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Go ★ Circuits No. 82 (03/22/01)

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【 82号の目次 】

☆ SOLD OUT ”AGAIN”!

● 筑波エンデューロ参加申し込み受付け中

△ 道のりは長い!

○ コーナーのむこうに。 第三話 WIR 番外編

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☆ SOLD OUT ”AGAIN” !

第3回筑波サーキットドライビングワークショップの参加申し込みが定員に達
しました。

今回は申し込まれた方のうち12名がサーキットを走ったことのない方です。
1時間以下に限れば半数以上になります。スポーツドライビングを楽しむ仲間
が確実に増えていることを非常に嬉しく思います。

もちろんすぐにクルマを自由に操れるようになるわけではありませんが、進む
方向さえ間違っていなければ、どなたでも必ずクルマさんとお友達になれるこ
とを保証します。

筑波サーキットドライビングワークショップを出発点にいろいろな所でクルマ
を無事に楽しんでもらえれば、日本に単身赴任(!)で来た甲斐があるという
ものです。

4月10日に申し込まれた方、お会いできるのを楽しみにしています。
薄い(?)口髭と薄い(!)髪の毛が特徴です。当日は遠慮なく声をかけて下
さい。(トム ヨシダ)

※ 3月13日に行われた筑波サーキットドライビングワークショップに参加さ
れた方にお送りしたアンケートの集計結果をサイトに掲載してあります。

いろいろな意見がありますし、様々な見方があります。句読点以外は加筆訂正
することなく掲載していますから、参加された方の生の声を聞くことができま
す。他人の意見を聞くことも「速さ」と「安全」に繋がります。ぜひ一読を。
http://www.avoc.com/data/contents_data.htm

筑波サーキットドライビングワークショップはジムカーナ場とコース1000
を使ったユニークなドライビングスクール。クルマさんとお友達になるにはう
ってつけのプログラムです。
http://www.avoc.com/school/program/tdq/rule_tdq2001.htm

4月の開催はあと24日(火)を残すだけです。22日現在で8名の方が申し
込まれています。安全にサーキットデビューを果たしたい方、ぜひお早めにお
申し込み下さい。サーキットを走りながらも疑問をお持ちの方もぜひご参加下
さい。

# 4月に受講される方には、ユイレーシングスクール主催筑波タイムトライア
ルの参加費が割引きになる特典があります。

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● 筑波エンデューロ参加申し込み受付け中

4月28日に第1回YRS筑波エンデューロを開催します。規則書は以下の頁
にありますが、問合せのある細則について説明します。

・レースは120分耐久レースです。
・ライセンスの必要はありません。
・参加募集台数は15台です。
・参加車両のクラス分けはありません。
・Sタイヤ装着車両も参加できます。
・1チーム2〜4名のドライバーが登録できます。
・レース中に全チーム3回のピットインを義務付けます。
・1回のピットインは全チーム2分とします(計測します)。
・レーシングスーツ着用の必要はありません。
・給油は全チーム1回のみ。20リッターまでとします。
・オープンカーのロールバーの装着は望ましいですが、必ずしも義務付けでは
ありません。

現在まだ筑波エンデューロの参加申し込みがありません。前回のメールマガジ
ンでお知らせしたように、3月31日までに9台の申し込みがない場合はプロ
グラムを変更しようと思います。

◎>>>>>
参加してみようと考えている方は、できるだけ早く参加費を払い込む前にメー
ルを下さい。参加の意思のある方と打ち合わせながら、日本初の「町乗り車に
よる耐久レース」を成功させたいと思います。

DMは、
mailto:tom@avoc.com

筑波エンデューロ規則書
http://www.avoc.com/school/program/enduro/enduro2001rule.htm

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△ 道のりは長い!

