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Go ★ Circuits No.111 (10/09/01)

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【 111号の目次 】

■ ザ・ベスト

◇ パッセンジャーライド 参加申し込み受付中

□ 筑波ドライビングワークショップ 参加申し込み受付中

● 筑波スプリント最終戦 参加申し込み受付中

○ 吉田塾 第4回申し込み受付中

☆ ハウツゥスタート

★ コーナーの向こうに 第五話 ラップタイム その11 トム ヨシダ

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■ ザ・ベスト

告知が遅れましたが、歴代ラップライムの頁に「ザ・ベスト」の項目を追加し
ました。

ユイレーシングスクールがスクールやイベントに参加された方のラップタイム
を保存し掲載するのには理由があります。安全に速く走るためには継続的に走
りを『意識』することが必要だだからです。

サーキットを走り終えた時、いわゆるいいタイムが出ると喜び、出ないと落胆
する。そんな図式の中では速さを蓄積することはできません。安全に速く走り
たいと思う人は、走り終えた時、換言すれば走るたびに課題が増えていくもの
だと考えるの自然です。

つまり、サーキットでは継続的に間断なくスムースな操作をすることが必要な
ように、サーキットを離れては継続的に走りを解析する、いわゆる因果関係を
究明する姿勢が求められます。

名前順のラップタイムを掲載しているのはそのためです。日を追うごとに速く
なっている人がいます。あるタイムまで縮められたのにそこで足踏みをしてい
る人がいます。大方の人が夏場にタイムを落としているのに短縮した人がいま
す。

その間にクルマに改造が加えられたかどうかはYRSの関知するところではあ
りません。しかし全てのラップタイムを掲載することで「本人には」どんな状
況でタイムが縮まり、どんな時にタイムを落としたかがわかっているハスです
。

ベストラップの項目は作成中にいろいろな傾向を読み取ることができます。ズ
ラリと名前が並んでいる人。十分に速さが見に付いているのでしょう。ある時
突然ジャンプアップする人。走りに開眼したのでしょうか。それともクルマに
工夫をこらしたのでしょうか。

とは言え、10月2日の筑波ドライビングワークショップを終了して『各人そ
れぞれのレコードホルダー』は延べ753名を数えました。複数回参加された
方がいますから、ラップタイムを記録した、つまりユイレーシングスクールの
催しでラップタイムを計測したことのある方の実数は432名です。

いつの間にか大きな数字になりました。ベストラップの項目から自分のタイム
を探すのも難しくなりつつあります。

そこで432名のベストラップだけを網羅した頁を作りました。題して「ザ・
ベスト」。

ラップタイム至上主義はユイレーシングスクールの好むところではありません
が、参加された方や続けて参加していただいている方に一目瞭然にご自分の速
さを把握していただくことが目的です。

尚、複数回参加された方で車両を変更された方、あるいは複数の車両で参加さ
れた実績のある方は、全てのラップタイムの中で最も速いタイムのみを掲載し
てあります。

・歴代ラップタイム トップページ:
http://www.avoc.com/result/laptime/laptime.htm

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◇ パッセンジャーライド 参加申し込み受付中

8月の筑波エンデューロで実施して好評だったパッセンジャーライドを、13
日に行われる筑波エンデューロ第4戦で再度行います。このプログラムはレー
スを内側から見、聞き、体験してもらうことが目的です。

具体的にはユイレーシングスクールのスタッフが、ルマン式スタートで始まる
実際の2時間耐久レースに参加します。その助手席からレース中の走行、追い
越し、追い越され(?)を体験してもらおうという企画です。

どなたでも参加できます。ただし18歳以下の方は親権者の同意書が必要です
。

レースの雰囲気を生で味わってみたい。レースでの追い越しを実際に見てみた
い。そんな方はパッセンジャーライドを体験して下さい。今回の参加車両はレ
ース仕様のプジョー205GTIです。

定員は8名。現在2名の申し込みがあります。参加を希望される方は午後8時
〜9時の間に047−484−7864に電話して下さい。

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□ 筑波ドライビングワークショップ 参加申し込み受付中

10月23日に開催する第16回筑波ドライビングワークショップの参加申し
込みを受付けています。理にかなった運転を通じて安全にスムースに速く走り
たいと思う方の参加をお待ちしています。

