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         Go−CircuitNo.273(06/27/09発行)

---------------------------------------------------- Taste of USA ----
●クルマを走らせるのは楽しい。思い通りに走らせるのはもっと楽しい●しか
しクルマがなかなか思うように動かない時がある●クルマの運転は簡単そうで
難しい●が、難しいことに感謝しなければならいない●難しいからこそうまく
できた時の喜びは大きい●うまくなろうとする過程がまた楽しい●うまくなろ
うとするから工夫する●今の時代、クルマを使い倒さなければもったいない。
||    Proud of Our Tenth Anniversary     ||
》》》Be Smarter, Drive Sater, and Drive Faster! You can do it!!《《《
         【  Yui Racing School Offers Serious Entertainment  】
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|1) YRSウエブサイトアップデート
|2) YRSフォトギャラリーについて
|3) YRSオーバルレース入門クラス新設
|4) タイヤの回る音を聞きながら  その4
|5) 参加申し込み受付中
|6) コーナーの向こうに ‐ 今は昔 1960(4)           トム ヨシダ

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|1) YRSウエブサイトアップデート
・YRSオーバルFSWベストラップランキング 550名の記録
http://www.avoc.com/3result/pt09/yof_best.shtml
・YRSオーバルの走り方
http://www.avoc.com/3result/pt09/page.php?p=howto_yof
※40mx140m(幅員16m)のYRSオーバルFSWロングを実際に走
行した時のデータを掲載。ラインはインベタとアウトインアウトの両方を検証。
使用した車両は改造度7のNB8ロードスター。

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|2) YRSフォトギャラリーについて
  ユイレーシングスクールではYRSスクールレース参加者を対象に、画像の
掲載、閲覧ができるフォトギャラリーを開設し既に多くの方に登録していただ
いています。
  しかしながらスクールレースに参加されたことのない方の登録申請があるの
も事実です。せっかくのフォトギャラリーなので一般に公開したいのですが、
現時点では諸般の事情からYRSスクールレースに参加した経験のある方に限
り登録を受け付けています。ご了承下さい。

・YRSフォトギャラリー
http://www.avoc.com/5media/photo/main.php

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|3) YRSオーバルレース入門クラス新設

  ユイレーシングスクールではYRSオーバルレースのクラス区分をこれまで
のオープンクラス、ロードスタークラスに入門クラスを加え3クラスとしまし
た。
  YRSオーバルレースはYRSオーバルスクールを受講した方が参加できま
すが、常に接近戦の続くオーバルレースに参加するのを躊躇しているというご
意見にお応えしたものです。入門クラスではYRSオーバルのアウトインアウ
トの走り方の説明とリードフォロー、ローリングスタートの練習を行い周回数
の少ないヒートレースを3回行います。参加費も安く設定してあります。YR
Sオーバルスクールに参加したことのある方は、この機会にクルマを使った最
も単純で最も奥が深いリアルスポーツに挑戦してみて下さい。

・YRSオーバルレース第3戦規則書&申し込みフォーム
http://www.avoc.com/2race/guide.php?c=sr&p=yor

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|4) タイヤの回る音を聞きながら  その4 
   オーバルコースを走ってもらうとその人の癖はもちろん、速さに対する意
識や安全に対する考え方がものの見事に現れるから、受講した方に適切なアド
バイスをすることができる。その意味でユイレーシングスクールとオーバルコ
ースは切っても切れない関係にある。
 オーバルコースを走行する時のテーマはいたって単純。パイロンに沿って、
つまり常にパイロンと同じ距離を置きながらできるだけ速いペースで周回する。
それだけだ。
 一般にはオーバルコースを走る機会など少ないから、受講者は探りながら、
アドバイスに耳を傾けながらペースを上げていく。初めてYRSオーバルを走
る人の仲には、「こんなとこ走って練習になるの」という顔をしている人もい
る。走ったことのある人は、前回うまくいかなかったところをなんとかしよう
とあれこれ考えているようだ。