3月13日の筑波サーキットドライビングワークショップが終了した時点で、
ユイレーシングスクールが主催するドライビングスクール、あるいはイベント
に参加していただいた方の総数がちょうど400名になりました。99年12
月9日の桶川ドライビングワークショップ以来の延べ人数です。

考えてみれば大変な数字です。

いろいろな走り方を見せてもらいました。ノーマルのクルマで参加された方も
いました。「レーシングカーでは?」と思うようなクルマも参加しました。

ハッキシ言って、運転のうまい方もいましたし、「クルマがわかってないナ」
と思える方もいました。でもそれでいいのです。上手・下手とか速い・遅いな
んてのあくまでも結果です。人によって違って当たり前のことです。みんなが
みんな「こうでなければ」なんて思うのは錯覚です。

中には殊のほかタイムにこだわる方もいましたが、「たかがクルマの運転にそ
んなに一生懸命になってどうすんの」と思うのも事実です。

大切なのは「クルマをキチンと操りたい」という気持ちです。それがある限り
結果は関係ありません。それがあれば、クルマはこの先ずっと「操る楽しさ」
を与えてくれます。クルマの「されど・・・」の部分です。

参加された方全員に共通して感じたことは、「本当にクルマが好きなんだ」と
いう気持ちです。

でも、あえて言うならば「頭を使って走ってないナ」、「工夫が足りないナ」
、「クルマがもったいないナ」と思ったことも正直なところです。運転してい
る人の顔が見えないのです。何を目的に操作しているのか、意思の伝わり方が
希薄なのです。

これこそ、常日頃お話している「ハードが優秀すぎるための弊害」です。クル
マの影に「本来の主役」たる人間が隠れてしまっているのです。もったいない
話です。

クルマを走らせることができる人は、非難を承知で言えば、例え障害者の方で
も「運転を楽しむ」ことはできます。問題があるとすれば、自分の経験と知識
にみあった「それなりの運転」をおろそかにしていることだけだと断言できま
す。

頭を使うことと工夫することにはお金がかかりません。パーツを買うために費
用を捻出しなくてもいいのです。それこそユイレーシングスクールが目指すと
ころです。

参加400人記念の話が変な展開だなと思われるかも知れませんが、区切りと
して正直な感想を述べた次第です。

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○ コーナーのむこうに。 第三話 WIR 番外編

当面のライバルはダッツン210サニーとアルファロメオGTV。

ダッツンは名機と言われたA12エンジンを米国日産のセミワークスであるエ
レクトラモーティブ(後にデイトナ24時間レースで優勝したGTPを開発し
た会社)がチューン。聞くところによると、流用できるチタン製の部品が使わ
れているとか。

アルファはなんと言ってもそのエンジン。A12やスターレットの3Kエンジ
ンがプッシュロッド(OHV)なのに比べ、押しも押されぬツインカム。

確かにハード的には劣るところはあるけれど、だからと言って「レースの結果
」が全てそれで決まるわけではない。排気量はともに1300cc。優劣はあ
るだろうが,スポーツカーと軽自動車というわけではない。

∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞

多い年には年間22レースに出場するが、予選1位を取ったことは稀。

32歳の後半にあこがれのレースにデビューした時、既に自分の中に明確な指
標が生まれていた。それは、速く走ることも大切だが、それよりも大事なのが
「人と競り合って勝つ」という意識。言葉を換えれば、速くなくてもいいから
強いドライバーになりたい、それだけだった。

いつも予選のタイムと結果には頓着しなかった。トップグループを走れること
さえ確認できれば、走るのを止めた。出費を抑えなければならない台所事情も
あったが、予選を早々に切り上げる最大の理由は「自分にテーマを課す」こと
。自分自身に「自分にできることの中で工夫して相手に勝つ」意識を明確に創
りあげることにあった。

我がクルーチーフは若干異なる見方をしていた。家計を預かる身なのにと思っ
てしまうのだが、「どうせレースやるんだったらブッチギリで勝てば!」と言
う。「ホントにけちなんだから!」とのたまう。

でもそれはペケだ。

クルマの運転は難しい。運転するだけでも難しい。

無制限に体制を強化したら、速く走れても「何が理由で速く走れたのか」がわ
からなくなる。唯一の操縦者である自分の進歩のせいなのか、「速く走れるク
ルマをたまたまうまく操ったのか」わからなくなる。レースがやりたいけどや
れなかった自分にとって、最大の喜びは「自分自身が速くなる」こと。そして
「強くなる」ことだ。それしかない。

