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Go ★ Circuits No.132 (05/07/02発行)

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【132号の目次】

◎ YRSウェブサイト更新

■ 5月11日パッセンジャーライド申込み受付中

○ 筑波サーキット公式ドライビングスクール

▲ YRS感謝デー、吉田塾参加申込み受付中

☆ ハウツゥスタート オーバルコースドライビング

★ コーナーの向こうに 第六話 青春の旗 第12回 トム ヨシダ

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◎ YRSウェブサイト更新

> 歴代タップタイム更新
筑波1Kのラップタイムを速い順にソートしました。入校の時点で655名の
ラップタイムが掲載されています。
http://www.avoc.com > Lap Time of Record > 筑波コース1K

> 5点式シートベルトを特価で販売中
アメリカGフォース製の5点式ハーネスを送料込み16、000円で販売して
います。数に限りがありますので希望される方はお早めに。
http://www.avoc.com > Merchandise > 通信販売

> オーバルコース歴代ラップタイム掲載
筑波ツーデープログラムで初めて行ったYRSオーバル走行。2日に開催した
筑波ドライビングワークアウトのタイムと合わせてベストタイム、左回りベス
トタイム、右回りベストタイムを掲載しました。
http://www.avoc.com > Lap Time of Record > Oval Course

> 筑波ツーデープログラムレポート掲載
ユイレーシングスクール初の2日間スクールの模様を掲載してあります。
http://www.avoc.com > Report > スクール

> 第1回筑波ドライビングワークアウトレポート掲載
筑波サーキット公式ドライビングスクール第2弾が始まりました。1回目のレ
ポートを掲載しました。
http://www.avoc.com > Report > ワークアウト

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■ 5月11日パッセンジャーライド申込み受付中

筑波エンデューロ第2戦の参加が少なく開催中止も検討しましたが、最終的に
予定通り行うことに決定しました。ただ4台で2時間コースを占有するのは非
効率的ですので、再度パッセンジャーライドを行いたいと思います。

もちろん筑波エンデューロへの参加も引き続き募集しています。普段着で参加
できる耐久レースに参加してみたい方は申し込んで下さい。

パッセンジャーライドは次の要領で行います。ユイレーシングスクールが3台
の車両を用意します。それぞれの車両をYRSのインストラクターが2時間運
転します。パッセンジャーライドに参加される方は1スティント26分前後の
間助手席から耐久レースの雰囲気を味わうことができます。

インストラクターが運転中にクルマを安全に速く走らせる方法やレース中の他
車の動きについて解説しますのでドライビングスクールとしても価値がありま
す。

参加費は1人1スティントで5、000円です。お一人で何スティント乗られ
てもかまいません。もちろんどなたでも参加できます。ただし18歳以下の方
は親権者の同意書が必要です。

パッセンジャーライドに参加を希望される方は、パッセンジャーライド希望と
件名に書き本文に氏名、年齢をお書きの上メールで申し込んで下さい。

mail@avoc.com

折り返し確認の連絡をします。

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○ 筑波サーキット公式ドライビングスクール

筑波サーキット公式ドライビングスクールの第2弾、筑波ドライビングワーク
アウトの第1回が終りました。21名が参加。カーコントロールに特化したカ
リキュラムを堪能しました。

各参加者がどのくらいのタイムで周回したかはウェブサイトに掲載してありま
すのでご覧下さい。また筑波ツーデープログラムの結果と合わせて歴代オーバ
ルコースタップタイムも掲載しました。どちらの場合も「エッ、こんなクルマ
が!」というようなクルマがカナリ速く走っているのに驚かれると思います。
一度内法で176.5mのオーバルコースをどのクルマがどんな速さで走るの
かご覧下さい。

カリキュラムはスレッシュホールドブレーキングでトランジッションと過重移
動、踏力の調節を練習します。続いて2個の異なる形状の定常円を使って加速
→減速→旋回→加速の流れをリズムをもって行う練習をします。形が違うので
走り方も変えなければなりません。走っているうちに求められるものが見えて
きます。

