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         Go−CircuitNo.249(05/21/08発行)

---------------------------------------------------- Taste of USA ----
●クルマを走らせるのは楽しい。速く走らせるのはもっと楽しい。●しかしク
ルマを安全に速く走らせることが難しいのも事実。走らせ方を理解していない
と楽しくもないし危険でさえある。●クルマをもっともっと楽しむために「ク
ルマさんとの正しいお付き合いの仕方」を学びませんか。●ユイレーシングス
クールからの提案です。●公道では安全運転を。サーキットではそれなりに。
》》Be Smarter、Drive Safer and Faster《《
     【  Yui Racing School Offers Serious Entertainment  】
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|1) タイヤの回る音を聞きながら
|2) YRSサイトアップデート
|3) 参加申し込み受付中
|4)クルマを動かす その12			トム ヨシダ
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|1) タイヤの回る音を聞きながら
  5月17日土曜日。この日、今年3回目になるユイレーシングスクールのス
クールレースを開催した。プログラムはいつもの通り130分耐久レースのY
RSエンデューロとローリングスタートで始まるヒート製のYRSスプリント。
いつになく参加者は少なかったが、レース自体はYRS史上初めてと言って差
し支えないほど緊張感にあふれていた。
  YRSエンデューロに参加したのは11台。うち4台がソロエントリ。ひと
りで130分を走りきる。他は2〜4人が交代で走るチームエントリ。この日
は湿度が高かったせいかどの参加者もラップタイムが低調で130分で走破し
た周回数こそ月並みな結果に終わったが、逆に逃げ切ってしまうチームが現れ
なかったからかコース上では白熱した争いが繰り広げられた。もっとも、参加
したチームがレース中にその現実に気がついていたかは別の話だが。
  それはともかく2001年にYRSエンデューロを開催してから8年、初め
て上位4台が同じ周回数でチェッカーフラッグを受けたのだ。過去にも2台が
同一周回というのはあったが、4台となると初めて。まさに耐久レースの醍醐
味があふれんばかりの内容だった。
  1位から18秒343遅れで2位がフィニッシュ。さらに21秒532遅れ
で3位。さらにさらに15.208秒遅れて4位がコントロールラインをこえ
た。上位チームは45秒前後で周回していたから1周1000mちょっっとの
コースに4台のクルマが分散していたことになるが、肝心なのはその時間差だ。
  この日4台のクルマが160周を走破したが、その間に20秒早くフィニッ
シュする走り方ができなかったかというと、それは難しいことではない。どの
チームも3回のピットインが義務付けられているから都合6周はレーシングス
ピードで走ることが期待できないにしても、では154周で20秒縮めること
ができないかという話。あくまでもイメージだが、平均して1周あたり0.1
3秒速く走って20秒早くフィニッシュできなかったかのか、という話だ。
  もちろんレースは一人で走っているわけではないから思い通りのペースで走
ることは難しい。自分よりペースの遅いクルマを抜かなければならないし、速
いクルマには抜かれなければならない。いきおい、自分のラインを守ることも
難しいだろう。しかし、耐久レースの結果はなにもレーシングスピードで走っ
ている時のラップタイムだけで決まるものでもない。
  事実、トップ争いをしていたチームがコースアウトしたこともあった。勝つ
ためには1周あたりコンマ13秒ずつ速く走ればよかったのに、コースから外
れてしまっては話が逆だ。トップグループについていけるポテンシャルがあり
ながらスピンしてコース上に止まってしまったチームもあった。
  1回のピットストップが2分30秒と決められていても、ピットインする周
とピットアウトする周を遅く走れとは言われていない。コース1000の場合、
ラップタイム一覧の200秒前後の周がインラップでその次がアウトラップに
なる。インラップ自体が遅いチームもあれば、アウトラップがレーシングスピ
ードのそれと遜色ないチームもある。コース上でペースを上げるのが難しいと
は言っても、まだまだ他にやれることはたくさんあった。なにしろ1周あたり
コンマ13秒削ればよかったのだから。
  とは言え、レースはやっている時が最高に面白い。勝つか負けるかの大事さ
も頭の片隅には置いてあるのだろうが、とにかく前に進むことのほうが楽しい
し気持ちが高ぶるのも事実。まぁ、それはいたし方がない。ただ、ライセンス
もいらない、ノーマルカーでも参加できるスクールレースではあるけれど、戦
略的なチームがでてきたらコース上で速くても勝てない可能性は出てくる。そ
んな予兆を感じることができた今回のYRSエンデューロ。なにしろ、4位か
ら6位までも159周を走りきっていたのだから。
  残り20分で上位7台が同一周回数なんてレースができたら、いやユイレ
ーシングスクールが目指しているのはそんな耐久レースだ、と言うべきなのだ
ろう。