頑固なまでに自分のペースでレース活動を続けるのを見て、自分自身ダートト
ライアルに出ていたクルーチーフ兼我が伴侶はいつもあきれていた。

∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞

ストームが来た時以外は雨らしい雨が降らない南カリフォルニア。あるレース
の時、にわかに大雨。

たちまちSCCAのレースに来るグッドイヤーとファイアストーンのサービス
には黒山の人だかり。在庫の少ないレインタイヤの争奪戦が始まる。

ライバルはと言えば、潤沢な活動資金にものを言わせ、早くもレインタイヤを
装着。

焦る。頭がフル回転。「どうすればいいんだ!」

こういう時は座って一服するに限る。でも、「どうすんの?」と横から。確か
にコース上には水溜りが出来ている。排水設備の整っていないLAのフリーウ
エイのようだ。

が、WIRは勾配のあるコース。上り下りがあれば、コーナーにはカントがあ
る。ストレートを除けば「池」ができる確率は低い。第一、アメリカ製レイン
タイヤの溝は深くて広い。日本でレースを取材していた時にも、「あんな大げ
さなレインタイヤ」を見ることは稀だった。ストレートさえまっすぐに全開で
走ることができれば、希望が持てる。

ヨシ。

ある日ダートトラックのレースの取材に行った時、その日サービスに来ていた
ファイアストーンのエンジニアがいたことを思い出した。彼は刻々と変わるダ
ートトラックに合わせてユーザーのタイヤのグルーブを増やしていた。

ソウダ。「リトルジョー」ならグルービングアイアン(電熱製溝彫り器)を持
っているはっずだ。

ごったがえすトレーラーの中でジョーに頼む。怪訝な顔をしながらも「ボクに
とっての生命線」を貸してくれる。帰りしなにタイヤチェンジャーの上にある
タイヤ用のチョークを失敬!

トレーラーに帰るやKP61を馬に上げ、8本しかないスリックタイヤの中か
ら磨り減っている順に4本をチョイス。溝は深く彫りたいが、元々発熱して溶
けるコンパウンドのスリック。雨で濡れた路面で大幅に溶けるとは思えない。
あくまでも想像だが。ならば、減っていないタイヤは次のレースに回そう。

で、どうやって溝を切るとベストか。日本にいた頃見たBSの最新レーシング
タイヤのパターンを頭の中の引出しから引っ張り出す。たしか、縦にグルーブ
が3本。軸方向には斜めにグリービングが入っていた。

フリーハンドでチョークの線を引く。タイヤを1周すると軸方向のグルーブの
間隔がマチマチだ。でも時間がない。グルービングアイアンの刃先を調整し4
分の1インチにする。ちょっと薄いか?

とにかく出走までにわずかな余裕を残した時点で4本のグルービングが完了。
ファイアストーンに持ち込む。

「ジョー、ジョー! ドゥーミー ア フェイバー?」

急いでバランスをとってもらう。ジョーはタイヤを受け取りながら首を横に振
る。「こんなんで走るのか?」とでも言いたげ。

「わかっているよ、ジョー。自信はない。最後までもつかわからない。でも今
は、今はこれが最善の選択だと自分では言い切れる。失敗してもその責任は自
分で負えばいい。」言葉にできないままトレーラーに戻る。

馬に上げてあったKP61の下に濡れるのもいとわず潜り込む。数センチは、
自分の身体が水没する。

時間がない。ヘキサゴンレンチを握り締め、とにかくスタビライザーとコント
ロールアームを切り離す。雨の日はロールさせた方がグリップを稼げる。何か
で読んだか、誰かから聞いたか、それが正しいのかもわからない。でも、そう
すべきだと自分の知識が言う。

スタビが垂れ下がる。「これじゃつっかかるナ。」タイラップで応急処置をし
、タイヤを取りに走る。

腕がだるい。こんなんで走れるのか? 自分自身を冷静に眺めれば、「泣きた
いような気持ちの自分」がそこにいたはずだ。

この時ばかりは、グループ最後にコースイン。

プリグリッドのオフィシャルがタイヤを見て、大げさに両手を広げる。
「イインダ! ワカッテルンダ!」

出迎えてくれるコースワーカーに手を振るのももどかしく、加減速を繰り返し
、この日ばかりはウエイビングも。

ステアリングが軽い感じだ。はたしてうまくいくのか?

