≡≡YuiRacingSchoolpresents≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
Go−Circuit No.278(08/19/09発行)
---------------------------------------------------- Taste of USA ----
●クルマを走らせるのは楽しい。思い通りに走らせるのはもっと楽しい●しか
しクルマがなかなか思うように動かない時がある●クルマの運転は簡単そうで
難しい●が、難しいことに感謝しなければならいない●難しいからこそうまく
できた時の喜びは大きい●うまくなろうとする過程がまた楽しい●うまくなろ
うとするから工夫する●今の時代、クルマを使い倒さなければもったいない。
|| Proud of Our Tenth Anniversary ||
》》》Be Smarter, Drive Sater, and Drive Faster! You can do it!!《《《
【 Yui Racing School Offers Serious Entertainment 】
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|1) YRSメールマガジンバックナンバーの扱いについて
|2) タイヤの回る音を聞きながら その8
|3) 参加申し込み受付中 & YRSスケジュール
|4) コーナーの向こうに ‐ 今は昔 1973(1) トム ヨシダ
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|1) YRSメールマガジンバックナンバーの扱いについて
ユイレーシングスクールではメールマガジン発行10周年を迎え、バックナ
ンバーの掲載をいかのように改めます。
> ・メールマガジン配信サービスのまぐまぐを利用しています。今まで創
> 刊号から全てのバックナンバーをまぐまぐ上で公開してきましたが、
> 9月1日以降は創刊号のみの掲載となります。
> ・バックナンバーはYRSサイトのメールマガジンの頁に発行年の終わ
> りにまとめて掲載します。
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|2) タイヤの回る音を聞きながら その8
というわけで、YRSオーバルレースはフラットな路面で行っている。
バンクつきのコースのほうが平均速度は高いが、現在ほとんどのショートオ
ーバルに見られる傾斜角が一定のスラブバンクだと最近のタイヤの性能が上が
ったことと相まって最も速いラインが1本に限定される。それはコースレイア
ウトに関わらず、最適のラインが1本しかないということだ。
スラブバンクでも傾斜が急になるとターンインでアンダーステアを出してし
まうと、バンクを登ることになりアンダーステアが強まる。結果として回復が
難しくなるという欠点もある。
大昔に主流だった内側から外側に向かって傾斜がきつくなるディッシュバン
クはアウト側に行くほど圧倒的に有利なため、レースの駆け引きという視点で
見るとおもしろみに欠ける。バンクの中でのレーンチェンジも自由度が高く、
走行ラインが定まらない欠点もある。ラインが交錯する率が高くなりオーバル
コースを走っていてもエネルギーの方向が一定ではなくなる。
どちらのバンクも一長一短で、どちらがいいかという問題でもなく、逆にバ
ンクトオーバルでなければオーバルレースが開催できないという訳でもない。
フラットなコースではオーバルレースが成り立たないいう訳でもない。要は、
オーバルコースでオーバルレースを演じる主役たちの腕次第というわけだ。
余談になるが、ショートオーバルでは2列縦隊でレースが展開することが多
い。一方、最高速度が鍵になるスーパースピードウエイでのレースでは、スリ
ップストリームに入ることができなければ勝算がないのでシングルファイルが
一般的だ。
2列縦隊で接戦が続いている場合、バンクの角度に関係なくイン側のクルマ
が有利だ。アウト側のクルマはインにつくことができないから、その分だけ長
い距離を走らせられることになる。コーナーの曲率が大きくなるではないかと
思われるかも知れないが、それはアウトインアウトのライン取りができる場合
に限る。イン側のクルマのラインと相似形のラインでは減速と加速を同じよう
な位置で行うことになるから、どうしてもインをキープできるイン側が有利に
なる。
しかしだからと言ってアウト側のクルマが不利になるかというと、これも違
