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         Go−CircuitNo.252(07/08/08発行)

---------------------------------------------------- Taste of USA ----
●クルマを走らせるのは楽しい。速く走らせるのはもっと楽しい。●しかしク
ルマを安全に速く走らせることが難しいのも事実。走らせ方を理解していない
と楽しくもないし危険でさえある。●クルマをもっともっと楽しむために「ク
ルマさんとの正しいお付き合いの仕方」を学びませんか。●ユイレーシングス
クールからの提案です。●公道では安全運転を。サーキットではそれなりに。
》》Be Smarter、Drive Safer and Faster《《
     【  Yui Racing School Offers Serious Entertainment  】
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|1) YRSサイトアップデート
|2) 参加申し込み受付中
|3)クルマを動かす その15			トム ヨシダ
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|1) YRSサイトアップデート
・第80回筑波サーキットドライビングスクールアンケート集計
http://www.avoc.com/3result/pt/0527tds.shtml
・第81回筑波サーキットドライビングスクールアンケート集計
http://www.avoc.com/3result/pt/0701survey.shtml
・第81回筑波サーキットドライビングスクール結果

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|2) 参加申し込み受付中
  現在、以下のカリキュラムの参加申し込みを受け付けています。

| ※申し込み期日を過ぎても定員に達しない場合は引き続き受け付けを行いま
| す。枠がある場合は当日受け付けも行いますが電話でご連絡下さい。その場
| 合は受講料を当日の受け付けでお支払い下さい。
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|■ 7月25日(金) YRSドライビングワークショップFSW
 ★ ★ ★ ユイレーシングスクールはどんな質問にもお答えします ★ ★ ★
| 今回のテーマは「タイヤのグリップを探る」です
  前回のドライビングワークショップFSWで試験的にスラロームの練習を行
いました。その目的は、姿勢変化(荷重移動)と操作が一致しているかを確認
することでした。結論から言うと、イーブンスロットルでのスラロームではほ
とんどの場合一致していることを確認できましたが、スロットル操作にオンオ
フをつけてできるだけ速くスラロームしてもらうようにしたところ、やはり操
作の遅れが目立つようになりました。
  いうまでもなくクルマの運転は自分が移動しながら行うわけで『ある地点で
何かを使用とした時』には『そこに至るまでに必要な操作を始める』ことが必
要です。ところが速さという要素が加わったとたんに操作に遅れが出てしまい
ます。ある意味それは仕方のないことですが、クルマを意のままに動かすため
にはその『遅れ』を取り除くことが必要です。
  スラロームをやってもらったのは同じような操作を繰り返しているうちにク
ルマのロール特性とかタイヤのグリップ限界を感じ取ってもらい、予測を立て
て操作することにより『遅れ』が取り除けることを体感してほしかったからで
す。
  しかしながらこの試みはうまくいきませんでした。理由はふたつ。FSWの
ジムカーナ場の長辺を利用しても直線が長く取れないことがひとつ。ある程度
切り返しが連続する設定にしたいわけですが、それだとパイロンの間隔が短く
なり速度を上げることができません。いきおいクルマが内包する慣性力も大き
くはならずクルマがバランスを崩すところまでは行かなかったこと。もうひと
つはタイヤが良すぎてバランスを崩す事態になってもなんとか収束してしまう
ことです。
  体験していただいた方にはそれなりにスラロームの楽しさと難しさを分かっ
てもらえたと思いますが、やはり操作の習熟を目指すスラロームであればせめ
て3速の速度域で10回程度スラロームがこなせる幅広い直線の必要性を感じ
た次第です。
  というわけで、試験的に行ったスラロームは今後場所と内容を吟味しながら
YRSのカリキュラムに加えるよう検討していくつもりです。
  それで、今回のドライビングワークショップは的確な操作と切っても切れな
い関係にある「タイヤのグリップを感じる」ことに主眼を置いて開催したいと
思います。カリキュラムは通常と変わりませんが、特にフロントタイヤのグリ
ップ限界を受講者の方に体験してもらう工夫をします。思い通りにクルマを動
かすためには4本のタイヤのグリップを低下させないことが必要です。タイヤ
のグリップを感じることができれば、過大な操作や遅れた操作を避けられるは
ずです。クルマを自由に動かしたいと思っている方はぜひ参加してみて下さい。