∽∽ どなたでも参加できます。皆さんの参加をお待ちしています ∽∽

・筑波ドライビングワークショップ開催案内:
http://www.avoc.com/school/program/tdq/rule_tdq2001.htm

・筑波ドライビングワークショップ最新の申込者数:
http://www.avoc.com/cgibin/check_tdw.cgi

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● 筑波スプリント最終戦 参加申し込み受付中

アメリカ流のショートトラックレースを再現した日本で唯一の筑波スプリント
も11月4日(日)のレースで最終戦を迎えます。

来年の筑波スプリントにつなげるためできるだけ多くの方に参加してほしいと
ころです。この機会にぜひ1日3回もスタートを体験できる筑波スプリントに
ご参加下さい。

YRS特製のチェッカーフラッグとウイニングランが各レースの優勝者を待っ
ています。また各レース上位3名のシャンパンファイトも予定しています。

・筑波スプリント案内:
http://www.avoc.com/school/program/sprint/sprint2001rule.htm

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○ 吉田塾 第4回申し込み受付中

10月6日には筑波エンデューロに参加しているチームHOTSのメンバー5
名が参加して臨時吉田塾を行いました。筑波エンデューロや筑波スプリントの
レース中に撮影したインカービデオを見ながら、「アアデモナイ、コウデモナ
イ」と秋の深まる夜をにぎやかに過ごしました。

次回、第4回は現在2名の申し込みがあります。定員は6名なので残りの枠は
4名。サーキットを離れて走りについて思い巡らせるのも楽しいことです。少
ない人数ですから質問にお応えする時間も十分にあります。

サーキットを走ったことのない方、ユイレーシングスクールの催しに参加した
ことのない方、免許年齢に達していない方の参加も大歓迎です。みなさんの参
加をお待ちしています。

・吉田塾開催案内とスナップショット&申し込みフォーム:
http://www.avoc.com/school/program/retreat/y_school_frame.htm

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☆ ハウツゥスタート

ここではクルマの速さを安全に引き出すためのヒントを掲載していきます。

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フルブレーキングをできるかできないかは、サーキットを安全に速く走れるか
どうかに極めて直接的に結びつく。

なぜか。

それはクルマをできるだけ短い距離で減速する必要があるからでは決してない
。それは、安全に速く走るためには乗っているクルマの最大減速度を引き出す
能力が求められるからだ。

つまりクルマの制動能力とは一切関係ない、運転手自身の問題なのだ。

なぜ最大減速度を引き出す能力が求められるか。それは踏力と減速度、そして
タイヤと路面の摩擦力の関係を理解していなければ、フルブレーキング(とい
う言葉自体が極めて日本的なのだが)は成立しないからだ。少なくともフルブ
レーキングを最短距離で止まることと定義するかぎり、運転手の感性と操作で
制動距離は決まる。

もう一度言う。フルブレーキング(英語で正確に言うところのスレッシュホー
ルドブレーキング)はクルマの制動性能とは関係ない。

と言うことは、ブレーキパッドを換えたからといってフルブレーキングができ
るわけではない。制動距離が短くなるわけでもない。

筑波ドライビングワークショップを受講する人の中にもブレーキパッドを換え
ている人がいるが、ではその人が制動性能を十分に使いこなしているかという
と、そうえはない。

換えたパッドの特性が間違っている場合も多いが、ほとんどの場合その人がフ
ルブレーキングを体験したことがないからだ。フルブレーキングというものを
理解していないからだ。だから減速度も低く、制動距離も長い。

逆にフルブレーキングがキチンとできれば、どんな制動性能のクルマでも最大
の減速度を引き出すことができる。

※ここが肝心;加速度は前後左右に働く。最も簡単な減速加速度をコントロー
ルできない人が横向きの加速度を感知し的確に操作できるとは思えない。

フルブレーキングを期待するならば、進行方向にタイヤのグリップの100%
を使える状況をクルマに作らなければならない。タイヤのグリップの100%
を使える踏力を探して踏まなければならない。