う。アウト側のクルマはイン側のクルマのスペースさえ残しておけば自由なラ
インを通ることができる。ということは、自分の意思で減速と加速のポイント
をイン側のクルマとずらすことによって、場面場面で相手と異なる速さで周回
することができる。つまり、ショートオーバルレースでは有利なイン側のクル
マとアドバンテージのあるアウト側のクルマの、精神的な駆け引きが重要にな
る。
フラットなオーバルコースで船出したYRSオーバルレース。しかし、フラ
ットな路面のレースだからこその問題点もある。アウト側タイヤへの負担が大
きいことだ。
バンクがついていればクルマが受ける遠心力が多少なりとも垂直方向に分散
され、それがイン側のタイヤの働きを助ける役目をするのだが、フラットな路
面では遠心力にあらがうために必要なコーナリングフォースのほとんどをアウ
ト側のタイヤが受け止めなければならない。
いきおい、アウト側タイヤの磨耗が激しくなる。特にターンインにしても加
速にしてもアンダーステアを出す傾向のあるドライバーのクルマの右前輪は悲
惨なことになる可能性が高い。
それでもここ2年ほどはアンダーステアが出っぱなしのクルマが少なくなり、
以前ほどアウト側のタイヤだけが磨耗するということは少なくなってきた。
数年前、アウト側のタイヤだけが磨耗するのを避けられないかという議論が
あった。オーバルレースに参加いているクルマは日常でも使われているので、
できれば4輪が同じように磨耗し交換する時に4本同時に交換する方法はない
かという至極当然の議論だった。
いろいろなアイディアが出た。車両性能が拮抗しているロードスターはアウ
ト側2本だけオーバルレース専用のタイヤを履いてレースをやったらどうかと
いう意見もあった。全員が同じタイヤをアウト側に履けば腕の差が歴然として
レース自体もおもしろくなるだろうし、ホイールにしても高価なものを使う必
要もない、というアイディアも出た。
しかし、タイヤとホイールを追加して買うことやレースごとに2本のタイヤ
を運ばなければならないこと、それにも増して左右に異なるタイヤを履くこと
への参加者の抵抗が大きく実現しなかった。
この時にクムホやハンコックといった廉価版のタイヤを調べたのだが、価格
面で国産のタイヤに比べて圧倒的な優位性を見いだすことができないでいた。
結局、それまで通り町乗りにも使っているタイヤでレースを行う方向に意見
がまとまりかけたころ、綾瀬市でタイヤショップを営むYRS卒業生が朗報を
もたらしてくれた。その卒業生は自らもオーバルレースはもちろん、スプリン
トにも参加している。
タイにあるブリヂストンの工場で作っていて、日本ではファイアストーンブ
ランドで売られているタイヤがあるという。ワイドオーバルという名前もどこ
か、オーバルレース向きだな、と冗談も出たが、この日本における対東南アジ
ア製タイヤ対策商品なら安価に提供できるというのだ。
見た目はハイパフォーマンスラジアルとかわらないのだが、いわゆる日本で
いうところのそれと比べると4分の1ほどの価格で売ることができると言う。
YRSオーバルレース参加者には特別に商売抜きにして売ってくれるというあ
りがたい提案だった。
供給されているサイズが限られていたのでロードスタークラスのドライバー
を主な対象として告知をしたのだが、ランニングコストが下げられることがわ
かっているのに、当初はワイドオーバルに飛びつくオーバルレース常連は多く
はなかった。
YRSエンデューロやスプリントを通じていわゆるSタイヤが絶対的に速い
という迷信を排除することには成功したが、いぜんとして国産ハイパフォーマ
ンスタイヤへの信仰心は強かったからだ。安いタイヤ=性能が悪いという呪縛
から逃れられないのか、試そうという常連組もなかなか現れなかった。
確かに値段も高い国産のハイパフォーマンスラジアルタイヤは『なんとかし
てくれるタイヤ』だから、信奉者だけを責めるわけにはいかなかった。
それで、ロードスタークラスの中でワイドオーバルを履くクルマとそれ以外
のハイパフォーマンスタイヤを履くクルマとを分けようということになった。
ワイドオーバルを履くクルマにはレース毎に獲得したポイントに一定の割合で
上乗せして、ハイパフォーマンスタイヤとのバランスをとろうというアイディ
アだった。
全てはワイドオーバルが国産ハイパフォーマンスタイヤよりも性能的に劣る
という前提で始まったことだった。
少しずつワイドオーバル組が増える中でYRSオーバルレースは続いた。
ワイドオーバルを履いたクルマが珍しかったうちこそ、タイヤの銘柄を調べ、
レース毎に獲得したポイントを操作する作業を行った。しかし、このワイドオ