・YRSドライビングワークショップFSW開催案内
http://www.avoc.com/1school/driving/ydwf.shtml
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|■ 7月26日(土) YRSエンデューロ&スプリント FSW

  2008年第4戦。YRS卒業生で初めてYRSエンデューロあるいはYR
Sスプリントに参加する方には参加費割引きなどの特典があります。詳しくは
お問い合わせ下さい。

・YRSエンデューロ規則書
http://www.avoc.com/2race/closed/yes.shtml
・YRSスプリント規則書
http://www.avoc.com/2race/closed/yss.shtml


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|3)クルマを動かす その15			トム ヨシダ

  かなり前のあH無しだが、ユイレーシングスクールのスタッフとクルマのセ
ッティングを行うために走行会に参加した。走行会というのはサーキットを借
りた主催者が一般のサーキットを走りたい人を集めて行うもので、ドライビン
グスクールとはいささか趣が違う。要するにサーキットでスポーツ走行をする
ためのライセンスを持たない人に走る場所を提供しようというものだ。
  当日は午後2時半ごろから雨が落ちてきたが、それまでにほぼセッティング
は終わっていた。当初の目的は達成したのでウエット路面での挙動を見るのに
好都合だった。クルマを速く走らせるのには運転手のテクニックも重要な要素
だが、クルマを動きやすいようにするためのセッティングも大切だ。同時にセ
ッティングに合わせた乗り方を検証することも同じくらい大切だ。一般的には
量産車であればそのまま走ったほうが乗りやすいのだが、レース用に改造した
クルマは速く走らせるためにはいろいろな要素を煮詰めていかなければならな
い。それがセッティングだ。
  それはともかく、主催者が走行会の最後に遊びのレースを行うと言う。走行
会に参加した人の中から希望者を募り、男の子なら一度はやってみたい(当日
は女性がひとり参加していたが)自動車レースをやってみませんか、というわ
けだ。セッティングが終わっていたのでスタッフが参加することになった。
  ユイレーシングスクールのクルマはレース用に大幅に改造したロードスタ
ー。とは言うもののエンジンは1.6リッターのノーマル。タイヤも一般的な
ラジアルタイヤ。単純な速さを追いかけるのではなく、量産車とは別次元のサ
スペンションを備えるクルマを作り卒業生に体験してもらうことが目的だから
動力性能は高くない。
  走行会で記録したラップタイム順に9台のクルマがスターティンググリッド
に並ぶ。ユイレーシングスクールのロードスターは4番目で2列目のアウト側。
前にはRX−7、スカイライン、ランサー。性能的にはロードスターより上の
クルマが並ぶ。レースは10周。スタンディングスタートからレースが始まる。
  スタート直後の1コーナー。YRSロードスターは後方のグリッドに埋もれ
ていた加速性能にまさるシルビアやインプレッサに取り囲まれながらも4位を
維持。濡れた路面にふらつくクルマもいるが何とか無事に1周目が終わろうと
していた瞬間。3位を走行していたランサーが最終コーナーでスピン。きわど
いところでかわしたYRSロードスターが3位へ。スピンしたランサーはなん
とか建て直し、数台に抜かれはしたが2周をかけて4位まで復活。YRSロー
ドスターを追いかけ始める。
  この日の見ものはここから。性能的には圧倒的優位に立ちしかもウエット路
面に強いランサー。タイヤも1ランク上のタイヤを履いている。そのランサー
がYRSロードスターを追いかけるのだがなかなか抜くことができない。筑波
サーキットコース1000には1本の長いストレートがあるのだが、最終コー
ナーを立ち上がって1コーナーに行くまでに横に並ぶことすらできない。もし
仮にランサーとロードスターが最終コーナーから発進加速をしたならば間違い
なくストレートの途中でランサーが先行するであろう動力性能を備えていなが
ら、だ。非力なYRSロードスターがどこまで3位の座を守れるか。それが見
ものだった。
  結果を先に言うと、YRSロードスターはランサーに抜かれることなく3位
に入賞。簡単な表彰式でトロフィーをもらいスタッフは大喜びだった。
  さて、動力性能、特にこの場合圧倒的に優位な加速性能を備えているランサ
ーがなぜYRSロードスターを抜けなかったかのか。運転の仕方を教えるもの
としては非常に興味のある課題が見つかった。
  それはランサーがキチンと加速していなかったことにある。乗っている本人