・YRSエンデューロ第3戦結果速報
http://www.avoc.com/3result/pt/0517ye.htm

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|2) YRSサイトアップデート
・YRSエンデューロ第3戦筑波 結果速報
http://www.avoc.com/3result/pt/0517ye.htm
・YRSスプリント第3戦筑波 結果速報
http://www.avoc.com/3result/pt/0517ys.htm

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|3) 参加申し込み受付中
  現在、以下のカリキュラムの参加申し込みを受け付けています。

| ※申し込み期日を過ぎても定員に達しない場合は引き続き受け付けを行いま
| す。枠がある場合は当日受け付けも行いますが電話でご連絡下さい。その場
| 合は受講料を当日の受け付けでお支払い下さい。
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|■ 5月27日(火) YRS筑波サーキットドライビングスクール
  筑波ドライビングスクールのカリキュラムは、自然な流れでクルマの性能の
限界近くで走らせることができるように考えられています。座学で理論を学び
午前中の定常円練習でコーナリングの基礎を学び、それに基づいて午後にはコ
ース1000を走ります。初めてサーキットを走る方もご自身のペースで走れ
るように配慮されています。経験のある方にはご自身の操作が理屈にあってい
るかどうか検証することができます。
  アンケートの集計結果にもあるように、ユイレーシングスクールを受講して
内容が期待外れだったと答えた方は皆無と言えます。それは全てにおいて、受
講者一人ひとりの立場からクルマとどう向き合ったらいいかという点に焦点を
あて、わかりやすく説明することへの評価だと考えます。加えて受講者からの
あらゆる質問の全てに正確に答えててきたこともユイレーシングスクールの最
大の誇りです。運転に興味がある方は是非一度受講してみて下さい。
 
・YRSドライビングワークショップ筑波 受講者アンケート集計結果
http://www.avoc.com/3result/pt/0426survey.htm
・YRSドライビングスクールFSW 受講者アンケート集計結果
http://www.avoc.com/3result/pt/0418survey.htm
・YRS筑波サーキットドライビングスクール開催案内
http://www.avoc.com/1school/driving/tds.shtml
| ※50歳からの運転:対象となる方は受講料が23,000円になります。
| 50歳以上で初めてユイレーシングスクールに参加される方に適用します。
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|■ 5月30日(金) YRSドライビングワークショップFSW
  YRSドライビングワークショップはクルマを動かすのに必要な知識と操作
がどういうものか理解していただくためのドライビングスクールです。現在で
は誰でもクルマを運転することができますが、思い通りに動かすためにはそれ
なりの知識と正確な操作が必要です。その基本中の基本を学べるのがYRSド
ライビングワークショップです。
  前回のYRSドライビングワークショップでクルマの挙動変化をどうやって
感じたらいいのかという質問があったので、今回は通常のスレッシュホールド
ブレーキングの練習に加えて試験的にスラローム走行の練習を行います。ユイ
レーシングスクールでスラローム走行を取り入れるのは初めてですが、正確な
操作にはまずクルマの挙動変化を感じることが不可欠です。今以上にクルマの
挙動を感じ取りたいと思われる方はぜひ受講して見て下さい。

・YRSドライビングワークショップFSW開催案内
http://www.avoc.com/1school/driving/ydwf.shtml
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|■ 5月31日(土) YRSオーバルスクールFSW
  週末を利用した半日のオーバルスクールです。カリキュラムは終日のオーバ
ルスクール同様イーブンスロットルのコーナリングに始まりトレイルブレーキ
ングの使い方を練習しながらどういう操作がクルマにどんな挙動をもたらすか
を検証しながらクルマの運転を楽しみます。ラップタイムを計測しますから、
ご自身の操作がクルマの速さに結びついているかを確認することができます。
  受講される方は周波数をプリセットできるFMラジオ(カーラジオが最適)
が必要です。