ーバル救済策はごく自然に消滅した。当初の予想に反し、ワイドオーバルは国
産ハイパフォーマンスラジアルに対してそれほど性能が劣る訳ではないことが
理解され始めたからだ。
確かに、ワイドオーバルに変更したドライバーは主流であったブリヂストン
のRE01やヨコハマのネオバ比べると接地感が希薄だと言ってはいたが、そ
れはトレッドコンパウンドや構造の問題であり、速く走るための要素は持ち合
わせているとYRSは考えていた。
実際、ワイドオーバルはころがり抵抗の少ないタイヤで、その少なさが接地
感が乏しいと感じさせていた節があった。つまり転がり抵抗が少ないのがワイ
ドオーバルの性格であり、同時にそれが長所でもあり短所でもあった。
しかし、ワイドオーバルは横方向のグリップが足りないという発言もあり、
それではワイドオーバルを安価に提供してくれている卒業生に対して申し訳な
いのと、国産ハイパフォーマンスタイヤでなければオーバルレースを戦えない
という風評がたってはスクールレースとして開催している意味がないし、機会
があるたびにワイドオーバルの特性の検証を徹底した。
結論から言うと、ワイドオーバルは国産ハイパフォーマンスタイヤに較べて
横方向のグリップがだらしない、ということは全くないと判断した。もっとも、
これには「荷重を1輪だけに集中させない運転をすれば」という但し書きが必
要だったが。
つまり横方向のグリップが足りないと感じるのは、前輪あるいは後輪の1本
だけのグリップを損なうような操作をしたから起きた、という当然の結論に達
した。ワイドオーバル本来の性能を発揮させるためには、国産ハイパフォーマ
ンスタイヤと同じ特性を期待して同じように操作をしてはならないということ
になる。ワイドオーバルは国産ハイパフォーマンスタイヤと比較して、『4本
のタイヤが常にそろって働いて初めて性能を発揮するタイヤ』だ、と言ったら
わかってもらえるだろうか。
事実、現在ワイドオーバルで速く走っている人は転がり抵抗の少なさを利し
て、ベタつく国産ハイパフォーマンスタイヤよりも優位に加速していると思わ
れる。タイヤの性能というものは操作の仕方と密接に関係しているから、絶対
値としてタイヤの性格と性能を論じることは難しい。
かくしてワイドオーバル救済策として考えられたポイントの水増しの話は霧
散した。へたをするとワイドオーバル優遇策になりかねないからだった。
現在、ワイドオーバルは少数派ではあるが国産ハイパフォーマンスタイヤ勢
に混ざってレースをしている。そしてこの先延びしろが大きいのはワイドオー
バルだろう、というのがYRSの見解だ。ワイドオーバルで速く走るためには、
クルマ本来の動かし方をさらに煮詰める必要があるからだ。オーバルレースと
いってもドライビングスクールのプログラムと切り離すわけにはいかない。
もちろん価格の高い国産ハイパフォーマンスタイヤにはそれなりの性能があ
ることも否定しない。安心して走りたいからと、一度はワイドオーバルを履い
てみたが元に戻した人もいる。これは大事なことで、それはそれで正解だ。ワ
イドオーバルを使いこなすことに労力を割くよりもタイヤを痛めない走りがで
きればそれでかまわない。どちらかを選択する段になって、オーバルレースそ
のものを長く楽しむことを選んだということだ。
問題はタイヤの性格を見極めないうちにレッテルを貼ってしまうことだ。そ
れはドライビングパフォーマンスの向上をスクールレースの目標に掲げるYR
Sの趣旨に反する。
クルマを速く走らせるにはクルマに対する理解力がなければならない。理解
力があって初めてどういう操作をするべきなのかがわかる。しかし一方では、
タイヤの性能を断定するのは極めて難しい作業だ。
それはタイヤの性能が、操作の仕方と密接に関係しているからだ。ある人が
履いて速いタイヤを、ある人が履くと遅い場合がある。それは走り方が異なる
からだ。最終的にはタイヤの特性を生かす走り方ができればいいのだが、走り
方を修正することは簡単ではない。だからタイヤを相対的に評価してしまいが
ちになる。
一般論として、オーバルコースでは単に横方向のグリップが高いから速い、
という図式がなりたたない。モメンタムレースと言われるオーバルレースでは、
できるだけスピードを殺さないで走らなければならない。どんな場合でも減速
しすぎは速さに逆行する。テールスライドはそのうちの最たるものだが、テー
ルスライドが単にタイヤのグリップ不足で起きるわけでもない、というのも事
実も知っておく必要がある。
ひょっとすると、クルマのロードホールディングというものはみなさんが考
えているよりもずっと高いところにあるのではないだろうか?
