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Go ★ Circuits No.116 (12/12/01発行)

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【 116号の目次 】

○ サイト更新

◎ ユイレーシングスクールスタッフ募集

☆ ハウツゥスタート

★ コーナーの向こうに 第五話 ラップタイム その16 トム ヨシダ

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○ サイト更新

・第18回筑波サーキットドライビングワークショップレポート
http://www.avoc.com/result/tdw/tdw2001/index_tdw2001.htm

【解説】今年始まった筑波ドライビングワークショップの卒業生は述べ500
人を超えそうです。ユイレーシングスクールが日本に持ち込んだオーバルの定
常円旋回練習は、クルマの操作の流れがわかりやすいと大好評です。今回は特
に定常円旋回中のクルマの動きに集中してコメントを掲載してあります。

受講された方はもう一度「あの場面」を思い出してどうすればよりクルマが安
定するか考えてみて下さい。まだドライビングワークショップを受講されてい
ない方は、画像を見て「どんな操作をした時にそうなるのか」想像してみて下
さい。運転手の操作とクルマの挙動の因果関係を理解する近道です。


・11月27日開催筑波ドライビングワークアウトの結果
http://www.avoc.com/result/laptime/laptime.htm

【解説】今年2回目の筑波ドライビングワークアウトも無事終了しました。今
回のコース2Kはドライコンディション。サーキットを10時間も走ったこと
のあるベテランからサーキット走行が初めての方まで、コース1Kより少しだ
けスピードの出るコース2Kを堪能しました。


・筑波ドライビングワークショップ優秀卒業生表彰
http://www.avoc.com/data/information/jasc_award2001/award_ceremony.htm

【解説】2月20日の第1回から11月6日の17回までの筑波ドライビング
ワークショップの卒業生の中から6名が、財団法人日本オートスポーツセンタ
ーから優秀卒業生として表彰されました。財団法人日本オートスポーツセンタ
ーは筑波サーキットの運営母体です。表彰式の模様を掲載してあります。

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◎ ユイレーシングスクールスタッフ募集

ユイレーシングスクールではパートタイムのスタッフを募集しています。応募
要綱をお読みの上で応募して下さい。

募集スタッフ:インストラクター、オペレーション
募集人員:20名
応募資格:
・筑波ドライビングスクール、筑波ドライビングワークショップの卒業生
・もしくは筑波タイムトライアルで座学を受講したことのある方
・年間で7日間(平日および休日)以上スタッフとして参加できる方

応募方法は、
・氏名
・郵便番号
・住所
・電話番号
・スタッフに応募する理由
・スタッフになったらやってみたいこと
を書いたメールを送って下さい。下旬をめどに詳しい案内をお送りします。

mail@avoc.com

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☆ ハウツゥスタート

今年も残りわずか。ユイレーシングスクールの活動も筑波ドライビングワーク
ショップ1回を残すところとなりました。みなさんにとってこの1年はどんな
年だったでしょうか?

ユイレーシングスクールはようやく満2歳になったばかりの新しいドライビン
グスクールです。それでも、既に延べ1460余名の方とお会いすることがで
きました。今年の開催日数は31日にもなります。いろいろなことがありまし
た。ユイレーシングスクールもたくさんのことを学んだ1年でした。

そんな中で、みなさんがこれから「安全にクルマを速く走らせる」ために必要
だと思われることをひとつ。

* * * *

ある筑波ドライビングワークショップでのこと。定員いっぱいの32名の参加
でした。受付が終わり教室で1時間ほどの座学を行います。いつもの通り、最
初に参加者に聞きます。

「この中でサーキットや公道でスピンしたりささったことのある方は手を上げ
て下さい。」

すると、その日は30名の方が挙手したのです。32分の30。実に94%の
方がクルマの運転中にコントロール不能に陥っていたのです。聞けばクルマを
壊してしまった例もありました。幸いに怪我をされた方はいませんでしたが。

#数字は最多の例で、少ないときには3分の一ほどでした。残念ながら皆無で
あった筑波ドライビングワークショップはありませんでしたが。

誰も望んでスピンやクラッシュをするわけではないと思います。しかし実際に
は多くの方が体験しているわけです。なぜでしょう?

スピンしたりクラッシュする理由はいろいろですが、理由を聞くと、「そんな
はずじゃなかった」とか「ああなるとは思っていなかった」とか。そんな答が
帰ってきます。

しかし、これらは理由にはなりません。なぜなら、その時点で『クルマの操作
が憶測によって行われていた』からです。つまり確証のないことをやろうとし
て<それを>やった結果、クルマがバランスを崩したのです。実際には自分な
りクルマの限界を超えていたのでしょうが、ほとんどの場合『運転手が理屈に
合わない操作をした』のが原因です。

クルマはよほどひどい改造をしない限りキチンと動く機械です。正確な操作を
すればキチンと機能します。キチンと操作ができる人間にとっては、クルマの
限界を超えた時でも対応する余裕を残してくれる機械です。

筑波ドライビングワークショップについて質問のメールをたくさんもらいまし
た。「サーキット走行って危険なんでしょ?」とか「サーキットを走ったこと
がないんですけどスクールを受けてかまいませんか?」とか。かなり多くの方
がサーキット走行=危険という認識を持たれていると想像します。