午後からは1個の定常円を使いより速い速度で連続走行する練習を行います。
午前中の比較的速度の遅いオーバルコースに比べて求められるものが異なりま
す。速くなればクルマの状態をより正確に把握する能力が求められます。都合
3種類のオーバルコースを走りますが、全て理想的な走り方は異なります。

テクニックはもちろんですが、運転手がいかにコースに合わせた操作をするこ
とができるか、アダプションが速さを決めます。

ぜひ筑波ドライビングワークアウトに参加してみて下さい。ご自分の操作はも
ちろん、クルマの動きに対する理解度を計る目安となります。

> 筑波ドライビングワークアウト開催案内
http://www.avoc.com > School > ワークアウト

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▲ YRS感謝デー、吉田塾参加申込み受付中

5月19日に開催するYRS感謝デーの参加申込みを受付中です。今年はさつ
まいもの苗植えを行います。秋に収穫して『焼き芋』を食べるのが目的です。
バーベキューを食べながらの懇親会もあります。もちろんどなたでも参加でき
ます。ご家族連れで、あるいはお友達と参加して下さい。

> YRS感謝デー開催案内
http://www.avoc.com > SCHOOL > その他のイベント

5月4日の吉田塾は参加は6名でした。サーキットを走ったことのない方の参
加もありました。吉田塾ではクルマの運転に新しい価値観を提供することを目
標にしています。毎月2回のペースで開催していますので、クルマの運転に疑
問をお持ちの方は参加してみて下さい。ご自分の走りを撮影したビデオをお持
ちになれば○と×の理由を解説します。

> 吉田塾開催案内
http://www.avoc.com > SCHOOL > 吉田塾

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☆ ハウツゥスタート オーバルコースドライビング

筑波ツーデープログラムと筑波ドライビングワークアウトに参加した方、延べ
56名が1周176.5mのオーバルコースを体験しました。いろいろな走り
方を見せてもらいました。けっこう簡単に速く走れるようになった人もいれば
、クルマとの折り合いがつかず悪戦苦闘している人もいました。これからもデ
ータを蓄積してオーバルコースレースをひとつのジャンルとして確立していき
たいと思います。

さて、YRSオーバルコースの計測は手動で行っています。ジムカーナ場の計
測装置は連続したラップの計測ができないため、ラップトップにユイレーシン
グスクールのスタッフが開発したプログラムを入れて計測しています。ですか
らタイムが1000分の一秒まで正確かというとそうではありません。しかし
熟練したスタッフが計測していますから、10分の一までしか計測されない場
合より真のタイムに近くなるはずです。計測ソフトは光電管の入力にもに対応
していますが、今後しばらくは手動で計測しえいこうと考えています。

2回分のタイムでところどころに「歯抜け」があるのは計測ソフトの問題では
なく入力の問題です。今後は同様の問題は避けられるはずです。

さてさて、どちらの日もジムカーナ場のガードレールの内側からオーバルコー
スを走る2台のクルマを見ていた方は、大げさではなく『歴史的事実』を目に
したはずです。「運転手の速さがクルマの速さを上回った」という日本のモー
タースポーツでは過去に見られなかった事実です。

4月28日は足を固めた280馬力のFRスカイラインを120馬力のシトロ
エンサクソが追い詰めました。2日はノーマルのビッツが大排気両車に劣らな
いラップタイムで周回しました。サクソの場合もビッツの場合もクルマの性能
のかなりの部分まで引き出すことに成功したからです。そう。クルマの性能を
キチンと使えばクルマは速く走ることを証明したわけです。

逆に、オーバルコースはパワーがあるだけでは速く走れないのです。足が固め
てあるからといってその性能を使うことができるとは限らないのです。

オーバルコースのターン1とターン3にはトレイルブレーキングの要領で進入
します。すなわち過重を前にかけることで相対的にフロントのグリップを増し、
より高い速度(前過重でなければ到底クルマが曲がらない速度)で進入します。