 速度を上げていくうちにそれまでインベタで回れていたのにラインがはらむ
ようになる。速度を上げているのだから慣性力も増えている。コーナーに入っ
た時の慣性力、つまり遠心力がタイヤのグリップより大きくなったとき、クル
マはパイロンに沿って走ることをやめてアウト側にふくらむ。
 当然のことなのだが実際に運転していると、得体の知れないその慣性力とい
うものを把握することが難しい。理屈はともかく、とにかくインベタで回れる
ように受講者は持てる知識と経験を総動員して走る。インベタで。なおかつで
きるだけ速く。
 速度を上げないで走っているうちは思い通りのラインにクルマを乗せること
ができるのに、速度を上げるとパイロンから遠ざかってしまう。なんとも悩ま
しい話だ。
 そうではあるが、この悩みこそクルマのバランスを崩さない操作を練習する
のに不可欠なのだ。ユイレーシングスクールがオーバルコースを走ってもらう
目的もここにある。
 最初のうちはアンダーステアを出してフロントがドバーッと流れてもかまわ
ない。コーナーの中でスピードが落ちすぎてしまうほど強いトレイルブレーキ
ングになってもかまわない。インベタと速さという二つの矛盾するテーマを追
いかけているうちに、運転している本人は『気持ちのいいコーナリング』と
『気持ちの悪いコーナリング』の両方を味わい、そのうちに『気持ちの悪いコ
ーナリング』を嫌うようになる。自分で操作していて心地よくないと感じれば、
同じことがクルマにも起きている。クルマ側から見れば、それは荷重が4輪に
分散されないでどこかの1輪に集中しているような場合だ。

 『気持ちの悪いコーナリング』とは、強いブレーキングで前過重になってい
るのにステアリングを切ってしまうとか、ターンインの時に急激に大きな舵角
を与えてしまった結果だ。
 むろん、クルマはアウトにふくらむか速度を落としてしまう。自分が意図し
ていない走りをクルマがする。そのとき、どうすれば目的を達成することがで
きるかを考え工夫する。そのとき、よりどころになるのが退屈な座学で聞いた
運転理論だ。
 かくして実際の操作と理論の融合が始まる。クルマを思い通りに動かすため
の一歩が始まる。
 『気持ちの悪いコーナリング』を嫌う人は、その後、アンダーステアを出し
たとしてもド・アンダーになることは少ない。少なくともクルマを危険な状態
にするような操作は決してしない。
 『気持ちのいいコーナリング』ができたときの快感を知ってしまった人は、
もっと気持ちのいいコーナリングをしたいと工夫をする。そして、いつの間に
かリアタイヤでクルマを曲げることを覚えていく。
  アンダーステアが発生するメカニズムを『コーナリング中に後輪よりも前輪
のほうが働いていて、その上でクルマにかかる遠心力が増えたとき、既に負担
の大きかった前輪が先に負けて流れてしまう』と言うこともできる。つまり、
アンダーステアにおちいった時、後輪は元々『仕事をしていなかった』のだ。