・YRSオーバルスクールFSW開催案内
http://www.avoc.com/1school/oval/yosf.shtml
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|■ 5月31日(土) YRSオーバルレースFSW 第4戦
  昨年の最終戦から設けたカブクラスに参加される方が増えています。ローリ
ングラップの練習に加え、アウトインアウトの走行練習、模擬レースを行うの
でオーバルレースに馴染みのない方でも安心して参加することができます。
  オーバルスクールでオーバル走行の面白さを見つけた方は、タイムではなく
他人との駆け引きを楽しめるオーバルレースにぜひ参加して下さい。

・YRSオーバルレースFSW規則書
http://www.avoc.com/2race/oval/yor.shtml

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|4)クルマを動かす その12			トム ヨシダ
  アメリカに帰る時には成田空港の近くの駐車場にクルマを預けることにして
いる。荷物を運ぶのが楽だし日本に戻ってすぐにどこかに行かなければならな
い時に便利だからだ。
  その駐車場はホテル日航の前にある。同じ千葉県の八千代市にあるユイレ
ーシングスクールからは東関道を成田で降りて空港通りと呼ばれる道を進み、
ホテル日航の手前で左折するとすぐのところにある。
  実は、この左折するコーナーを通るのが密かな楽しみなのだ。前回アメリカ
に帰った時にはその楽しみが頂点を極めたと言っても過言ではないくらいに、
気持ちの良い瞬間を経験することができた。
  とは言うものの、本来ならば意識的にやるべきことではないし、決して他人
に勧められるものでもない。が、いわゆるクルマの運転を極めるという意味で
はひとつの典型的な運転だから読者にだけ披露することにする。

  空港通りは片側2車線。適度なコーナーが続きアップダウンもあるきちんと
整備された道だ。その左コーナーは、ゆるく右に回りながら長い坂を上り、そ
の延長で右に曲がりながらかなり急な坂を下る途中にある。60mくらい手前
からだろうか左折車線が用意されているから、そのコーナーのところでは3車
線になる。ここまではなんてことのない、どこにでもあるようなコーナーなの
だが、このコーナーが楽しいのは左折した瞬間からかなりの勢いで道が登り始
めるからだ。
  つまり、コーナー自体はどおってことのない90度左コーナーなのだが、ア
プローチが下り。脱出がかなりの登りになっている。ということは、何が想像
できるだろうか。そう、二つの下り坂が直角に交差してしているわけだから、
左折する過程で通過する路面が逆バンクになっているのだ。クルマがコーナリ
ングする時には必ず遠心力が働く。その遠心力に抗いクルマを円運動させるの
がタイヤだ。この時にタイヤが発生する力がサイドフォース(コーナリングフ
ォース)。サイドフォースと遠心力が釣り合うからクルマはコーナリングする
ことができる。つまりは、ただでさえ大事なサイドフォースなのに逆バンクで
はそれが殺がれることになる。本来のタイヤのグリップが期待できない、なん
ともクルマにとってはありがたくないコーナーなのだ。
  その意味で、年に3、4回アメリカに帰る時とYRSオーバルスクール浅間
台を開催する時しか通らない道ではあるが、自分のドライビングポテンシャル
が錆びついていないか確かめるための大切なコーナーではある。否、正確に言
えば30キロそこそこのコーナーなのだが走るのがとっても楽しいコーナーな
のだ。

  テーマは最大限にタイヤのグリップを使いながらブレーキング、ターンイン、
そしてコーナリングをすることだ。意識するのはそのコーナーだけ。それ以外
はガソリンがもったいないからごくごく普通に、省エネ運転を心がける。
  右に回りこむゆるい登りを60キロ/時プラスで走る。横Gを受けている最
中に道が下り始める。クルマはフィット。最も素のモデル。履いているタイヤ
も純正のまま。当然グリップは良くない。
  注意深く運転していると、下りになって自分の頭がわずかに重くなったなぁ
と感じることで荷重が前に移動するのがわかる。スロットルをそのままにして
おくと、今度はバックレストに支えられた上体に圧力がかかるような感じがし
て、同時に車速が上がり始める。クルマが加速しないほどにスロットルを緩め
イーブンスロットルを保って・・・。
  と、ここではそんなことはどうでもいい。このコーナーの曲率はそれほど大
きくない。速く曲がろうとしてもせいぜい30キロ/時でコーナリングできる
かできないかだ。あるテーマを持って走る時には絶対速度は重要ではない。そ
の区間だけに限って『タイヤの限界を使い続ける操作』ができるかできないか
が問題なのだ。ましてここは公道。自分勝手なまねは許されない。交通を阻害
しない範囲で走ることが前提だ。それができないのならば個人的な試みをやっ
てはならない。

