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Go ★ Circuits No.120 (01/31/02発行)

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【 120号の目次 】

○ 筑波ドライビングワークショップ 参加申し込み受付中

□ 吉田塾 参加申し込み受付中

● YRSイベント参加申込み受付開始

☆ ハウツゥスタート

★ コーナーの向こうに 第六話 青春の旗 第3回 トム ヨシダ

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○ 筑波ドライビングワークショップ 参加申し込み受付中

2002年最初の筑波ドライビングワークショップは無事終わりました。今回は7
名の方がサーキットを初めて走りましたが、BBS@YRSに感想が掲載され
ているように収穫の多いプログラムだったようでスタッフ一同喜んでいます。

既に2月19日のTDWPは定員に達していますが、13日に開催するTDW02
2はまだ余裕があります。

| ∽∽ どなたでも参加できます。皆さんの参加をお待ちしています ∽∽

・筑波ドライビングワークショップ開催案内:
http://www.avoc.com/school/program/tdw02/tdw_rule02.htm

・筑波ドライビングワークショップ最新の申込者数:
http://www.avoc.com/cgibin/check_tdw.cgi

・ユイレーシングスクール掲示板:
http://www.avoc.com/bbs.htm

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□ 吉田塾 参加申し込み受付中

今年第1回の吉田塾は2月9日(土)。現在2名の方が申し込まれています。
おひとりは秋田県からの参加です。

昨年同様ビデオによる走りの解説やスライドを使った理論の説明を夕食をはさ
んで行います。サーキットを走ったことのない方、ユイレーシングスクールの
催しに参加したことのない方、免許年齢に達していない方の参加も大歓迎です
。みなさんの参加をお待ちしています。

・吉田塾開催案内とスナップショット&申し込みフォーム:
http://www.avoc.com/school/program/retreat/y_school_frame.htm

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| ● YRSイベント参加申込み受付開始
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| 告知が遅くなりご迷惑をおかけしましたが、2002年に開催するユイレーシン
| グスクールのイベントの規則書をサイトに掲載しました。
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| それぞれの規則書と参加申込フォームはホームページからアクセスできます。

・ユイレーシングスクールWebサイトホームページ:
http://www.avoc.com/

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☆ ハウツゥスタート

ここではクルマの速さを安全に引き出すためのヒントを掲載していきます。

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今年初めての筑波ドライビングワークショップで『事件』があった。ユイレー
シングスクールのシニアインストラクターがスピンしたのだ。

CMの撮影で要求されてスピンした以外はレースでも、もちろん公道でもスピ
ンしたことがないのが密かな自慢だったシニアインストラクターがスピンした。
本人はそうとう「落ち込んでいる」らしい。なにしろ無と有は大違い。ゼロで
なければ1も50も同じだと主張していたその当人のスピンだから。

シニアインストラクターもスピンが自分のドライビングミスだと認めている。
ユイレーシングスクールとしてもスピンする可能性のある運転は全面的に否定
する。従ってシニアインストラクターのスピンも弁護されるものではないが、
本人の弁はこうだ。

* * * * * * * *

やはりSタイヤの功罪は大きいと思う。確かにグリップは相当なもの。そのク
ルマのオーナーが「減ってきたので替えようと思ってます。」というぐらいだ
から、タイヤのライフとしては終わりに近いのだろう。それでもかなりのグリ
ップを発揮した。問題はそのグリップが良すぎて『向こう側』が見えないこと
だ。つまりほとんどタイヤが滑らない状態でコーナリングフォースだけが増え
ていく。この速度では速すぎるだろうと承知でトライしてもタイヤの滑り量は
変わらない。

いわゆるラジアルタイヤであればコーナリングフォースが増すにつれてタイヤ
の滑り量も増える。ある程度滑る量が増えればその先にはグリップしない状態
−タイヤの限界があることを予測できる。それがSタイヤでは感知できない。