YRSオーバルを体験された方はフロントに過重を移動することで「前輪が太
くなるた」ことが良くわかったと思います。なにしろターンインでアンダース
テアを出していた人はいなかったのですからたいしたものです。

ところがです。問題はその後です。ターンインしてからクルマの向きを変える
区間でまだ性能を目いっぱい引き出せないでいるのです。どの区間かというと、
オーバルコースは180度コーナーですから、イメージ的にはターンインから
角度にして60度ぐらいまでの区間です。この間ではタイヤが『コーナリング
フォースとマイナスのトラクションを発生』しています。タイヤは横方向と進
行方向の2種類の仕事をしていることになります。理想的にはクルマの向きが
変わるまでコーナリングフォースとマイナスのトラクションの和が常に連続し
て10になるように(100でもかまいませんが)変化しつづけることが求め
られるのですが・・・。

しかし、はたから見ていると連続して10のまま走っている例は非常に少ない
のが現状です。どんな塩梅かと言うと、ある瞬間に10になったかと思うと次
の瞬間に7になる。あるいは8で入ってきたのに突如12になって外にはらん
でしまう。7になったり11になったりするのであれば、そこはそれ、足して
9なら維持できるのであればずっと9で進入するほうが速い。9が無理なら8
でもいい。クルマの向き、すなわちモメンタムの方向を変えるということはそ
ういうことです。クルマのバランスを崩さないことが全てです。

なぜ一定の数値を保って進入できないのか?それができればコーナリング速度
は飛躍的に高まります。どうすればタイヤのグリップが摩擦円の円周上を移動
するように操作できるか?一度考えてみて下さい。

ヒントは「クルマは連続して姿勢を変えている」ということです。

理論的に言えば頂点の前後はタイヤのグリップの100%をコーナリングフォ
ースに使わなければ損なのに、まだマイナスのトラクションがかかっていたり、
場合によってはスロットルを開けてしまっているためにトラクションがかかっ
ていたりします。どちらの場合もタイヤの性能を全てコーナリングフォースに
使っていないことはおわかりいただけると思います。これはロードコースのコ
ーナーにも当てはまる話です。

2回のオーバルコース走行を見ていた限り、10ではないけれども限りなく1
0に近いところをで足し算と引き算を繰り返しながら進入していた例がなかっ
たわけではありません。しかしオーバルコースの課題は、初めの30度だけに
あるわけではないのです。進入が終ったとして話を進めます。

先にも述べたように頂点前後ではタイヤが「100%横向きの仕事をするよう
に仕向ける」のが理想です。ところがそれができない。どんなことになってい
るかと言うと、トレイルブレーキングで入ってきたクルマが減速を終えた時、
つまり過重が前から後ろに移動し始めた時、実際の操作ではブレーキをリリー
スした時です。この時の速度が落ちすぎてしまっているのです。つまり横方向
の加速度しかタイヤに加わっていないとしても、速度が低い→遠心力が少ない
→タイヤに十分なコーナリングフォースが発生していない、という限界走行と
は程遠い状況に陥っているのです。10であるべきなのに8でしかない。ある
いは9でしかない。当然クルマの性能を目いっぱい使えば達成できる通過速度
よりも遅いことになります。

でも、8にしろ9にしろターンの中間でイーブンスロットルにできるのはいい
ことです。それ以前にはクルマが減速していました。これからクルマは加速に
移ります。ですからその間のトランジッションとしては、クルマは加速もしな
い減速もしない状態であるべきなのです。あとは速度の最低点である頂点前後
の通過速度を高めることが課題です。

さて、クルマはターンの3分の2ほどを回り加速に移ります。いわゆるターン
2とターン4の区間です。できるだけ速いペースで周回するためにはできるだ
け早くスロットルを開ければいいのは言うまでもありません。実際、ツーデー
とTDOではほとんどの方が積極的すぎるぐらい(!)にスロットルを開けて
いました。ところがです。最初の60度と同じくタイヤには複合的な力が働き
ます。今度はコーナリングフォースとプラスのトラクションです。再び『連続
して足して10』の走り方が求められます。