  具体的にはこうする。ゆるい右回りのアップヒルを右側車線で登りながら遠
心力を逃がす要領で舵角を減らし左側の車線に移る。この時、車線を移しても
ロール量に変化がないように細心の注意を払う。左側車線を進むと左折車線が
始まるところに近づく。右コーナーのロールから逆ロールを起こさないように
トランジッションのための一呼吸おいて左折車線に入る。左折車線も基本的に
は右回りのコーナーだから、ターンインまでは常に左側に荷重がかかっている。
ほんのわずかだが前と左に果汁がかかった状態からブレーキング。ロールが深
まらないように前輪の方向を左に向けるつもりでステアリングを修正。クルマ
が右旋回しながら減速しているのにロールゼロで、わずかに前荷重にするのが
目標。トレイルブレーキングで前輪のグリップの最大値を探りながら歩道の縁
石が描く円弧と同じシルエットでコーナリングし、立ち上がった時に片側1車
線道路の中央で完全に横Gを消した状態で加速を開始する。ここまでが一連の
流れ。と言っても、コーナーが終わればあとはガソリンを使うだけ無駄。立ち
上がってフルトラクションがかかったらすぐにスロットルを緩めて制限速度で
の走行に移る。だらだら走っていても意味がない。30キロのコーナリングは
交通違反ではないものの、ふつうはそんな速度で交差点を曲がるものではない。
そのあたりを十分に理解していないと、自分のことしか考えないその辺の品の
悪い運転者と同類になってしまうから気をつけなければいけない。
  以前、米国日産が現行フェアレディの発売を機にそのテレビCMに「You
 Own The Road」というフレーズを郊外の道を疾走するフェアレデ
ィと一緒に流したことがある。抑揚のない低い声で消費者に語りかけていた。
フェアレディを買えばあなたは全ての道を支配できる、といったようなニュア
ンスで将来のユーザーに訴えかけようとしたのだろうが、ものの1週間もしな
いうちに当該のCMは中止になった。NHTSA(米国道路交通安全局)がフ
ェアレディユーザーのみならず走ることが好きな人々を扇動する危険性がある
として米国日産に除外を求めたのだ。当時ジャーナリスト仲間では「(日産は)
何もあそこまで行かなくても良かろうに」とその意識を疑ったものだ。交通と
はそういうものなのだ。交通は自然発生的に形成されるもので、基本的には個
の集まりが交通だ。だから個はその集合体である交通を無視しても疎外しても
ならない。そうでなければ安全かつ円滑な交通は実現しない。それは公道であ
ろうとサーキットであろうと同じだ。