路面をつかまえ力、すなわちロードホールディングはタイヤのグリップだけ
で決まるものではない。スプリング、ショック、ブッシュなどのサスペンショ
ン。ボディの剛性。様々な要素が絡み合ってクルマを路面に押しつけてくれる。
そこでは1本のタイヤのグリップのレベルはそれほど大きな問題ではないだろ
う。タイヤに関して言えば4本のタイヤのグリップの和の話になるだろうし、
グリップの和の話になれば操作の仕方が重要な要素になってくる。
ユイレーシングスクールは、クルマを安全に、そして速く。思い通りに走ら
せるために欠かせないロードホールディングを体験できる場所としてオーバル
スクールを開催している。
| オーバルスクールではイーブンスロットルコーナリングとトレイルブレー
キン
| グの両極端なコーナリングの練習をする。ロードホールディングを実現す
るた
| めに直接的に働くタイヤの限界が、この2種類の走り方の間のどこかにあ
ると
| 考えているからだ。
ロードホールディングとは、すなわち安定だ。イーブンスロットルにしてタ
イヤのグリップの全てをコーナリングに振り分ける用意ができていれば、クル
マは想像以上の速さでコーナリングすることが可能だ。トレイルブレーキング
を使って速く走るために意図的にクルマのバランスを崩す。積極的にクルマを
動かす。バランスを崩しすぎると遅くなり、うまく必要なだけバランスを崩せ
るとクルマは信じられないほどの速度でコーナリングを始める。
つまり、最終的に人間の操作に負うところの大きいロードホールディングの
限界は、イーブンスロットルとトレイルブレーキングの両方練習することで
『どこかにあるはずのロードホールディングの限界』を体感することができる、
と考えているのだ。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
まだ体験していない方はぜひYRSオーバルスクールを受けてみてほしい。
クルマが路面をつかまえることの何たるを間違いなく学ぶことができる。しか
も次回はYRSオーバルスクールロングだ。100キロ近い速度でクルマと対
話することができる。
・YRSオーバルスクールFSWロング開催案内&申込みフォーム
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=os&p=osf
YRSオーバルレースは、YRSオーバルスクールを卒業いた人ならば誰で
も参加できる。どんなクルマでもどんなタイヤでも参加できる。今回のテーマ
でもあるタイヤの使い方を試すために、あなたも一度YRSオーバルレースの
入門クラスにエントリしてはいかがだろう。入門クラスの参加費はたったの六
千円だ。
・YRSオーバルレース規則書&申込みフォーム
http://www.avoc.com/2race/guide.php?c=sr&p=yor
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|3) 参加申し込み受付中 & YRSスケジュール
現在、以下のカリキュラムの参加申し込みを受け付けています。
| ◆ ◇ ◆ クルマの運転の楽しさを味わってみませんか? ◆ ◇ ◆
| ※申し込み期日を過ぎても定員に達しない場合は引き続き受け付けを行いま
| す。枠がある場合は当日受け付けも行いますが電話でご連絡下さい。開催日
| 前3日を過ぎてからの申し込みは受講料を当日の受け付けでお支払い下さい。
| 振り込まれた方は振り込んだことを証明するものを受付で提示して下さい。
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|■ 8月29日(土) YRSエンジョイドライビング
10周年を記念して始めたYRSエンジョイドライビングも今回で3回目。
4つのコースを設定し1日で全てを体験しながらクルマの運転に慣れることが
できるプログラムです。過去2回、参加者が1日で走った距離は50キロ以上。
4種類のコースをかなりの距離テーマを持って走ることにより「自分がやりた
いこと」を実行する時に「クルマが求める操作」がどういうものであるか身体
で覚えることができます。
免許を取り立ての方からレースに参加しているベテランまでクルマの運転に
興味のある方はぜひ参加してみて下さい。16歳以上であれば運転免許がなく
ても保護者と同乗することを条件に参加を受け付けます。
YRSエンジョイドライビングで使用するコースは以下の通りです。
・半径22mの真円定常円コース
