしている人もいたりする。
クルマは目的地に快適に早く移動するための道具だから先を急ぎたくなる気持
ちはわかる。だがこれは明らかに違反だ。その上、全く意味のない行為にほか
ならない。
高速道路にはいろいろな顔がある。平日の早朝や深夜。物流のためにせわし
なく走るトラックの群れに占拠される時間。家族連れのワンボックスカーがや
たらと目立つ週末の昼中。それぞれに流れの速さがあり、流れの質がある。ト
ラックが多い流れに淀みがなくなる。彼らは移動が仕事だからいかに効率よく
移動するかを考えている。どの程度の速度で走ればいいのか。どんな運転をす
れば自分が疲れないか。運転から逃げることができないのだから少しでも快適
に目的を達成できるように工夫して走っている。リビングルームの延長のよう
な乗りで高速道路を走るワンボックスカーはいささか趣が異なる。家族を乗せ
ているのにとんでもないスピードで追い越し車線を走るクルマや話に夢中にな
っているのだろうかペースが全く一定しないのに悠然と走るクルマがいたりす
る。
渋滞とかで速度が50キロに落ちるならば状況は変わるが、90キロ以上で
流れていればとんでもない遠距離を走らない限り高速道路の所要時間はそれほ
ど変わらない。瞬間に160キロで走っていても大方の流れは100キロプラ
スだろうからどこかで先行するクルマにつかえる。パッシングして蹴散らして
追い越しをするにしても、160キロでは走り続けられないのだから意味がな
い。早く目的地に着こうとしているのだろうが、実際はその努力に見合う時間
の短縮などできるわけがない。
だいたい100キロ制限の高速道路であればメーター読みで100プラスで
流れていることが多い。交通が一定のペースで流れていれば、つまり流れが遅
くなったり速くなったりしなければ流れに乗っているだけで移動時間は大幅に
短縮できる。しかし問題は流れが一定しない場合だ。追い越し車線を走行車線
の流れより遅く走るクルマがいたり、遅いクルマを追い抜くために加速もしな
いで追い越し車線に出てきたり。結局は心無い人のせいなのだが100キロで
流れていた交通が突然80キロにまで落ちてしまうことがある。これは効率が
悪いのと同時に危険でもある。
流れが、例えば100キロ前後で一定していれば、どの車線を走っていよう
と流れに乗って走ることが安全だ。110キロの流れであれば110キロで走
るのが安全だ。少なくとも流れと同じ速度で走っていれば他のクルマとの相対
速度をゼロに維持することができるからだ。相対速度がゼロということは他の
クルマの動きを最も把握しやすい。
しかし様々なクルマが走っている高速道路で流れが一定になるということは
なかなかないことだ。車間距離を保つために減速を強いられたり、あるいは加
速しなければならなかったり。だから安全にかつ効率良く高速道路を利用する
ためには、流れより少し速い速度、例えば流れより10キロ速い速度を一定に
保ちながら走ることだ。当然追い越し車線を走る時間が増える。しかし流れの
妨げにはならない。流れに任せて走るのではなく、積極的に自分のペースを維
持しようとすることで運転にも集中することができる。
確かに110キロで走れば違反ではあるが流れに翻弄されて走り続けるより
は安全だ。ただし追い越し車線を走っているからと言って必要以上のスピード
を出すことは避けなければならない。走行車線のクルマを追い越すために速度
を上げる場合にも、走行車線の流れより30キロ程度速い速度に抑えるのが好
ましい。走行車線が100キロで流れていれば130キロが上限。お互いの速
度差が30キロ以内であれば十分に他のクルマの動きを読むことができる。高
速道路を走る時は単位時間あたりの移動量が多いから十分注意が必要だ。それ
No.には走っている他のクルマとの相対速度を常に意識することだ。
11、高速道路の合流は本線の流れより速くなってから行う。
高速道路の第1車線を走っていてインターチェンジに差し掛かる。前方に合
流してこようとするクルマがあった時、そのクルマが流れの速さにまで速度を
上げていないと後ろから走ってきたクルマは減速をしなければならない。それ
がいやだから第1車線を走らないクルマが多い。しかしこれこそが高速道路の
交通を阻害し秩序を乱している。つまり危険な状況を作り出している。
ためしに早朝の3車線ある高速道路を走って見るといい。すいているのに第
1車線を走っているクルマはまれだ。常に第1車線を避けて走る癖がついてい
るから3車線あると中央の車線を走ってしまう。
合流するクルマが十分に加速しないで本線に進入しようとして後続車にブレ
ーキを踏ませるのは、もちろん本人の意識が低いからなのだが、もうひとつ、
合流車線に設けられた制限速度にも原因がある。たいていの場合インターチェ
ンジのランプは40キロ制限なのだが、それが解除された地点から加速を始め
ても流れの速さにまで加速できない場合がある。クルマの操作に慣れている人
ならば低いギアを使って十分な速度まで加速することができるが、上のギアで
走ることがあたりまえになっている人にとっては加速区間が足りないことにな
る。
安全に本線に合流するためには、合流車線から本線に進入する際に少なくと
も本線の流れと同じ速度になっていることが大切だ。しかしそれだけでは十分
でない場合がある。合流車線を走るクルマと第1車線を走るクルマが合流地点