さて。フルブレーキングができれば、「安全に速く走るための制動」は3割方
完成だ。フルブレーキングができて、それでたったの3割だ。

理由は、サーキットでのブレーキングはクルマを停止させるためのものではな
いから。

== この項続く ==

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★ コーナーの向こうに 第五話 ラップタイム その11 トム ヨシダ

サムアップしてくれるコーナーワーカーに頭を下げながら1コーナーを抜ける
。コーナーワーカーが帽子をとって胸にあて、おじぎをしてくれる。

カリフォルニアでもずいぶんと「おじぎ」を普及させたものだ。

* * * * * * *

「頑張れヨッ!」と言ってくれているコーナーワーカーに手を上げて応える人
もいる。走るのに一生懸命なのか何もしない人もいる。ボクは。ボクはここが
アメリカだとわかっていても、手を上げるだけで応えてしまうことができない
。レースはコーナーワーカーがいなければ成り立たない。レースが始まってし
まえば、自分の命を預ける人達なのだ。

自分で旗を振っていた頃、当時の全日本F2に参加していたドライバーの中に
も手を上げて応えてくれる人とそうでない人がいた。もちろん手を上げた上げ
ないはドライバーの勝手。こちらもそれを期待しているわけではない。ただ、
ドライバーが真剣に走るのと同様に自分も一生懸命旗を振る。その決意を込め
て手で合図を送ったものだ。

走り始めてしまえば、コミュニケーションの手段は旗しかない。人と人のコミ
ュニケーションをはかれるのはスタート前のウォームアップラップしかない。
だから。「自分は用意できていますヨ。」とつぶやきながら手を上げたものだ
。

ウインドシールドの向こうにコーナーワーカーがサムアップしているのが見え
た時、日本人として日本人なのだという意識で深く頭を下げる。いつしか、ボ
クに対してはいつもおじぎをしてくれるようになった。決して握手とサムアッ
プと○指を立てるだけの国ではなかった。

* * * * * * *

練習、1回目の予選と走ってきて、ロードアトランタのSCCAコーナーワー
カーの何人かはおじぎをしてくれるようになった。多分、全ての走行が終わっ
てからワーカー達が集まってビールを飲みながら成果を話し合う席で、「アイ
ツオカシイヨ!」って酒の肴にしているのにちがいない。

後からコースインしたはずのクルマが狂ったように抜いていく。何かに取り付
かれたように走り去って行く。どうもアメリカ人はここぞという時にテンショ
ンが上がりすぎてしまうようだ。だからとてつもない力がでるのだろうが、農
耕民族にはなかなかできないことだ。そんなことを思いながら、「自分はどう
なんだ?日本人と比較して。」と自問している自分に気がつき苦笑する。

リアビューミラーに赤いクルマがちらっと見える。来た。案の上キチンとウォ
ームアップしている。6コーナーに入る頃後ろに付かれバックストレートで右
側から抜いていく。

「ヨシ!」

3速にアップシフト。回転が上がりきるまでに片手でハーネスを締め直す。4
速。いつもはブリッジ下で入れるデフオイル循環用の電磁ポンプのスイッチを
入れるためにロールバーに取り付けたスイッチボックスに手を伸ばす。走る前
に後輪をジャッキアップしてデフを暖めておかなかったことがチラと気にかか
る。

思った通り。きれいなRを描いて坂を下ったミニはスムーズなラインでブリッ
ジ下の空間に吸い込まれて行く。

「イイナ!」

12コーナーも突っ込みすぎるでもなく、速度を落としすぎるでもなく、安定
した極めて理屈に合った走りを見せる。

「イイゾ!チャンスだ。」

1コーナー。やはりわずかだが他のカットンデ行くクルマよりブレーキングが
長い。どうやら波長が合いそうだ。なにしろ、トリッキーな2コーナー、3コ
ーナーを抜ける時にも対角線上の荷重移動がない!まるで自分が目指すお手本
を見せてもらっているようだ。

5コーナー。それまでに前を走ったドライバーは自分がブレーキに右足を移す
時にもまだスロットルを踏んでいたが、赤いミニは違った。低い車高と独特の
サスペンションのせいで姿勢が安定している。クリッピングポイントのかなり
手前でブレーキランプが消える。