・時速100キロからの急制動が可能なブレーキングコース
・20m間隔6本のスラロームコース
・44x104mのオーバル定常円コース
YRSエンジョイドライビングへの参加を考えられている方は、真円コース、
ブレーキングの走行データを掲載した次の頁をごらん下さい。
・YRS真円コースを走る
http://www.avoc.com/3result/pt09/page.php?p=howto_circle
・YRS流ブレーキング
http://www.avoc.com/3result/pt09/page.php?p=howto_brake
ふだんお乗りのクルマなら、ワンボックスカーでも軽自動車でもSUVでも
参加することができます。ヘルメット、グローブの着用は必要ありませんが、
走行時には長袖長ズボンを着て下さい。
・YRSエンジョイドライビング開催案内&申込みフォーム
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=ds&p=yed#0
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|■ 9月5日(土) YRSオーバルスクールFSWロング
今回のYRSオーバルスクールFSWロングは、一部カリキュラムを変更し
て行います。詳しくは当日の座学で説明しますが、概要は以下の通りです。
(使うコースは全て40x140のYRSオーバルFSWです)。
1)イーブンスロットル練習 インベタ
2)トレイルブレーキング練習インベタ
3)ベンチマークセット
4)トレイルブレーキング計測 インベタ
5)イーブンスロットル練習 リードフォロー
6)イーブンスロットル計測
7)トレイルブレーキング リードフォロー
8)トレイルブレーキング計測
※路面の状況によってはカリキュラムを変更する場合があります。
3)のベンチマークセットは受講者のクルマをインストラクターが運転して
そのクルマの目標タイムを設定するものです。
5)〜8)はYRSオーバルFSWロングをアウトインアウトのラインで走
行します。
YRSオーバルスクールFSWロングへの参加を考えられている方は、参考
のために以下の頁をごらん下さい。
・YRSオーバルFSWロングを走る
http://www.avoc.com/3result/pt09/howto_yof.shtml
むずむずするようなコーナリングを味わってみたい方。本当に速いコーナリ
ングがどのようなものか体験してみたい方はぜひ参加してみて下さい。
・YRSオーバルスクールFSWロング開催案内&申込みフォーム
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=os&p=osf#0
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|■ 9月10日(木) YRSドライビングスクールFSW
| サーキットを安全に速く走ってみませんか?
| コース1000のラップタイムは安定していますか?
| クルマの性能を100%引き出してみませんか?
ユイレーシングスクールでは、富士スピードウエイショートコースを走るた
めの「あんちょこ」を用意しました。受講される方に受付けでお渡しします。
座学では「あんちょこ」を元に車を動かす原理とショートコースの走り方を説
明します。座学終了後は走行時間までドライビングポジションの確認、質疑応
答の時間とします。昼食が終わったらコースを歩き走行ラインとクルマの姿勢
の作り方を説明します。
午後からの走行ではリードフォロー、同情走行を行い、最後に単独で走りま
すから自然な流れでFSWショートコースの走り方を吸収することができます。
サーキットを走る時、速く走ることが目的でも楽しみに走ることが目的でも、
やっていいこととやってはいけないことがあります。ユイレーシングスクール
ではクルマを走らせる時に必要な考え方を富士スピードウエイショートコース
をテーマにお教えします。
・YRSドライビングスクールFSW開催案内&申込みフォーム
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=ds&p=fds
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|■ 9月19日(土) YRSオーバルレースFSW
・YRSオーバルレース第4戦
http://www.avoc.com/2race/guide.php?c=sr&p=yor