クルマのコントロールに慣れている人がタイムをだすために使うのは有効かも
しれないが、クルマの運転を楽しむとか操作の仕方を練習するには不向きなタ
イヤだ。

あれだけグリップがあると本来の理論的なドライビング理論も変えなければな
らないかも知れない。Sタイヤなりの走り方があるのかも知れない。しかしそ
れではクルマを人間が操作するというよりもタイヤが持つ公式に則って走らな
ければならないわけで、クルマを道具として人間がスポーツドライビングを楽
しむという目的からは逸脱していると思う。

今の時代には少数派の意見かも知れないが、個人的にはグリップの低いタイヤ
で走ることの方が面白いし練習にもなる。最新技術の結晶であるSタイヤには
それなりの意味があるとは思うが、明らかに目的が速く走ることに特化しすぎ
ている。

しかもクルマによっては、特に設計年度の古いクルマには向かない場合がある
はず。Sタイヤがもたらしたグリップ至上主義に対しては否定的にならざるを
得ない。

今回スピンしたのはヘアピン。もちろんドライビングミス。あまりにグリップ
が良いのでクルマの状態を把握するのにズレがあった。Sタイヤはグリップが
良い分求められるものが大きい。言い方を変えれば、ドライビングミスに対し
て寛容ではない。

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とのこと。あなたはどう思いますか?

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★ コーナーの向こうに 第六話 青春の旗 第3回 トム ヨシダ

「プゥ〜」再度一斉連絡。

「赤旗を受けた最後尾の車両はゼッケン○○の××です。」

まだかまだかと目の前を全開で横切るマシンにイラつく。「そうなんだ。誰も
ポルシェがコースアウトしてひょっとしたらドライバーが大変なことになって
いるなんて知らないんだ。知っていたとしても全開で走り続けるんだ。グリー
ンでだ誰かがガードレールにクラッシュしているのを見ても誰もスピードは落
とさないもんな。みんな自分は事故を起こさない。起こすのは馬鹿だと思って
るんだ。」

××が立体交差の下に見える。とりあえず箒を手にして××が行きすぎるのを
待つ。××が14番ポストのグリーンをかすめヘヤピンに消える。

「それ!」できるかぎりの速さで駆ける。めがねに水滴がついて視界がゆがむ
のなんて気にならない。身体中が濡れているのも忘れている。走る。距離にし
て200mほどだろうか。ポストから見るとそれほど離れていなかったように
思えたのに、現場は遠い。息が上がる。歩きたい。でもポルシェのドライバー
を確認しなければならない。

立体交差の下を走ってくる人影が踊るめがねにつれて跳ねる。
「13番には3人いたはずだ。これで4人。なんとかなるか。それよりまずドラ
イバーの確認だ。」なかなか現場にたどり着けない自分の足の遅さが恨めしい。

右側の土手にそって走る。やがて土手は低くなりガードレールも終わる。それ
まで見たことはあったはずなのに定かな記憶の無いくぼ地が見える。

『いた!』

少し低くなったところに人が立っている。白いヘルメットをかぶっている。ド
ライバーの川口吉正だ。「大丈夫ですか?」息がはずみちゃんとした日本語に
なっていない。

ドライバーがおっくうそうに手を上げる。「よかった〜ぁ。」駆け寄る。気の
せいか、いやそうではないだろう。憮然とした表情のドライバー。それはそう
だ。このアクシデントが原因で明日のレースに出れないかも知れない。なんで
スピンしたのか考えているのかも知れない。かける言葉が見つからない。

ポルシェは。ポルシェは距離にして10数m先。5mほど低いところに傾いて止
まっている。裏返しにはなっていない。どこかに激突した様子も無い。とりあ
えず良かった。雨に濡れた背の高い草地を滑ったのが幸いしたのだろう。

あとはセンターからのレッカーを待つだけだ。ポルシェの修理ができれば良い
が。明日のレースに間に合えば良いが。

ポルシェ910。ポルシェお家芸の空冷フラット6をミッドシップに搭載した
純レーシングカー。64年の第2回日本GPに参加した技術力の高さを見せ付け
たポルシェ906の後継車。純レーシングカーにして屋根のあるグループ6。
自分とは一生縁のないクルマがそこに止まっている。