に差し掛かった場合だ。だから合流車線の終わりで流れと同じ速さにするので
はなく、合流車線の途中で本線の流れより速い速度まで加速する。スペースが
あればそのまま合流すればいいし、加速中に第1車線を走ってくるクルマがあ
るのを確認したら加速を止めればすむことだ。第1車線を走っているクルマに
ブレーキを踏ませるような合流はマナーが悪いという以前に流れを阻害し危険
な状況を作り出しているということを認識すべきだ。
12、渋滞中の合流は1台ずつ。
高速道路の料金所を抜けて本線に近づくと突然渋滞が目に飛び込んでくるこ
とがある。本線の流れが遅い場合もあるが、合流するクルマが本線を走ってく
るクルマにブレーキを踏ませることで渋滞に拍車がかかることが多い。さらに、
路肩を走って自分だけ先のほうで合流しようしたり、合流地点のはるか手前な
のに空いているところに割り込もうとする身勝手な運転手がいるから渋滞が後
を絶たない。そんなクルマを見ると腹立たしく思うが、合流は合流対点で1台
ずつ行うのが最も効率的で安全だ。
本線を走っているクルマの中には自分の前には入れないぞ、とばかりに前車
との距離を詰める運転手がいるが、あれも無意味だ。渋滞を解消するにはひと
つの方法しかない。それはその場にいる全てのクルマが最も速度が落ちた時の
速度を少しでも上げることだ。つまり本線側のクルマも合流側のクルマもブレ
ーキを使わないで合流することができれば合流による渋滞は避けられる。合流
するクルマも本線を走っているクルマもブレーキを踏めば後続のクルマにブレ
ーキを踏ませることになる。ブレーキを踏めば踏んだらで前に進むためには加
速しなければならない。その繰り返しこそが渋滞の原因だ。
その場に居合わせた全ての運転手が効率というものを意識するならば渋滞が
ひどくなる可能性は少なくなる。クルマの運転に感情は必要ない。目的があっ
てクルマを動かしているのだから目的を達成するためにはどうするべきか考え
なければならない。合流する側も本線を走っているクルマも先を読んで合流地
点でブレーキを極力使わずに走り続けることができれば、それが最も効率の良
い安全な合流の方法だ。
13、減速が必要になった場合でも車線を変更しない。
しばらく前の話。直前になってウィンカーを出してファミリーレストランに
入ろうとしたワンボックスカーを避けるために車線を変更したクルマに後続の
クルマが追突した、というニュースを読んだ。事故に至らないまでも、街中を
走っているとよく見かける光景だ。件の事故にしても本当に車線を変更しなけ
れば追突するのを避けられなかったのかどうか。危険を回避するというよりも、
ブレーキを踏むことは損だとばかりに安易に車線変更する人が多い。とんでも
ない話だ。
本来、車線を変更するには然るべき目的があるはずだ。次の交差点で右折を
するために前もって中央寄りの車線に移るとか、右折した後にキープレフトを
守るために左の車線に移るとか。それらの車線変更にしろ十分な注意を払って
行われているはずなのに、前を走るクルマが減速したからといって、さも自分
の進路を妨害されたかのように後先のことを考えずに隣の車線、ひどい場合に
は対抗斜線にまではみ出す。そんな輩が多いから日本での運転は疲れる。
前を走るクルマはもちろんのこと、周囲のクルマや交通の流れに気を配って
運転していれば、突発的な事態にも十分対応できるはずなのに、何も考えずに
ただクルマを走らせているから前のクルマが急減速をすれば車線を変更して避
けなければならなくなるし、そんな行き当たりばったりの運転を続けているか
ら前のクルマが減速すると躊躇することなく車線を変更する悪い癖がついてし
まう。
減速が必要になった場合でも車線を変更しない、ということは、要するにそ
ういう状況に陥らないように流れを読みながら運転するということだ。もし、
どうしても減速が必要になったら減速すればいい。それは前のクルマの動向を
読みきれなかったのが原因なのだから、いさぎよく減速すべきなのだ。
運転にはその人の人間性が表れる。運転を見ていればその人に社会性がある
かどうか、他人に対する配慮ができるかどうかがわかる。たまに、ごくごくた
まにこの人の運転はうまいなと思えるクルマに出会うことはあるけれども、総
じて日本には自分本位に運転する人と運転に無頓着な人の2種類の人が多いよ
うに感じる。
安全に効率よく、そして粋に運転するためには誰もが自分の中にぶれない軸
を作るべきではないだろうか。自分自身でルールを作りそれに反することはし
ない潔さが人の運転をうまくする。
あなたはどんなルールに基づいて運転していますか?
・ユイレーシングスクールポリシー
http://www.avoc.com/9misc/info/yrspolicy.shtml
・ユイレーシングスクール教科書
http://www.avoc.com/5media/textbook/textbook.php?page=0
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□有限会社ユイレーシングスクール発行
□編集/文責:トム ヨシダ
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されたい方は、事前に発行人までご連絡ください。
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