 ユイレーシングスクールが一番最初にYRSオーバルを設けたのは筑波サー
キットのジムカーナ場。30x60mの小さなものだった。
 その後、浅間台スポーツランド、富士山yeti、もてぎ、富士スピードウ
エイと舞台を移してきたが、YRSオーバルで走って一番収穫の多かったのは
浅間台スポーツランドに作った32x100mのオーバルだった。
 コーナーの大きさの割に直線が長いというコース設定もさることながら、路
面がスムースでなかったことが良かった。もちろん、これは浅間台スポーツラ
ンドに対する悪口ではないことを断っておく。
 実際、浅間台スポーツランドは周囲の土地よりも低いところにあった。その
ため雨が降ると路面の下の水分が増えるのだろう。路面が乾いていても舗装の
割れ目から水が滲みだしていたこともあった。冬になれば凍結した水が路面を
押し上げていたことは容易に想像がついた。
 路面のひび割れもそれが原因なのだろう。路面はうねっていたし路面は荒れ
ていた。特に左回りだと北西のコーナーの立ち上がりと南東のコーナーの進入
の部分が荒れていた。と言っても、荒れていたからだめだと言っているのでは
なく、荒れていたからこそ簡単にタイヤのグリップが失われることがあるから、
実際には逆で、ホントは走りやすいコースだった。
 特にハイグリップタイヤを履いているクルマにはおあつらえのコースだった。
やもすると前輪のグリップに頼ってコーナリングしなければならないことの多
いハイグリップタイヤだが、ここではフロントさえ逃がさなければ、そして進
入速度が十分に速ければ、ターンイン直後に荒れた路面がリアのグリップを低
下させてくれるから比較的簡単に後輪にスリップアングルをつけることができ
た。リアタイヤを使ったコーナリングをすることが容易だった。

 言うまでもなくクルマは4輪でその性能を発揮するように作られている。コ
ーナリングを始めれば4輪がほぼ等しく円心力を受けることになる。だから。
コーナリング中は4輪のスリップアングルがおしなべて等しいのが「クルマの
作られ方に見合った走り方」であるはずだ。
  しかしタイヤのグリップが良すぎるとどうしてもステアリング装置のつい
ている前輪でクルマを曲げようとしてしまう。後輪の動きを無視してステアリ
ング操作だけでクルマを曲げようとしてしまう。
  オーバースピードでコーナーに入ってもタイヤがなんとかしてくれるから、
だから手っ取り早く前輪のグリップに甘えたターンインをしてしまう。ステア
リングを切り込んでいる最中に舵角が大きくなりすぎてアンダーステアが発生
していても、なおステアリングを切り込んでクルマを曲げようとしてしまう。
 おそらく、荒れた路面で前輪が暴れるのを見越して無意識に丁寧なステアリ
ング操作をしたのも理由にあげておいたほうがいいのかも知れないが、他のど
のYRSオーバルよりもYRSオーバル浅間台ではコーナリングの初期からス
キール音が鳴りだしていたのが印象に残っている。

 とは言うものの、他のYRSオーバルでは教えがいがなかったわけではむろ
んない。それぞれに特徴のあるコースだからそれなりに速く走るコツがあり、
どれも走っていておもしろいコースではある。
 yetiの駐車場は傾斜地にあったから、片側の直線が上りでもう片方の直
線が下りだった。と言うよりも、そのようにコースを設定した。
 だから上のコーナーと下のコーナーでは同じ半径なのに走り方を変えなけれ
ばならなかった。視覚的に同じ大きさだからと思って走ると、片方のコーナー
ではオーバースピードになり反対側では失速する。そんなコースだった。浅間
台で速い人がyetiでは遅かったのもおもしろかった。
 富士スピードウエイのジムカーナ場にあつらえたYRSオーバルFSWは路
面がきれいすぎておもしろかった。タイヤのグリップを維持できることが災い
して、少しでもアンダーステアを出すような操作をすれば間違いなくアンダー
ステアに見舞われた。操作の粗が増幅されて現れた。
 YRSオーバルFSWで「今日はみんないい走りだね」と言った時は、滑り
やすい雨の日ばかりだった。ドライのときよりも遅かったかも知れないが、ど
のクルマもいつもより後輪をキチンと使って走っていた。
 さらに進んだ姿勢制御を体験してもらおうと思って始めた40x140mの
YRSオーバルFSWロングもおもしろい。2本の直線の高さが異なるのだ。
つまり路面の傾斜線に直角にコースを設定した。ひとつのコーナーは入り口か
ら出口まで下り、もう一つは入り口から出口まで上りだ。
 YRSオーバルFSWロングを走った人の数はまだ少ないが、ほぼ全員がど
ちらのコーナーも立ち上がりだけスクールキール音をたてて走っていた。しか
もその音色は明らかに前輪から聞こえてくるものだった。入り口から出口まで
同じ曲率なのだから進入からスキール音が聞こえてきても良さそうなものなの
だが、頂点から先でアンダーステアになっているから後半しか聞こえない。し
かも前輪の悲鳴。ほとんどの人が立ち上がりで失速していたことになる。