サーキットを走るということはクルマの性能の限界近くで走らせるわけですか
ら、何かあった場合の危険度は確かに増します。しかし、だからと言ってサー
キット走行が即危険だということにはなりません。全ては運転手次第です。ク
ルマの限界を超えて速く走れないのと同様、運転手の経験と知識と想像力に基
づく限界を超しても速くは走れません。自分の速さ以上の速さで走ろうとする
のは、無謀以外のなにものでもありまっせん。

サーキットを走るなら速くなくてはダメだ、と思うのは錯覚です。速さには間
違いなく個人差があります。速く走らなくてはサーキットを走っても面白くな
い、と思うのも錯覚です。速さは『結果』です。クルマをキチンと操作した結
果として速さがついてきます。最初に求めるものは速さではなく理屈にあった
操作です。

理屈にあった操作を繰り返しているうちに、必ず身体が自然に反応するように
なります。それがその人の速さです。一定の速さに到達するまでの時間は個人
によってまちまちです。それで当然なのです。

ある車種に乗っているとして、そのクルマのベストが××秒だからそのクルマ
に乗っている全員が××秒を目指さなければならないというのは誤解です。

クルマが好きでサーキットを走っているのに、そのクルマを傷めてしまう。ど
こかおかしいでしょう?まして、自分が傷ついたり他人を巻き込んだりしたら
、それでは楽しいどころではないはずです。

サーキットに行けば公道でできないことを試せるとか、サーキットで目いっぱ
い走ってもらいたい、という意見を耳にします。前者は参加者、後者はサーキ
ット関係者に多い意見です。間違いではないと思いますが、サーキットでは何
をやっても許されると誤解されるのは問題です。通常、サーキット走行では複
数のクルマが同時に走ります。もはや社会性のある場所です。個人個人がそれ
なりに折り合いをつけていく必要のあるところです。

奥行きの深い理にかなった運転。レーシングドライバーと呼ばれる人やベテラ
ンができることができない。それはクルマの性能に差があるのではなく、運転
手の意識が違うのです。意識が違うから速さも違うのです。ここで言う意識と
は概念ではなく、自分のできることできないことを区別することのできる意識
のことです。危険に対する意識といっても過言ではありません。

あなたは今FRのクルマに乗ってヘアピンを立ち上がろうとしています。想像
してみて下さい。

クリッピングポイントを過ぎたからスロットルを開けようと考えています。と
ころがターンインが急だったのでクルマの向きが十分に変わっていません。コ
ースアウトしないためにクリッピングポイントを過ぎてからもステアリングを
切り足している状態が続いています。しかし考えた通りにスロットルを開けま
す。トラクションがかかり後輪がスライドします。カウンターステアをあてて
もクルマが安定せずにスピン。

この場合、考えたことを実行してしまったのがスピンの原因です。
ヘアピンの「あそこ」を過ぎたらスロットルを開けなければならないと思い込
んでいたことを、例えそれが速く走るためのセオリーであっても、クルマの状
況を無視して独断実行したことが原因です。

もし理屈通りクリッピングポイントを過ぎてステアリングを戻しつつある状態
でスロットル開けていればスピンするまでには至らなかったはずです。

ステアリングを戻しつつあるということは、クルマのロールが減る方向にある
ということです。即ち横Gも減っていきます。その過程でリアの流れを押さえ
るためにカウンターステアを当てることは『その時点で行っていたステアリン
グを戻す操作』を必要なだけ早めてやることに他ならないのです。カウンター
ステアを当てるということは、4輪のコーナリングフォースを減らすことです。
ロールという視点から見れば、減りつつあるロールを必要なだけ前倒しに減ら
すことだけのことです。

流れとしては自然です。全てが同じ操作の延長腺上にあります。対応さえ正確
ならクルマがアップセットすることもないはずです。

ではスピンをした場合の操作は?

切り足しているわけですからロールは増えています。横Gも増えています。過
重はアウト側に移動したままです。陀角のついた前輪が抵抗になります。スロ
ットルを開ければ全てが増幅されます。リアが流れます。カウンターステアを
当てます。何がクルマに起きているかはもうお分かりでしょう。細かな要因は
他にもありますが、結果としてクルマのバランスを運転手自身が崩してスピン
したのです。

* * * *

今年、実に様々な方が筑波ドライビングワークショップに参加して下さいまし
た。免許を取って3ヶ月の方やレースに参加したこともある方。ご夫婦での参
加も何組かありました。最もお歳をめした方は60歳でした。来年もみなさん
の疑問に応えるべく内容を充実していく予定です。

ユイレーシングスクールの主張は「理にかなった運転」。今年を振り返る時、
そんな尺度でご自分の走りを思い返してはいかがですか?