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|■ 9月20日(日) YRSエンジョイドライビング
・YRSエンジョイドライビング開催案内&申込みフォーム
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=ds&p=yed#0
----------------------------------------------------------------------
|■ 9月25日(金) エンジンドライビングレッスン
エンジンドライビングレッスンの運営はユイレーシングスクールが行ってい
ますが、参加申込みはエンジン編集部が担当しますのでそちらにお問い合わせ
下さい。
エンジン編集部:03−3267−9681
・エンジン 公式ホームページ
http://engine-online.jp/top.html
----------------------------------------------------------------------
|■ 9月30日(水) YRSドライビングワークショップ筑波
・YRSドライビングワークショップ筑波開催案内&申込みフォーム
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=ds&p=dwt
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|■ 10月3日(土) YRSエンデューロ ファイナル
----------------------------------------------------------------------
|■ 10月3日(土) YRSスプリント ファイナル
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|4) コーナーの向こうに ‐ 今は昔 1973(1) トム ヨシダ
「今日はなにも起きなければいいけどなぁ」
少年は歩きながら自分に語りかけた。
「晴れた日には遠くにはキラキラと輝く伊勢湾が見えるんだけどなぁ・・・」。
少年は何か落ちていないかとあたりを注意深く見回しながら、4番ポストに
向かって鈴鹿サーキットのストレートを下っていった。
レースが開催される週末はグランドレストランの2階にオフィシャル用の食
事が用意されることになっていた。土曜日と日曜日、朝食が終わるとオフィシ
ャルはサーキットの遊園地の中を歩いてレーシングコースに向う。グランドス
タンドから見下ろす位置にある階段を降り、コースの下を横断する細いトンネ
ルをくぐってパドックへ。計時はコントロールタワーに、技術は車検場へと向
かう。コースオフィシャルはコントロールタワー横からマイクロバスに乗って
コースポストまで移動した。
しかし、少年は4番ポストの担当になってからはマイクロバスに乗ることを
やめた。トンネルを出ると左折し、ピットで整備をしているレーシングカーを
ながめながらパドックを降りていった。歩いてもそれほど遠くなかったのと、
ピットロード出口にあるBピットと4番ポストの距離があるので、いったんポ
ストに入ってしまうとコース状況の確認に戻らなくてはならないからだ。
以前、コースを歩いていて落ちているボルトを見つけたことがあった。「こ
んなの踏んだら危ないものな」。少年にとってBピットからいつもレーシング
カーが通るラインをたどって歩くのは儀式のようなものだった。
少年は袋に入れた自前のフラッグ、と言っても黄旗2本とグリーン1本だけ
だったが、をかついで歩き続けた。ポストに用意されているフラッグは木の棒
に旗を縛りつけたものだった。振りやすいように自分で作った、ちょっと自慢
の代物だった。
旗は通い始めたRQCにあった在庫を安く譲ってもらった。シャフトはゴル
フショップへ行って、先が折れて使い物にならないシャフトを分けてもらった。
ちゃんとグリップがついているそれは、手元のほうが重く風の強い日でも振り
やすかった。
ストレートの終わり、1コーナーが始まるところに4番ポストはあった。ポ
ストといっても1m四方ほどの小屋で、立ったままでも大人3人入ると息苦し
い大きさだった。
少年はポストのドアを開け、いつものように置いてある備品を確認した。消
火器。おが屑。箒。ダイアルのない黒電話。みんなそろっている。少年は箒の
1本を手に取り再びコースに向かって歩き出した。ちょうどマイクロバスが着