「こんなクルマでレースができたらなぁ。」ドライバーの無事を確認してホッ
としたからだろう。頭の中に『私の夢』の部分が顔を出す。

「レースやりたいよなぁ。」

が、それは無理な話だった。ふつうの家庭で育ったふつうの能力しかない少年
がレースを志せるほど日本のレースは成熟していなかった。レースに参加する
のは特殊な人だった。レースに携わること自体がふつうのことではなかった。

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日本で最初に国際車両規則に従ったクルマのレースが行われたのは1963年
5月5日の第1回日本GP。欧米で自動車レースが始まってから、実に60年
あまりが経過していた。爾来、国際自動車連盟に加盟する日本自動車連盟が定
める国内競技規則と国内車両規則に則って『日本のレース』は行われてること
になる。

第1回日本GPで欧米との技術格差を見せ付けられた日本の自動車メーカーと
タイヤメーカーは、それ以降速く走るための技術を追いかけることを絶対の命
題とする。自動車レース、否、日本のモータースポーツはメーカーの代理戦争
の場と化す。

フラット4を載せていた906よりも全長が短くなり、前後のオーバーハング
も少なくなりより精悍になった910。トレッドとホイールベースの比率から
見ても安定感が増した。地に這いつくばるようで、それでいて優雅なスタイル
は日本では生まれない種類のものだった。その上日本にはまだ純レーシングカ
ーをゼロから作る技術もなければそれを必要とする市場もなかった。

日本に存在したレース用のクルマは全て量産車を改造したクルマ。すなわち当
時の国際車両規則でいうところのグループ1からグループ4まで。あとは小さ
なバックヤードビルダーが作り上げた軽自動車のエンジンを搭載したグループ
9にあたるフォーミュラカーFL500と、自動車メーカーが外国製の部品を
取り寄せかろうじて作ったグループ6のスポーツプロトタイプと日産R380
のようなグループ7に該当する2座席レーシングカーしかなかった。

ちなみにグループ1の定義は改造範囲の限られた量産ツーリングカー。ただし
ほとんどストックの状態ではサーキットを走ることもおぼつかないクルマしか
持たなかった日本の自動車メーカーは、より改造範囲の広い特殊ツーリングカ
ーのクラスにワークスチームを参加させる。いわゆるグループ2である。日産
がサニーやスカイラインGTR、トヨタがカローラやセリカ、マツダがRX3
(サバンナ)を走らせていた。

グループ3は改造範囲がグループ1に準じる量産グランドツーリングカー。ツ
ーリングカーが最低4座席を求められるのに対しグランドツーリングカーは2
座席。ここでもメーカーは改造範囲の広い特殊グランドツーリングカーに社運
をかけてマシンを送り出す。当時のグループ4には唯一日産のフェアレディ2
40Zが参加していた。

F1や当時のF2、F3が該当するグループ8は欧米でも別格の存在だったが、
それでも先進国はグループ1からグループ9までのカテゴリーを巧みに使い分
け、モータースポーツ市場は際限なく拡大しつつあった。

まだクルマを持つこと自体がふつうではなかった70年代初期。最も手軽なレー
スがアマチュアクラブが始めたグループ1のレース。足回りの改造しか許され
ないグループ1。その名もノーマルカーレース。それでも日本自動車連盟の規
則でロールバーや安全燃料タンクを備えなければず、当時の水準からすればか
なりの出費を強いられたものだ。

結局日本のどこにも、欧米から取り寄せた雑誌に乗っている『泥臭いけどだれ
でもが参加できるような手軽なレース』はなかった。

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川口吉正が心配そうに見つめる横をレッカー車のウインチに引かれたポルシェ
が登ってくる。すばやく状況を確認する。タイヤがバーストしている。FRP
のカウルが欠けているところがある。しかし見た限りではそれほどひどいダメ
ージはない。多分。多分明日は走れるだろう。

「良かった!」別に自分のクルマではないけれどそう思う。何事かはないほう
がいいに決まっている。

ポルシェが去った後コース上に出た泥と草を箒で掃く。「ここのラインはアウ
トだから誰かが乗っちゃうといけないからな。」

箒を動かすたびに水しぶきが上がる。雨が降り続いていることに改めて気付く。

=== 続く ===

※文中のドライバーの敬称は略してあります。

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