今のタイヤは性能がいいですから、FRと言えども「積極的にスロットルを開
ける」ことがあっても容易にリアがスライドすることはありません。しかし駆
動輪と操舵輪が同じであるFFの場合は事情が違います。「積極的なスロット
ル」では間違いなく10を越えます。この区間は駆動形式に関係なく、やはり
連続して常に足して10である操作をする必要があります。慌てなくても、タ
イヤがコーナリングフォースを発生する必要がなくなれば、ほら、トラクショ
ンにタイヤのグリップの全てを振り分けられるでしょう。『早く踏めば速い』
と思うのは錯覚です。

さて、180度のコーナーの進入から脱出までを振りかえって見ましょう。結
論から言えば、入り口から出口まで10で走った場合が間違いなく最速です。
サクソもビッツも限りなく10に近いところで連続して操作ができたからこそ
速かったのです。ということは、そうしていなかった方はまだまだ速く走る余
地があるということです。

最初から上手い運転手はいません。テーマを持って運転するからこそ上達への
道が開けるのです。ロードコースを速く走るためにもぜひTDOのカリキュラ
ムを利用して下さい。

筑波サーキット公式ドライビングスクールであるドライビングワークアウトは
次のような方にうってつけです。
・免許取りたての方
・サーキットのラップタイムが頭打ちになっている方
・ガールフレンド(ボーイフレンド)に運転が雑だといわれる方
・クルマなんて感覚で走らせるものだと思っている方

筑波ドライビングワークアウトと受講すると間違いなくクルマへの理解度が高
まります。今まで気付かなかったクルマの潜在性能を見つけることができます。
ぜひ参加してみて下さい。

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★ コーナーの向こうに 第六話 青春の旗 第12回 トム ヨシダ

110Rから遠く離れた1コーナー。ストレートを全開で駆け抜け1コーナー
の手前でブレーキングとダウンシフト。2コーナーに向けて減速度を低め体制
を立て直して再度ブレーキングとダウンシフト。長い3コーナーに備える。

コース図でみればひとつにつながったような1〜3コーナーも走ってみると様
相を一変する。奥へ行けば行くほど曲率の小さくなる複合コーナー。途中で下
りから上りに転じる路面。カントはついているがラインによってはその恩恵を
こうむれない。

9周目に入った1コーナーで起きたことをポストにいては知る由はない。ヘア
ピンで聞こえる実況放送もマシンのエキゾーストノートとタイヤがかき分ける
水音でかき消される。ただ、ただ来るべきマシンが来ないことで何かがあった
ことだけを知る。

「マシントラブルならあきらめもつくけど飛び出したりからんだのなら悔やま
れるよなぁ。」

次から次へと現れる追いぬきシーン。ヘアピンの進入で遅いマシンにつかえる
と速いマシンにとっては致命的なダメージになる。なんとか110Rまでに抜
いてしまおうと速いマシンは鬼神のごとくノーズをもたげて襲いかかる。青旗
を静止で提示しようか振動でだそうか瞬時に判断しながら、頭の中では何かが
あったに違いない東コースを想う。

突如、来るとは思っていないマシンがデグナーから現れる。「エッ!」驚く。
ノーズにバンキーと書いたオレンジ色のツーシーター。高武のマシンだ。「何
があったんだ!」あれこれ想像するがいっこうに具体的なイメージは沸かない。

実は。9周目の1コーナー。テールツーノーズで1コーナーに入ろうとした鮒
子田シェブロンと高武シェブロンが接触。鮒子田がコースアウトしてガードレ
ールにクラッシュ。高武はマシンにダメージもなく走りつづけたという。