いたところで4番ポストで役務する他の3人が降りてきた。
「コースを確認しようか?」少年はそう声をかけると2コーナーに向かって
歩いていった。コース上に何か落ちているものはないか確認し、土や葉っぱが
落ちていれば箒でコースの外に掃きだした。
1コーナーから3コーナーまでレーシングカーはあっという間に駆け抜けて
しまうけれども、実際に歩くとかなりの距離があった。3コーナーのアウト側
にある5番ポストのオフィシャルも箒を持ってコースを掃いていた。全員が顔
見知りだったが、お互いに口を開くこともなくもくもくと手を動かしていた。
コースは問題ない。後は予選の開始を待つだけだ。
いつのまにか3コーナー付近まで来ていた。S字の最初の左コーナーに続く
直線が目の前に伸びている。戻ろうとして4番ポストのほうに目をやった少年
は、4番ポストがはるかかなたにあることを改めて認識する。「遠いなぁ」。
この時、少年は漠然とだが考えた。「4番から消火器を持って走ってくる
のは疲れそうだな」。少年はポストにある5本の消火器のうちの1本を2コー
ナーの手前においておくことにした。「クラッシュするにしても1コーナーで
ガードレールに当たることはまずないから全部ポストにおいておく必要もない」。
「それより2コーナーで必要になった時に4番から持って走るのは時間がかか
るし」。
実際、1コーナーで事故を起こすとなると1コーナーを曲がらずにストレー
トからまっすぐコースアウトしなければならない。そんな事故は、少年が知る
限りなかった。スピンやコースアウトは1コーナーを曲がってから、2コーナ
ーの先で起きることがほとんどだった。
ポストに戻った少年は1本の消火器を抱え2コーナーへと向かった。コース
の外側にはコースアウトした車両が安全に止まれるように、決して広くはない
エスケープゾーンが広がっていた。コースレイアウトに沿って続くグリーンの
外側にはガードレールが設けられていた。その手前には車両が直接ガードレー
ルに接触するのを避けるために大きなスポンジがおかれていた。
夜間レースのために用意された水銀灯がガードレールの裏側に立っていた。
少年は4番ポストから数えて5本目の水銀灯の根元に消火器を置くことにした。
「スポンジの手前におくと車両がぶつかるかも知れないな」。少年は奥行き1
mはあるスポンジの上、ガードレールに沿わせて並行に消火器を置いた。
「一斉放送、一斉放送」。ポストの屋根に取り付けられたスピーカーから声
がしたのは、少年がポストに着くかどうかのタイミングだった。「各ポストは
電話の確認をお願いします」。予選やレースが始まってしまえばポストは陸の
孤島になる。レースセントラルとの連絡は旧式の電話だけだった。
受話器を上げればどこのポストから送信しているかわかるシステムにはなっ
ていたが、ポストに入っていた他のオフィシャルが「はい。4番」。と答えて
いた。スピーカーからは「4番了解」と聞きなれたコース副委員長の声が聞こ
えた。準備は整った。あとは予選開始を待てばいいだけだ。
1コーナーから2コーナーにかけてガードレールの外側の1段低いところに
3コーナーの観客席に続く通路があった。少しずつ、そこを歩く人の数が増え
だした。
1973年11月10日。この日、鈴鹿サーキットでは関西スポーツカーク
ラブ主催の全日本鈴鹿自動車レースが開催されていた。参加している車両は、
自動車メーカーの代理戦争のような量産車をレース用に改造したTS(特殊ツ
ーリングカー)、1970年に始まった軽自動車のエンジンを搭載した国産フ
ォーミュラカーのFL500、この年から始まったFJ1300とF2000。
TSは2クラスに分けられていたがTS2の台数が少ないのでTS1と混走に
なっていた。国内のトップフォーミュラとしてこの年に登場したF2000も
5台しか参加しておらず、FJ1300との混走になった。
前日のオフィシャルミーティングでの説明を思い出しながら、少年はオフィ
シルに配られたプログラムで参加選手の名前とゼッケンを確認していた。
「FL500は27台か。また1周目は気をつけないとな」。少年は自分に
言い聞かせた。
車両が小さいFL500は性能が拮抗していたこともあり、スタート後のス
トレートでは4台、5台が横にならぶつばぜり合いをくり広げるのが常だった。
そんな状態で1コーナーに進入するものだから、何台かがスピンしたりコース
アウトしてチ・ラ・カ・ルのが当たり前になっていた。本当ならばオフィシャ
ルが活躍することがないほうがいいに決まっているが、実際には何もないこと
のほうが稀だった。