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★ コーナーの向こうに 第五話 ラップタイム その16 トム ヨシダ

つかの間の単独走行。ヘアピンを抜けて短いストレート。いったん下ってから
上り。リアビューミラーを見ると310サニーとミニがストレートでも牽制し
あっている。距離は、まだ遠くはない。「このままやりあっていてくれるとい
いんだけど。」

レースをしていて時々思うことがある。本当はもっと速く走れるんじゃないか
と。なにしろできるだけ少ない予算で長く続けることばかり考えてきたから、
なにかあると「もったいない」と考えてしまう。さっきだってそうだ。このレ
ースで使い切ってしまってもかまわないタイヤなのに労わってしまう。タイヤ
がスライドするのが怖いのじゃなく、減りそうなのがイヤで攻めきれない。

いつも思っていた。タイヤやクルマを労わって走って速くないのなら、それが
自分の速さだ。それで勝てなくてもしょうがない。いつも終わってからああす
ればよかった、こうすれば結果は違ったのにと考えるが、それは意味の無いこ
とだ。物に負担をかけずにいかに速く走るか。それがテーマなのだからそれし
かない。実際、自分の何十倍も走りこんでいるドライバーと同じペースで走れ
ているではないか。誰も知らないことだけど、自分では進歩している。それで
いいじゃないか。

チラッと頭の片隅でそんなことを考えながら裏のストレートに出る。大きく目
を開けば前方に27カローラが、間隔をおいてあの赤いミニと争っている11
0サニーが見える。「110だもんな。日本じゃとうに廃盤だよな。」

とにかくスムースに、少しずつ全てのコーナーを速く回ってみよう。後ろの2
台はまだ絡んでいるしペースを上げては来ないだろ。

ブリッジ下の右。先が見えないイヤなコーナーだけど好きにならなくては行け
ない。なにしろ長〜い直線と性能以上の加速が期待できる急な下りを結んでい
るコーナーだ。通過速度を上げるということは、スナワチ7コーナーから12
コーナーまでを少しは直線化することでもある。

いつもと同じ所でブレーキング。クルマが安定してからいつもよりイニシャル
を強める。その分減速度が立ち上がっている時間を短くして抜き始める。ステ
アリングホイールを少し引く。クルマがロールし始めるのがわかる。スロット
ルをピックアップ。前後過重を均等に持っていく。ステアリングを切り足すと
横Gが増える。いつもやっていることだ。だが今回は少しばかり速いはずだ。

『ツッゥー』 フッとクルマが浮遊した感じ。

「来た!」 4輪が<全て同じ量だけ>流れている。いつもタイヤが流れてい
るのは自覚していたが、常に修正を必要としない範囲の流れにとどめてきた。
タイヤがもったいないからだ。でも今は違う。修正の必要はないが、きれいに
軌跡をたどりながらクルマがしっかりと流れている。

流れているからか、いつもよりステアリングの重さが頼りない。

下りにさしかかる。過重が前に移動する気配がする。巻き込むといけない。ス
ロットルを開ける。ゆっくりステアリングを戻すと、クルマは何事もなかった
かのように安定する。

「ハハハッ! 次は最終コーナーだ。」

もう一度。ブレーキングでクルマを安定させ、アンダーステアが出ないように
前過重に気をつけながらステアリングを引く。そして切り足す。

「来た! 来た!」

出口ではいつも通り。トラクションを横に逃がさないようにスロットルを開け
る。

「ワオ!コントロールラインをちょっと越えて5速。」27カローラとの距離
が半分くらいに縮まった感じ。

ストレートエンドのスピードが上がっていることを考えていつもより手前から
ブレーキに足を移す。踏力はいっしょ。抜き方もいっしょ。ターンイン。ステ
アリング。イーブンスロットル。上り坂に備えて早めにスロットルオン。

「んッ? もっと速く回れるのかなぁ。」

いつもそうだった。パッドが減りそうでガツンとブレーキを踏むのも躊躇して
きた。結果的にはそれが良かった。スピードコントロールが楽だから、コーナ
リング全体の通過時間を稼ぐことはできた。1コーナーは逆バンク気味のコー
ナーだからもっと過重を移動させる必要があるのか。

「次はいつもの所で踏んでみよう。」

回り込んでいる3コーナーはいつも通り丁寧に回る。攻めるなら高速コーナー
の方が効率は高い。あとに高速区間のあるコーナーは攻めすぎないほうがいい
。そこでは得るものが少ない。

アンダーステアが出ない範囲でスロットルを踏み込み、いつもより速いペース
を願って4コーナーを回る。27カローラが近づく。

なぜか、頭が命令しなくても身体が自然に動くようだ。こうしたいと思うだけ
で身体が動く。

「なんか透明な気分だよなぁ・・。」


−−− この項続く −−−

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解説用コースレイアウトにあるシケイン(8コーナー)はスポーツカーレース
の大きな事故をきっかけに作られたもので、全米選手権の時にはなかった。

≪資料≫ ロードアトランタコースレイアウト(解説用):
http://www.na-motorsports.com/Tracks/images/ratlanta/ratl.gif

≪資料≫ ロードアトランタオフィシャルサイト:
http://www.roadatlanta.com/flashintro.htm

≪資料≫ スクラップブック:
http://www.avoc.com/data/scrap/scrap_book.htm
レース用スターレット:02/05/01
ロードアトランタ1コーナー:02/15/01



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