  さて、その左コーナーは走っている速度に関わらず、ゆるく右に回りこんで
いるアップヒルの手前のコーナーを走っている時、に始まる。曲率が大きいか
ら70キロ/時プラスの速さでは大した横Gを受けることはない。しかし正確
に言えばクルマはしっかりとロールしてアウト側に加重は移動し、タイヤはき
っちりとコーナリングフォースを発生している。
  上り坂だから速度を落とさないためにもスロットルは開け気味。いきおいフ
ロント加重が抜けてアンダーステア状態で坂を登ることになる。どれだけスロ
ットルを開けるとフロントが逃げ始めるか、確かめるのには都合のいいコーナ
ーだ。ところが坂の頂点を過ぎるや、かなりの下り坂になり加重が前に移動す
ると同時に加速が始まる。もしクルマの姿勢をイーブンスロットルに保ちたい
のならばスロットルを開けてノーズを拾ってやらなければならないが、それで
はさらにスピードが乗ってしまう。
  ではどんなスロットルワークをすれば良いのか。それはクルマの姿勢から逆
算して考える。登りから下りに移る間と言うよりも、登り始めてから下りにな
ってクルマが安定してコーナリングするまでに、クルマは右足に連動して既に
何回ものピッチングを繰り返している。実際にクルマが前後に揺れるのを見る
ことができなくても、その重心位置は刻一刻と変化を続けてきているのだ。
  タイヤに頼るしかクルマを動かす方法がないのは事実だから、ここは4本と
もタイヤがしっかりと地面に貼りついている状態をベストとし、それを達成す
るために右足でクルマの姿勢(クルマの速度ではない)をコントロールしなけ
ればならない。つまりどんなスロットルワークをすれば良いのかではなく、次
次に姿勢を変えるクルマの状態に合わせてスロットルワークを続けなければな
らないと言うことだ。間違っても踏みっぱなしでいいということにはならない。
  下り坂だからと言ってスロットルを戻しすぎると加重が前に移動してしまう。
踏み込みすぎればイーブンスロットルに近くはなるがクルマが加速をしてしま
う。スロットルを閉じ気味の擬似イーブンスロットル状態を作り出し右回りに
下り続ける。やがて左折車線が広がっているのが視界に入る。が、左折車線に
入るためには左に転陀する必要がある。右コーナーを回っている最中にひとつ
外側の車線に移動し、なおかつそれまでの右コーナリングと同じ姿勢に持ち込
まなければならない。それをやる。登っている時からコーナリングまで。つま
り左折車線に移る時ですら歩道の縁石とずっと等間隔の軌跡を踏めるように走
る。そうすれば操作が的を得ているかどうかがわかりやすい。
  コーナリング中にラインを変更する際は、間違ってもクルマに逆ロールを起
こさせてはいけない。正確に言えば外側2輪に移っている加重をそのまま維持
し、増やすことがあっても減らすことのないように軌跡を変えなければならな
い。言葉を換えれば、ロールを少なくすることでタイヤのコーナリングフォ
ースを減じて軌跡を変える。つまり進路を変えるためのステアリングワークに
頼らずにクルマをひとつ外側の車線に平行移動させなければならない。要する
にスロットルコントロールとステアリングワークが相互に補完関係になければ
ならない。それができればその先が見えてくる。
  左折車線に入る。クルマにはまだ横Gが残っている。この状態からスレッシ
ュホールドブレーキングに移り、さらには下り坂でトレイルブレーキングを使
う。ターンイン直後には前輪が逆バンクに差し掛かるのも計算に入れなければ
ならない。果たして、どんな一連の操作をすればクルマはタイヤの限界を使い
ながらコーナリングに移るか?

  この日。珍しく時間的にも余裕があった。そのせいかどうかは知らないが、
この面白いコーナーを見つけて以来最高の『でき』のコーナリングが完成した。
  横Gを受けながらブレーキング。ちょっと間をおいて前輪からスキール音。
右方向に旋回しながらのブレーキングだが、加重が左右前輪に等しくかかって
いるのがわかる。舵角を変える必要がないからだ。
  まだ左に転舵はしない。キキキキキキキ。聞こえるか聞こえないか、周囲の
騒音に打ち消されそうなごく小さい音で、タイヤが車速に見合った回転よりも
少なく回っているのを教えてくれる。ブレーキペダルにかけた踏力を抜きなが
らターンイン。スキール音は大きくなるでもなく小さくなるでもなく連続して
鳴っている。ステアリングホイールを軽く握った左手をほんの少し引いて、待
つ。次の瞬間。スキール音全体の音量はそのままに、ブレーキング時に鳴って
いた左前輪の分だけ右後輪に移し変えたようにスキール音の発信源が代わる。
  結局、ブレーキングを開始してからクルマがコーナーを抜け横Gが消える寸
前まで、スキール音はずっとほとんど等しい音量と音質でなり続けていた。決
してはでな音ではないから、そしてとてつもない速度でコーナリングしている
わけではないから、どこにでもあるようなフィットに乗る年配の運転者がそん
な試みをしていたとは誰も気づかなかったに違いない。
  交通を阻害したわけでもなく爆音を撒き散らしたわけでもない。全くのノ
ーマルのフィットで、他の人よりも少しだけ高い速度で左折車線に移り、他の
人よりも少しだけブレーキをかけるタイミングを遅らせ、みんなはやらないよ
うな速度でターンインをした。それだけのことだ。それが良いか悪いかは別に
して、それができるようになると間違いなくその人のドライビングポテンシャ
ルは向上する。それには、ここに書いた一連のクルマの動きを想像することが
第一歩だ。自分はというと、完感性が鈍らないように交通を意識した範囲で繊
細さを極め続けている。たかが30キロのコーナリングではあるが。

・ユイレーシングスクール教科書
http://www.avoc.com/5media/textbook/textbook.php?page=0
・ユイレーシングスクールポリシー
http://www.avoc.com/9misc/info/yrspolicy.shtml

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