荷台に大きな消火器を積んだ、赤く塗られたホンダ製の軽トラックが近づい
てきた。そろそろ予選の開始だ。消化車には鈴鹿サーキットの職員が乗ってい
る。
この日。少年はオフィシャルを始めてからと言うよりも人生で初めてと言え
るような強烈な体験をすることになる。
TSの予選が終わり、F2000とFJ1300の予選が始まった。少年は
いつものようにS字のひとつめのコーナーのほうに顔を向けた。
そうするとストレートに対して半身になる。4番ポストの守備範囲はBピッ
トから始まるのでストレートを駆け下る車両を見なければならないが、同時に
1コーナーをクリアして2コーナー、3コーナーへと移動して行く車両にも注
意を払わなければならなかった。
半身で立って遠くを見ることで少年は視野を広くできることを経験的に学習
していた。ストレートを下ってくるマシンは眼球を右に動かしさえすれば全て
視界に入った。顔は動かさず眼球だけを右から左に移すことでマシンが1コー
ナーをクリアするまで追うことができた。スピンやコースアウトが起きる時に
は同時に、通常とは違うスキール音がするので、そんな音が耳に入った時や1
コーナーへの進入速度が高すぎると判断した時や1コーナーを不安定に進入す
るマシンを見た時だけ、顔を左に向けるようにしていた。ほぼ180度の視界
を確保しなければならないので4番ポストの役務は大変だったが、ドライバー
が初めて通過するコーナーを任されていると思うと少しだけ気分が良かった。
改造した量産車のエンジンとはまるっきり違う澄んだ音をとどろかせながら
F2000が1コーナーに飛び込んで行く。15mほど先を全開で駆け抜ける
BMWM12の4気筒レーシングエンジンの音はお腹の皮を震えさせた。スト
レートのスピードはF2000にかなわないものの、コーナーではそん色ない
速さを見せるFJ1300が3コーナーに消えていく。
1台のマシンがピットアウトしてきた。マシンを左右に振ってタイヤを暖め
ている。ピットロード出口から1コーナーまではかなりの距離があるので、や
がてそのFJ300は通常のレーシングスピードと変わらない速さで目の前を
横切った。
「んっ!」
次の瞬間、少年は顔を左に向けていた。少年の目に3コーナーにさしかかる
あたりでスピンを始めたFJ1300が入った。マシンがスピンをしている最
中にはもう黄旗を振っていた。頭がすごい勢いで回転を始める。「コース上に
止まる可能性があるから2本の振動だ」。「よし。Bピットで1本の振動が出
ている」。
マシンは速度を落としながらイン側に向けて滑っていった。「危ないからイ
ンに入っちゃえ」。誰に言うとでもなく少年は叫んだ。
「ファルコンだ。辻選手だ」。1台だけしか参加していないファルコンを
見分けるのは難しくなかった。
スピンしながらもスピードの落ちたファルコンは、あろうことか、今度はコ
ースを上り始めた。3コーナーには明確なカントがついているからふつうなら
コーナーのイン側に入れてしまうことが安全なのだ。ところがブレーキを踏ん
でいないのか、1回転と4分の1回ったファルコンは、コースのイン側からア
ウト側へ後ろ向きに動き出した。
「ばかやろ!ブレーキ踏め」。少年は毒づいた。スピンしたマシンはできる
だけ早く完全に停止させなければならない。少年はズルズルと後退するファル
コンがどんな状況にあるのかがわかっていた。
ファルコンがスピンを始めた直後、もう1台のFJ1300が少年の視界を
横切っていた。ファルコンと同じく国産のKS03に乗る宮脇選手だ。
「なんてこった」。コースを横切るファルコンの右のサイドポンツーんに宮
脇選手のKAがほぼ直角にぶつかった。言葉では表現できないような衝撃音が
聞こえた。
ファルコンのセミモノコックフレームに乗っていたFRPのカウルは粉々に
砕け中を舞っている。2台はくっついたまま3コーナーの奥に向かって動いて
いる。
コントロールラインにあるセンターポストで黄旗1本の静止が出されている
から3コーナーまでは追い越し禁止だ。しかし予選は続いている。
手に持った2本の黄旗を他のオフィシャルに渡しながら「赤旗要請して、赤
旗」と大声でどなった。少年が4番ポストを飛び出しスポンジバリアに沿って
走り出したのと同時に、ファルコンに乗ったままの辻選手の背中のあたりで赤
いものがゆらめいた。
「火だ!」少年は自分の目を疑った。
『火災なんて自分は体験することはないだろう』と勝手に決め込んでいた自
分を、少年はののしった。
<続く>
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