  と、これを聞いた人が次回に走り方を工夫する。うまくいくかどうかは別と
して、立ち上がりでアンダーステアを出さないように意識すれば、それだけで
操作の引き出しは増えるし『気持ちのいいコーナリング』に近づくことができ
る。YRSオーバルFSWロングのラップタイムが短縮される。
  だから、テーマがあればオーバルコースは何度走っても面白い。楽しいし、
それでいて自然にクルマと仲良くなれるという寸法だ。
  YRSオーバルでアンダーステアを出している人も決定的なミスを犯してい
るわけではない。クルマは前へ前へと進んでいる。オーバルスクールを受講す
る人にとって、次の課題はいかにリアタイヤに意識を持っていけるかだ。

・YRSオーバル浅間台オンボードビデオ
http://www.avoc.com/5media/video/movie.shtml
| ビデオリストから[Drive on the line]を選択して下さい。
・YRSオーバル浅間台歴代ベストラップ
http://www.avoc.com/cgi/laptime.cgi?yoa,s,b1
・YRSオーバルFSWロングの走り方を検証する
http://www.avoc.com/3result/pt09/page.php?p=howto_yof

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|5)  参加申し込み受付中
  現在、以下のカリキュラムの参加申し込みを受け付けています。
|   ◆ ◇ ◆  クルマの運転の楽しさを味わってみませんか?  ◆ ◇ ◆
| ※申し込み期日を過ぎても定員に達しない場合は引き続き受け付けを行いま
| す。枠がある場合は当日受け付けも行いますが電話でご連絡下さい。開催日
| 前3日を過ぎてからの申し込みは受講料を当日の受け付けでお支払い下さい。
| 振り込まれた方は振り込んだことを証明するものを受付で提示して下さい。
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|■ 7月3日(金) YRS筑波サーキットドライビングスクール
| サーキットを安全に速く走ってみませんか?
| コース1000のラップタイムは安定していますか?
| クルマの性能を100%引き出してみませんか?

  ユイレーシングスクールでは、筑波サーキットコース1000を走るための
『あんちょこ」を用意しました。受講される方に受付けでお渡しします。座学
では『あんちょこ」を元に車を動かす原理とコース1000の走り方を説明し
ます。座学終了後は走行時間までドライビングポジションの確認、質疑応答の
時間とします。

・YRS筑波サーキットドライビングスクール開催案内&申込みフォーム
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=ds&p=tds

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|■ 7月5日(日) YRSオーバルレース第3戦 FSWロング
| 今回から入門クラスを追加しました。
  オーバルスクールを経験した方に自然な流れでオーバルレースを体験しても
らおうという試みです。YRSオーバルスクールに参加したことのある方はぜ
ひヨーイドンをも体験してみて下さい。充実感いっぱいになること請け合いで
す。

・YRSオーバルレースFSWロング規則書&申し込みフォーム
http://www.avoc.com/2race/guide.php?c=sr&p=yor

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|■ 7月10日(金) YRSドライビングスクールFSW
| サーキットを安全に速く走ってみませんか?
| コース1000のラップタイムは安定していますか?
| クルマの性能を100%引き出してみませんか?