「鮒子田がインを開けたもんだから高武がねじ込んでさ、それで右前で鮒子田
を押しちゃったんだ。一度立てなおしたんだけどお互いにバランス崩している
からもう一度接触して鮒子田が飛んじゃったんだ。」レース後に1コーナーに
詰めていたオフィシャルに一部始終を聞く。

相変わらず目の前をひっきりなしにマシンが過る。雨は降り続いている。旗が
重い。右手がしびれる。振っていると握力が旗がすっぽ抜けそうになるのをこ
らえて振り続ける。

走っているペースから順位逆算する。「遅れてきた高武も周回遅れにはなって
いないから2位だ。黒澤の240Zはペースが落ちているからセリカRの高橋
晴邦のほうが前に出てるな。永松で高武で長谷見、高橋か。黄色い西野弘美の
240Zも速いけどどのくらいだろう。さっき黒沢より先にでてきたから5位
かな。」

落ち着いてレースを俯瞰すればおぼろげながらに順位はわかる。50台ものマ
シンが走っていても上位を行くマシンには勢いがあるから、遅いマシンと区別
するのはたやすい。

高武シェブロンと永松ローラの間隔が縮まっている。トップを行く永松が差を
詰めて高武を周回遅れにしようとしている。「全車周回遅れってわけだ。」

雨があがる。しかし気温は低い。路面はまだヘビーウエット。それでも永松が
駆るローラT290のペースがあがる。高武に比べて格段にスムースなのだが、
それでいていとも簡単に遅いマシンをかき分けて前に進む。

ソレックスのサイドドラフトキャブを装着した2TGエンジンを搭載したセリ
カRの高橋もペースを上げている。「1.6リッターで240Zと同じペース
で走るんだから足がいいのかな?」そのセリカの背後に西野240Zが忍び寄
る。極端にスピード差があれば青旗を出すのはむしろ簡単だ。しかし同一ラッ
プを走っているマシンには原則として青旗は提示しない。青旗はオイル旗のよ
うな警戒フラッグではなく規制フラッグ。提示されて道を譲らなければペナル
ティの対象にもなる。だから提示する場合の判断が重要になる。

ひどい雨の中の練習で面圧を上げるためにラジアルタイヤまで試した西野24
0Z。ワークスカーではないがいつもワークス勢と同じような速さで走る。

「さっきセリカは110R進入で240が立体交差の下。今は240がガード
レールの切れ目だからかなり追いついているな。」同じラップで直接順位を争
っているマシンがいる時に最も神経を使う。周回遅れになるマシンがどちらか
の一方に対してだけ動くシケインになってはいけないからだ。直接対決の2台
には自由に競争できる状況を創る。それもオフィシャルの仕事。

デグナーカーブから110Rまでには直線がある。曇り空の下でマシンを見分
けることは難しいが、見通しは効く。ストップウォッチで間隔を測る必要もな
い。何周か見ていればだいたいそのマシンがデグナーに現れるのを予測するこ
ともできる。

セリカがデグナーに現れる。前の周に「次には240がセリカを抜いてくるだ
ろうな。」と判断したばかり。しかし黄色い240は現れない。「ピットイン
か?いやまだ20週過ぎだろう。何かあったな。」

デグナーに目を凝らしていると鮮やかな赤のツーシーターが現れる。直後にオ
レンジ色のツーシーターが食らいつく。「永松が抜いたな。ダンロップを抜け
てから抜いたんだ。これで永松がレースを作るぞ。」

まだ2時間は経っていない。また雨が振り出した。濡れるのがイヤだと思うと
全てが億劫になる。濡れるのが当然と割り切る。しかし旗は重い。頃合いを見
計らって丸めて絞ってみるが気休めにしかすぎないことに気付く。

「しっかし頑張るもんだよなぁ。なんでこんなに集中し続けられるのかね。」
なぜか他人事のように自分を見つめている。おかしなもので、ひっきりなしに
走っているマシンの流れが突然途切れることがある。その瞬間。自分の意識が
確かなのに気付く。

=== 続く ===

※ 文中の登場人物の敬称は略してある場合があります。

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