「スロットルに右足を戻したな!」それでもアンダーステアは顔を見せずに登
りのヘアピンを駆け上がる。ことらも2速8、500、3速8、500まで回
してク・ラ・イ・ツ・ク。

6コーナー。今まではタイヤに負担をかけたくないので極力スライドを抑えて
きたが、今度ばかりはミニと同じペースで進入する。
7コーナー。今まではタイヤを減らしたくないのでグリップの限界を感じつつ
スロットルを開けてきたが、今回は早めに踏み込む。後輪にトラクションがか
かりスリップアングルが増える。さらに踏み込むと同時に意識的にステアリン
グを戻す。アウト側後輪が平行移動する。左手でステアリングをさらに引く。
少しばかり高すぎる縁石にわすかに当たるショックを感じる。

「イインジャナイ!でもいつもはやれないよな。」

3速。4速。5速。バックストレートを走りながら1周目に挨拶できなかった
コーナーワーカーに心の中で頭を下げる。

いつもより8、800回転がレッドゾーンの3K型エンジンのエキゾーストノ
ートが遠くから追いかけてくる。確かに速い。10コーナー手前でスロットル
を戻すはめになるかと思えるほどだ。

ブリッジをくぐり最終コーナーを抜ける。

「ヨシ。このペースであと1周。」

ミニがペースを上げたようだ。それでもついていけないペースではない。こち
らにはまだ『クルマを酷使していない』という貯金がある。できれば使いたく
はないが。

なぜかいつもより目が見えるようだ。小学校1年からかけ始めたメガネと極度
の近視と乱視。レーシングドライバーにはなれないのだろうかと不安だった日
々がなつかしい。今、あの時の少年が全米選手権を走っている。

カリフォルニアで何度も経験してきたことだが、とにかく楽しい。走っていて
楽しい。人と競争することがこれほど昂揚感をもたらすとは。レースを始める
前には想像できなかったことだ。

前の晩。最後のビールの缶をつぶしながら感じた不安。過度の期待。それも今
はない。カケッコじゃ置いてきぼりにされるが、クルマの運転ではついていけ
る。だから前を行く相手を抜けるまでに速くなりたい。一切のリスク無しに。

1周目にクルマのせいか少し間隔のあいた6コーナーを少しばかり速く進入。
カントがついているからリスクが増えるわけではないが、低速コーナーでタイ
ヤのスライドを察知すると心が痛い。

「なにしろ、奥さんの洋服代がタイヤに化けたんだもんなぁ。」

1周目は後手に回ったカウンターステアを意識して、極力スロットルの踏み込
みとステアリングの戻しがシンクロするように操作する。

「気持ちイイ!!! 楽しい!!!いつもこんな風に走れたらなぁ。」

スライドした距離は10mにも満たないだろう。1、300ccじゃスライド
させすぎると失速してしまう。鈴鹿のヘアピンを数10mもカウンターステア
を切りつづけながら立ち上がった高橋国光選手のカッコヨサにははるかに及ば
ないこともわかっている。それでも楽しい!今。自分が主役。

12コーナーを抜けコントロールラインまでできるだけ4速で引っぱる。踏ん
だ。すかさず5速に入れ、リアビューミラーで後続車が遠いことを確認しなが
らスロットルを抜きラインを右に取る。

「ハイッ。自分の予選は終わりで〜す。」

遠くに目をやれば、赤いミニが多分それまでより速いスピードで1コーナーに
消えていくのが見える。

−−− この項続く −−−

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※解説用コースレイアウトにあるシケイン(8コーナー)はスポーツカーレー
スの大きな事故をきっかけに作られたもので、全米選手権の時にはなかった。


≪資料≫ ロードアトランタコースレイアウト(解説用):
http://www.na-motorsports.com/Tracks/images/ratlanta/ratl.gif

≪資料≫ ロードアトランタオフィシャルサイト:
http://www.roadatlanta.com/flashintro.htm

≪資料≫ スクラップブック:
http://www.avoc.com/data/scrap/scrap_book.htm
レース用スターレット:02/05/01
ロードアトランタ1コーナー:02/15/01

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