  ユイレーシングスクールでは、富士スピードウエイショートコースを走るた
めの『あんちょこ』を用意しました。受講される方に受付けでお渡しします。
座学では『あんちょこ』を元に車を動かす原理とショートコースの走り方を説
明します。座学終了後は走行時間までドライビングポジションの確認、質疑応
答の時間とします。
  サーキットを走る時、速く走ることが目的でも楽しみに走ることが目的でも、
やっていいこととやってはいけないことがあります。ユイレーシングスクール
ではクルマを走らせる時に必要な考え方を富士スピードウエイショートコース
をテーマにお教えします。

・YRSドライビングスクールFSW開催案内
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=ds&p=fds

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|■ 7月11日(土) YRSドライビングワークショップFSW
  今回のYRSドライビングワークショップFSWは週末の富士スピードウエ
イの駐車場で開催します。同時に受講者の運転を丸裸にするYRSドライビン
グアナリシスFSWを併催します。
  クルマを動かすのには一定のルールが必要です。それはクルマの性能を最大
限に発揮させるドライビングテクニックが、速さの、安全の、楽しさの、快適
さの源になるからです。YRSドライビングワークショップはクルマから見て
運転手に求められることを具体的かつ合理的にアドバイスします。
  お持ちのクルマを存分に走らせながら運転の基本を学べるYRSドライビン
グワークショップにぜひ参加してみて下さい。

・YRSドライビングワークショップFSW開催案内
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=ds&p=dwf#0

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|■ 7月12日(日) YRSエンジョイドライビングFSW
  前回、YRS史上初めて座学のないドライビングスクールを開催しました。
ドライビングスクールというよりもクルマを思う存分に振り回しながらクルマ
とご自身の限界を探っていただこうと始めたプログラムです。
  1回目の終了後のアンケートでアドバイスが少ないとの指摘もありましたが、
数の上ではアドバイスはなかったけどそれなりに自分で発見したことがあった
との声のほうが多かったのが実情です。
  アドバイスを惜しんでいるわけではなく、1回目の時も自分の走行時間を少
なくして質問に来られた方には適切なアドバイスをしました。
  まずクルマを思いっきり走らせて、思うようにならないところを探して質問
し、アドバイスを元に再度チャレンジする。そんなスタイルが定着すればYR
Sエンジョイドライビングを始めた意味があるというものです。
  ご夫婦で参加され希望される場合は同乗しながら走行することができます。
免許をお持ちでない方も親権者に同伴していただくことを前提に参加できます。
  とにかく一日中走りづめのYRSエンジョイドライビングです。運転の好き
な方の参加をお待ちしています。

・YRSエンジョイドライビング開催案内
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=ds&p=yed#0

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|6)  コーナーの向こうに ‐ 今は昔 1960(4)           トム ヨシダ
   少年は心に決めていた。「ボクもライトプレーンを作ろう」。
 あの日。圭ちゃんの手を放れた飛行機が、まるで圭ちゃんの意志を載せてい
るかのように、それほど大きくない運動場を見下ろすかのように大空に浮かん
でいた時、少年は生まれて初めて物を動かすことに現実を感じた。圭ちゃんの
指先ひとつでそれまでよりおおらかに優雅に飛ぶ飛行機を見ながら、少年は言
うに言われない感動を覚えていた。
 「これならボクにでもできそうだ」。クラスのみんなができる逆上がりがで
きなくて、外野に飛んでくるボールを受け取ることができなくて、いくどとな
くみんなと同じことができない自分をうらめしく思った。しかし今、少年はす
がすがしい気持ちでいっぱいだった。
 どうやればいいのか知っていれば飛行機を思い通りに飛ばすことができる。
どうすればいいのかわからなかったら、圭ちゃんに聞けばいい。とにかくやっ
てみよう。
 「思い通りに飛ばせたらすごいだろうな」。