はYRSロードスターを抜けば3位にはいれるのだから一生懸命に走っていた
のに違いない。なのに抜くことができない。ここに自動車の運転の面白さと奥
深さがある。クルマが速くても運転手次第で速くは走れないということだ。
  その原因を以前触れた加速という観点から考える。
  再三述べているようにタイヤは決して路面にくっついて走っているわけでは
ない。ドライの路面でもわずかながらずれながら、滑りながらクルマを走らせ
ている。しかし加速に関してはタイヤの回転方向がクルマの進行方向と一致す
るから駆動力に対する許容度が高く、スロットルを急激に開けてもクルマには
何も起こらない。正確に言えば、「起こりにくい」。ただし、そのクルマの加
速性能を存分に引き出すのにはスロットルを開けるときにクルマにロールが残
っていないこと。路面が横断方向に均一であることが条件だと説明した。
  結論から言うと、このランサーの場合、運転手は自分がスロットルを開けて
いるからクルマが加速していると思い込んでいたのだろうが、実際には加速し
ていなかった、ということだ。もし本来の加速性能を引き出していれば、例え
路面が濡れていても、否、濡れているならなおさらYRSロードスターなどこ
ともなげに抜けたはずなのだから。
  ではなぜクルマがキチンと加速しなかったのだろうか。端的に言えば最終コ
ーナーの脱出の時にステアリング操作とスットル操作が重なっていたからだ。
わかりやすく言うと、ステアリングを切ってコーナリングをしているのにそれ
でも加速をしようとスロットルを開けてしまったのだ。確かにコーナリングの
脱出ではステアリングとスロットルの両方を操作している場合がある。そうし
なければ理想のラインを辿れないからだ。しかし、その瞬間、瞬間で考えれば
どちらか優先しなければならない操作があるのだ。
  YRSロードスターに追いつき、追い越したい。その気持ちはわかるがクル
マは運転手の思い通りには動いてくれない。タイヤが路面を捕まえる力には限
度があるからだ。コーナリング中はタイヤのグリップのほとんどが横方向の力、
これをコーナリングフォースと呼ぶのだが、遠心力に対抗するための手段とし
て使われている。実はこの時、スロットルを開けてもクルマは加速しない。加
速するには縦方向(進行方向)の力、これをトラクションと呼ぶのだが、クル
マを前に進めるために路面をつかまえる力が必要なのだが、コーナリング中に
はタイヤのグリップを横方向に使い果たしているからスロットルを開けても反
応してくれない。エンジン音が高まって、タコメーターの針がレッドゾーンに
近づいたといっても、実はクルマは加速していない。スピードも上昇している
かも知れないが、それはそのクルマの本来の加速性能とはかけ離れたものにす
ぎない。
  一生懸命コーナリングしているタイヤに加速のことを考える余裕などない。
それを無視してスロットルを開けるものだから、コーナリングフォースとトラ
クションの和は簡単にタイヤの限界を超えてしまう。結果として新たに加わっ
たトラクションはタイヤを横方向に滑らずだけでクルマは加速をしていなかっ
た、ということだ。
  横に滑る?そんな危ない、とは言わないでほしい。横に滑るにしてもそれは
瞬間的にはごくわずかな量だ。運転手がそれを見抜くのは難しい。その上、現
代のクルマとタイヤは滑っても何事もなく走り続けられるように作られている。
だからよりいっそうタイヤのグリップがどちらの方向に使われているかを感知
するのは難しい。

  ひとつだけ言えるのは、発進加速ならばとっくに置き去りにできるようなク
ルマより加速が悪いのは操作の仕方が間違っている、ということだ。高速道路
の本線に合流するのが怖いと言う人の話をしたが、ランサーの彼も一度キチン
とクルマが加速するということを意識して体感してみるといい。加速こそクル
マが最も生き生きと走る瞬間だ。それがどんなことなのかを想像できなければ、
速く走ることがそのまま危険につながってしまう場合が多い。速さは操作の結
果だ。速く走ることだけを考えずに、どうするとクルマがどう動くか、目的を
達成するために求められる操作が求められるのかを考える。まずクルマをキチ
ンと動かすことに専念すべきだ。

・YRSEPロードスター(SCCA Eプロダクション仕様) 
http://www.avoc.com/6ep/p02.htm

・ユイレーシングスクール教科書
http://www.avoc.com/5media/textbook/textbook.php?page=0
・ユイレーシングスクールポリシー
http://www.avoc.com/9misc/info/yrspolicy.shtml

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