2速に落とす3コーナーで、あえてスロットルを開け気味にターンイン。一瞬
直進。「やっぱりなぁ。どうすりゃいいんだろ?」確信はない。

4コーナー。スロットルを開ければお尻がズルッ。「ウェットなせいもあるけ
ど、基本的にはタイヤが温まっていない! 発熱する余地はあるはずだ。」

3速で進むローリングの間中ウェイビングと加減速を繰り返す。

ストレートが見えてきた。が、前方のクルマが加速したとは思えない。フラッ
グスタンドはかすんでいるけど旗も振られてはいないようだ。そのまま進む。

フラッグスタンドのスターターが1本指を出している。珍しい雨に注意を払っ
たのだろう。ローリングが2周になった。高速で動いているワイパーが雫を弾
き飛ばす。

んっ! こころなしか雨脚が弱くなってきたか!

「今日だけだから勘弁」とつぶやきながら、しばらくの間速度を落とし前のク
ルマとの間隔を空ける。前のクルマが1コーナーのアプローチにさしかかる頃
を見計らってフル加速。速度は少し低いがいつものように3速でターンイン。
ロールを感じる。自分でできる範囲では最高にスムースに切ったステアリング
が、グリップを生んだ。

多分、大丈夫だ。結果はわからないが、いけそうな気がする。それで十分。

2周目のストレート。突如水煙が立ち上る。既にこちらは加速状態。2速から
3速。3速から4速。この時ばかりはクルーチーフの声が「美しく」聞こる。

前後を確認しながら左へ寄る。

ストレートから1コーナーはコースの左側が低い。左側の池が深い。しかも1
コーナーは左回り。みんなわれ先にコースの右側に移ろうとする。4速に入っ
ているというのに、ストレートでブレーキをかけるヤツもいる。追突しそうに
なったか。

とにかく1周目の1コーナーはアウトインアウトでなくてもかまわない。とに
かくインにつく。

光っているところが水溜りだ。黒い部分は濡れているだけだ。そんなことも誰
かに聞いたなぁ。あれは小学生の時にいったキャンプでのことだったか?

右側に3列縦隊になってひしめき合っているクルマの群れのほんの少し内側。
4mほど離れたラインで、かつ黒い部分をはずさないように加速する。「4m
も離れていれば、誰もがこっちの存在に気づくはずだ。」

結果的にミドルインになった1コーナー。クリッピングポイントを過ぎてリア
ビューミラーに目をやれば、案の定何台かが回っている。

1台分アウトに空けて立ち上がると、その空間に1台のマシンが。2コーナー
まで併走。でも2コーナーは右回り。ブレーキング手前でイン側のドライバー
を指差して、その指を強く振る。

イン側のクルマが「フッ」と消える。こちらの意図をわかってくれた。1周も
していないのに危険を冒す意味は全く無い。彼も同じ思いだったのだろう。前
のクルマとの距離はあるが、これで1列になれた。「レースはここからだ!」

案の定、小降りになった雨と40台近いクルマが走るせいで黒い部分が圧倒的
に増えだした。レインタイヤを履いているクルマが立ち上がりでテールを振る
。中には曲がりきれずコースアウトするクルマも。

いつもより、いつもよりはるか手前からずっと少ない舵角でコーナリングを始
め、理想のラインに乗せる走り方にも慣れた。思いの他横Gも感じる。嬉しい
。実に嬉しいし楽しい。

なによりも、人的努力で「雨」を克服した意味は大きい。むろん、速い2台も
こちらのペースにはついて来れない。

チェッカー。何かとてつもないことをなし終えたような充実感というか達成感
というか、いや安堵感がある。

コーナーワーカーが、この日ばかりはサムアップではなしに拍手で迎えてくれ
る。やった! ボクが教えた日本的な最敬礼をしてくれるオフィシャルもいる。

ピットに戻る。クルーチーフはいつも通りいない。ベルトを外す。ネットを開
け降りる。この日、自分の次に主役だったタイヤからは水蒸気が立ち上ってい
る。グルービングのエッヂも丸くはなっているが、キチンと残っている。

「ハイ!」後ろからの声に振り向くと、麦茶を入れたコップを持ったクルーチ
ーフ。レースを始めてから、初めてピットで会話を交わした記念すべき日とな
った。


<WIR編終わり>

WIRコースレイアウト
http://www.willowspringsraceway.com/images/WillowSpring.GIF


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