 少年は小遣いをねだりA級のライトプレーンのキットを三澤模型で買った。
誰かが何かを買ったとき笑いもしないで「ありがとう」と言うだけだった圭ち
ゃんが、この時はニコリとしたような気がした。
 家に戻った少年は早速袋を開いた。出てくる出てくる。まだ形にはなってい
ないが、やがて少年の気持ちを載せて飛ぶであろう飛行機の部品が出てきた。
これから初めてのライトプレーンを作ろうというのに少年に不安はなかった。
ずっと圭ちゃんが組み立てるところを見てきたこともあって、根拠はないがう
まくできそうな感じがしていた。
 「飛行機を作るんだよ」。そういって少年は母親に日本手ぬぐいを出しても
らった。「あとは・・」。竹ひごを曲げるために必要なろうそくは仏壇から失
敬した。設計図を広げはさみと小刀を用意した少年は、まず左右対称に機械で
曲げられた竹ひごを設計図通りの形に曲げ直すことから始めた。
 圭ちゃんに作った飛行機を見せにきた人のことを思い出していた。それは既
に曲がられていた竹ひごをニューム管でつないだだけのものだった。主翼も尾
翼も先へいくほど対照的につぼまっていた。圭ちゃんが作るそれとは大違いだ
った。
 圭ちゃんの作る翼は設計図どおりの優雅な形をしていた。前縁は直線的なが
ら微妙な曲線を描いて翼端に続き、なだらかな曲線で後縁につながっていた。
それは鳥の羽のようなきれいな形をしていた。
 少年は曲げられた竹ひごを設計図の上にのせてみた。翼端のカーブだけは設
計図どおりだったが、それ以外はまるで違っていた。だいいち長さが設計図よ
りも長かった。
 少年はろうそくに火をつけ圭ちゃんがやっていたように竹ひごをあぶり始め
た。曲がった部分を炎の向こう側にして竹ひごの内側をあぶった。竹ひごに黒
いすすがついた。少年は頭に入れた設計図の曲線になるように暖めた竹ひごを
やさしく延ばし、そして慎重に少しずつ曲げ直した。設計図の上に置いてみる。
翼端の部分の形が図面の形に近づいていた。
 それは根気のいる作業だった。暖めていると煙が立ち上ることもあった。少
年は慌てて、圭ちゃんがやっていたように親指と人差し指を舐めてから竹ひご
をはさんだ。熱かった。しかし少年は、自分のしていることが楽しく、そして
嬉しかった。少年は体の中が熱くなるのを感じていた。

 A級ライトプレーンでも入門用のそれは、翼端と翼端を二本の竹ひごでつな
いでいた。が、設計図を見ると翼台から先の翼に上反角がついている。少年は
設計図の上にまっすぐな竹ひごを置いて曲げる部分に鉛筆で印を付けた。
 竹ひごの光っていない方をろうそくの炎に近づけて暖めた。少しずつ慎重に
曲げた。なんとか設計図と同じ角度にすることができた。
 キットに入っていた長いニューム管に四等分するための印をつけた。ニュー
ム管を机の上に置いて圭ちゃんがやっていたように小刀の歯で転がした。押さ
えつけてはいけないが、力を入れないとニューム管には傷すらつかなかった。
少年は息を止めて何度も小刀を往復させた。傷が一周したのを確認した少年は
ニューム管を手に持ち折り曲げるような力を入れてみた。『ポッ』あっけない
ほど簡単にニューム管はふたつに分かれた。
 どのくらいの力を入れたらいいのか圭ちゃんが教えてくれた訳ではなかった。
見よう見まねでやっていた。それでも、圭ちゃんよりはずっと時間はかかるけ
ど、同じようにできる。少年にとってライトプレーン作りは学校の授業の数十
倍もおもしろかった。
 4本に切り分けたニューム管で竹ひごをつなぐ。ニューム管は筒ではなく平
板を丸めただけのものだった。竹ひごを差し込むときに押し広げてしまうと、
ニューム管は竹ひごを支えることができなくなった。少年は何度も何度も竹ひ
ごをニューム管にあてがい、時間をかけて竹ひごの太さを減らしていった。
 4本のニューム管でつながれた主翼が形を現した。しかし机の上のそれは微
妙によじれたかっこうだった。少年は圭ちゃんがやっていたように両方の翼端
を親指と中指ではさみ、そっとひねった。机の上においてみると、2本の竹ひ
ごの端から端までが机についていた。
 ここまでくるのにかなりの時間がすぎていたが、少年はやめようとは思わな
かった。とにかく、初めて自分の力でやっていることに満足していた。
 形ができた主翼をブリッヂにのせて糸で固定した。バッテンではなく、圭ち
ゃんがやっていたようにUの字を重ねるように糸を巻いていった。翼台を胴体
に固定するための輪ゴムがかけられるように、翼台に錐で穴をあけ竹ひごを短
く切ったペグをさしこんだ。主翼にたった4つのリブをセメダインで取り付け
た。母親にもらった爪楊枝の先にわずかな接着剤をとり、リブのくぼみに塗っ
た。

