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Go − Circuits No.41 (09/03/00)
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★ ★ ★ 一周年記念増刊 第三号 ★ ★ ★
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【No.41の目次】
□ トム ヨシダの丸秘テクニック その1
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ご承知とは思いますが、元々ボクはクルマ関係の記事の執筆・企画を生業とす
るジャーナリストです。現在は記名原稿をほとんど書いていませんが、カーグ
ラフィック、オートスポーツ、カーボーイなどに、その昔はドライバー、メン
ズクラブ、ゴロー、ミスターダンディ、オートテクニックなどに記事を送って
いました。(最後の4誌は過去のものなので、若い方は知らないかも知れませ
ん。)
自動車雑誌の仕事となるとテストがつきものです。市販されたばかりの量販車
からレーシングカー、はては水陸両用車なんてクルマも試乗しました。
量販車はメーカーの広報が用意してくれる広報車をテストするだけですから、
編集会議で担当にさえなればあとは試乗してレポートを書くという作業を残す
だけです。
それに比べ、レーシングカーや公道を走行できるクルマでもいわゆるワンオフ
のモデルは試乗にこぎつけるまでにも解決すべき問題があります。試乗する場
所の確保などもそのひとつですが、最たるものは運転技術に対する信頼です。
いずれの場合も大切なクルマを試乗に提供してくれるわけですから、試乗する
人間が信頼されていなければテストすること自体おぼつきません。
ですが、運転技術と言っても「速いドライバー」である必要はないと考えます
。事実、ボクは自分がそれほど速いドライバーだとは思っていませんし、ボク
より速い「物書きドライバー」はたくさんいます。
最も大切なことは、運転テクニックではなく運転に対する姿勢、運転に対する
意識、運転に関する感受性などの総合技術だと思います。
幸なことに、企画を立てた段階でボクに大切なクルマをゆだねてくれるオーナ
ーが100%でした。もちろん過去の実績(レースではなく執筆活動の)も大
切ですが、ボクの場合は消費者代表として試乗する姿勢をかってくれたのだと
いまでも思っています。
そう。ボクはテクニックも大事だけれど、運転に対する意識や姿勢はもっと大
切だと思っています。
と、堅苦しい話はこれくらいにして・・・。
自画自賛になるかも知れませんが、ボクほどレア物に試乗したジャーナリスト
はいないと思います。どうやって試乗に望むかと言う「丸秘テクニック」はも
う少し待っていただいて、「世界にはこんなクルマもあるヨ」という紹介を交
えたボクの試乗暦の一部を先に。
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◎ 最も速かったクルマ:イーグルMKIV(トヨタGTP)
アメリカのIMSAというスポーツカーシリーズのチャンピオンマシン。マニ
ュエル・ファンジオがチャンピンに輝いた時のマシンに試乗しました。カーグ
ラフィックの記事を書くため、アリゾナ州のフェニックスレースウエイ試乗し
ました。
形はルマン24時間に出場してるプロトタイプスポーツカー。このマシンは当
時米国トヨタのワークスチームだったダン・ガーニー率いるAARが製作した
もの。2.4リッター直4エンジンにツインターボ。リストリクターで吸気制
限を受けていても出力は650馬力。トランスミッションは6速シーケンシャ
ル。
※ このクルマはすごかった。特に200Km/hで2.3トンを発生するダウン
フォースは圧巻。つまり車重は800Kg強だから、スピードに乗れば天井を逆
さになっても走りつづけることができる寸法。
# 2速全開まではよかった。鉛筆より重いものをもったことのないか細い腕(
?)でもステアリングを切ることはできた。ところが3速全開モードに入ると
、とたんにステアリングが重くなる。スリックタイヤが温まってグリップを始
めたせいもある。とにかくマシンが地面に張り付いている感じ。スピードさえ
でていればどこをどう走ってもオンザレール。特に高速からのブレーキングは
「ガン」と踏んでも全く外乱を受けず唖然。
加速はもっとすごい。狭いコクピットに押し込められているとは言え、全体の
大気そのものが加速して移動する感じ。言うなれば高速エレベーターを水平に
動かすようなもの。でも楽しかった。ヘアピンを立ち上がって2速からシフト
アップしていく時、まさに空気を「切り裂いていく」感じが良くわかった。そ
して気持ちよかった。
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◎ 最もパワーのあったクルマ:NASCARカップカー
アメリカのレースといえばストックカー。その頂点が今やメジャーリーグやN
BAをもしのぐ視聴率をかせぐNASCARウインすトンカップ。試乗したの
はシボレーモン手カルロ。とは言ってもフレームは鋼管で、オリジナルパーツ
は屋根とボンネットのシートメタルだけ。エンジンは昔懐かしいOHV(プッ
シュロッド)で5.7リッターV8。出力は8000回転で720馬力。(O
HVですヨ)トランスミッションはたった4速。
※ このクルマもすごかった。試乗したノースカロライナ州のシャーロットレー
スウエイ(1周2.4Km)用にセットされたマシンの最高速は310Km。
12対1というスローなステアリングギアにはパワステが付いていて高速コー