 尾翼の竹ひごの形を整えニューム管でつないぐ。胴体に垂直尾翼を立てるた
めに錐で穴をあける。垂直尾翼の竹ひごの先を細く削る。胴体の下にゴムをか
けるためのヒートンをねじ込む小さな下穴をあける。ピアノ線でできた主脚に
車輪をはめ込み端をペンチで曲げる。同じくピアノ線でできたシャフトにハン
ガー、ビーズ、プロペラを通す。設計図に従いシャフトの先端をコの字型に曲
げてプロペラにあけた小さな穴に差し込みセメダインで固定する。
 全てのパーツがそろった。あとは組み立てて主翼と水平尾翼、垂直尾翼に紙
を貼るだけだ。

 実際の作業が一日でできたわけではなかった。初めてのことばかりなので、
失敗しないように丁寧にやっていると時間がいくらあっても足りなかった。し
かしその間、少年は元のひ弱な少年ではなかった。少なくとも、自分で決めた
ことを自分ひとりで進める、少し積極的になった少年がそこにいた。
 全ての部品を一つずつ胴体に固定していく。セメダインを薄く塗って張り合
わせ、50番の白い糸を巻いて固定する。糸が重ならないように、糸と糸の間
隔があかないようにゆっくり慌てずに巻いた。結び目で余った糸を切る前に巻
いた糸全体に薄くセメダインを塗った。接着剤が乾いてから余分な糸を切った。
全て圭ちゃんがやっていたことだ。ブリッジを輪ゴムで胴体に取り付けると飛
行機の骨格が姿を現した。
 少年はキットに入っていた薄い紙を設計図の上におき、3つの翼の絵よりも
少し大きめに鉛筆で印をつけていった。「ボクは竹ひごを包んで紙と紙を貼り
あわせることはしない。圭ちゃんがやっていたように竹ひごとくっつけたい」。
少年はそれができるかどうか、それが難しいのかどうかも考えずに心に決めて
いた。印にそって切り出した紙を、母親に言って一度濡らしてからかたく絞っ
てもらった日本手ぬぐいの間にはさんだ。
 主翼は4枚の紙を貼ることになっていた。水で少しだけ薄めた糊を親指と人
差し指につけ、竹ひごをはさみながら竹ひごになじませた。竹ひごが湿ったと
ころでそっと紙をのせた。指についた糊を別の手ぬぐいで拭い、親指と中指で
紙を少しずつ引っ張った。圭ちゃんのやり方だった。紙がピンと張ると中指の
腹を使って竹ひごに巻き付けていった。ぐるっと巻いたわけではなかった。半
分ぐらいでやめておいた。糊が乾いたあとで余分な紙をはさみで切り取り、も
う一度糊をつけて竹ひごにまとわりつかせるためだった。

 飛行機が完成した。ゴムを取り付けて巻きさえすれば、空を飛ぶはずの飛行
機が完成した。少年は、少しばかり誇らしかった。
 初めて作ったライトプレーンのできが圭ちゃんのそれと同程度かどうかはど
うでもよかった。実際、客観的に見れば少年の作品は粗さが目立った。それで
も少年にとっては、学校から出される宿題の1年分を片づけたぐらいの達成感
があった。

                               <続く>

・クォーターミヂェット 今は昔
http://content.cdlib.org/ark:/13030/kt8g5023qs/

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