ナー(とは言わないが)で微妙なステアリングワークができる。
# シャーロットのバンクは18度。大きさは日本のもてぎと同じだが、ターン
の傾斜が違う。オーバルコースは走り出したら4速に入れっぱなしだからステ
アリングとスロットルとブレーキに専念できる(ボクはデイル・アーンハート
ばりに左足ブレーキを使った)。と言っても、ストレートを走ってきて18度
のバンクを見ると、これが壁。スピードが乗ってくると先を見るためにサイド
ウインドから目線を送ったほど。
ラインさえ見つければステアリングをあまり切らなくてもターンインするが、
フロントがバンクにかかった瞬間の挙動は・・・。行けども先の見えないター
ンの中ではふだんの横Gに加えてお尻がどんどんしずんでいくような感じの垂
直Gも発生。1.5トンと車重の重いこともあって動きは緩慢だが、安定感は
抜群。
どの回転でもスロットルを開けると同じように首がのけぞったパワーにも感動
。けど、カップカーで500マイルレース(800Km)を常に全開で戦うに
はマシンの挙動をもっと繊細に感じる能力が必要だと実感。
直結のリアシャフト、右ネガティブ・左ポジティブのフロントキャンバー。右
後ろのサイズの大きいリアタイヤ。左コーナー専用に作られたマシンの特性に
も納得。ホント楽しかった。そしてあのGが快感。
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◎ 最も比出力にすぐれたクルマ:エドモンド/フォード ミヂェット
アメリカのモータースポーツのルーツはこれ。1930年代にチャンプカーと
呼ばれていたインディカーのエンジンを半分にして始まった登竜門レース用の
マシン。現在でもUSACをはじめいくつかの団体がミヂェットレースを公認
している。基本はダートトラックだが最近ではペイブドでもレースが行われて
いる。最長で1マイル(1.6Km)、通常はクォーターマイル(400m)
ダートで争われるレースだ。
試乗したのはエドモンド製シャーシにエスリンガーチューンのフォードエンジ
ンを搭載したマシン。エンジンはナチュラルアスピレーテッドだが、14.5
の高い圧縮比とメタノール燃料で2200ccから320馬力を搾り出す。ト
ランスミッションはなく直結(クラッチもない)。シャーシは鋼管スペースフ
レームでサスペンションは前後ともライブアクスル。カリフォルニアのウイロ
ースプリングのクォーターマイルダートで試乗した時は、リアタイヤに11イ
ンチ(28センチ)のスタッガーがつけられていた。車重は550ポンド(2
48Kg)だからパワーウエイトレシオは0.775Kg/hp。こんなマシン
が400mのショーとオーバルを11秒台で走る。
※ 今時量産車でも珍しいFR。ドライブシャフトをまたぐ形で着座。ポジショ
ンは小学校の椅子のように直立。右スロットル左ブレーキの足元は踏み返るこ
ともできないほど狭い。いったん押しがけで走り出してしまえば、あとはシフ
トの心配もいらないから楽だ、なんてことはない。このエンジンフライホイー
ルがついてるの? と聞きたくなるようなすさまじいレスポンスとあいまって、
右足にマシンが反応することすること。右足に命令を出す前にマシンが動いて
いる!!
#ステアリングを右にあててない(切るのではない)と、スタッガーのせいで
左に向いて加速を始めるマシン。ターンの出口では、確かに、加速すれば左に
向かうから都合がいい。ターンが迫り左足をブレーキペダルの上に置く(踏む
のではない)と、前輪は左にしかブレーキがついていないから瞬時にノースが
左を向く。どんな状況でも常に左に回るように作ってあるのがミヂェット。ク
ルマさんの性格をつかむまではギクシャクしがちだが、いったんお友達になっ
てしまえば「これほど左に曲がることが楽しかったのか!」と目から鱗。そし
てダートのミヂェットこそ、速く走るためには「クルマさんが走りやすい状況
をつくってあげる」というボクの持論が絶対に必用だということを証明する最
適のマシンだった。
グリップのいいダートだとウイリーしてしまうほどのマシン。見た目・古典。
印象・ワイルド。感想・繊細ならば乗り易い。今までで一番ニヤケテイタ試乗
だったとカメラマンが言っていた。とにかく楽しいかった。
(注)
ミヂェットの全てを説明したAVOCのオリジナルビデオを販売しています。
もちろん日本語です。ボクがプロデュースしました。
http://www.avoc.com/mailorder/
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● 他にも、サスペンションストロークが17インチ(43センチ)もあるオフ
ロードピックアップ(アメリカのスタジアムオフロードレースのチャンピオン
マシン)とか、アマチュアレース用に作られたモーターサークルのエンジンを
搭載したレーシングカーとかにも試乗しましたが、またいずれの日にか。
● 上の3つのマシンは、カーグラフィックの記事になっています。
● 正直言って、自分で経験したことのないマシンに乗ることはかなり難しいこ
とです。まず絶対に、どんなことがあっても、自分が怪我をしてでもマシンを
壊すわけには行きません。次にダラダラ走っていたのでは正確な記事をかけま
せん。しかも限られた時間の中で試乗するのが常です。
ですが、それなりに自分のルールを作ってしまえば、実はどんなクルマであろ
うと、サーキットであろうと公道であろうと、安全にそこそこの速さまでは到
達できるのです。
ユイレーシングスクールでは、実は、それを教えているのです。
● 一周年記念増刊号の最後は、トムヨシダ流「クルマとお付き合いを始める方
法」です。ご期待下さい。
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